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第二章 あれれ?王都でドキ?はやすぎない?

ロクジュウヨン

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毎日、毎日飽きもせず……迎えに出される騎士の方々、ご苦労様です?
本当にご苦労様。
王様って暇なの?
ハノエルに会いたいと駄々こねてるみたい。
ほんと、家来の皆さんに同情するわ。

でもね?

一言言ってもいいですか?
主人を諫めるのも家来の務めですよ?
騎士だけじゃあ、飽き足らずに……宰相までやってきたんですけど……。

父も流石に無下にはできなくて……仕方なく応接間って言うのかな?に通したららしいんです。
父が全部対応してくれるのかな?って期待したんだけど。
残念ながら、父に兄と呼ばれてしまいました。

「ハノエル様、初めてお目にかかります。宰相を務めさせて頂いてます、ルケーニ・アルジェンティエと申します。」

にっこり笑顔で挨拶する宰相様は、年齢不詳だった。

「初めまして、ハノエルです。」

ハノエルも負けずに笑顔を振りまいてみたよ。
だって、父がニコニコしてるから。

「………………………あの糞がこんな幼子に懸想しやがって……可愛らしい方ですね。」
「だから、困っているのだよ。」
「本当にあの方には、呆れますがね。私がこの前のパーティーには出ることが出来なかったので、今回『取りなして、連れてこい。ハノエルくんは、来たがっているのに周りが邪魔をしているのだ。』とか馬鹿なことをおっしゃってましてねえ。騎士じゃラチが開かないとか……。ぶっちゃけ、アルフよ。
ハノエルくんは、城に来たいのか?」
「……そんなわけないだろう?」
「だよなあ?よし、直接話してもいいか?アルフ、カレイド。」

挨拶以外はハノエルを無視して話が進んでいたが、宰相様はよくわかっているのか、兄たちに許可を取る。

「仕方ないな。」
「仕方ありませんね。」

父と兄が仕方なく許可を出す。
少し茶番のようにも見えるが本人たちはいたって真面目らしい。

それを見計らい、新しいお茶を入れて宰相様に差し出す、忍者……ではなく、セバス。
タイミング最高で惚れ惚れしちゃうよ。
家令とかいて忍者と読むのかもしれない。
あと、もしかしてアルファードという父の名前をアルフと愛称で呼ぶってことは、ものすごく父と仲良しさん?
話し方と内容的には……んー、もしかしなくても味方?
なんてことを思っていたら宰相様がハノエルを見つめた。

「では、ハノエルくん。」

そしてお茶を一口飲んで俺に声をかけてきた。

「はい。」
「君は、城にお呼ばれ嬉しい?」
「ないです。」

絶対に行きたくないんです!

「だよね。うん、はっきり聞くね?」
「はい。」
「お城に言って陛……王様である伯父さんとお話ししたい?」
「したくないです。僕は兄と一緒にいたいし、……王様は気持ちわr……怖いから会いたくないです。」
「即答だね!うん、了解した。
私も気持ち悪いから大丈夫!
うん。陛下のことは黙らすから安心していいよ。だって、気持ち悪いから。
君はカレイドと幸せにね。
ただ、気をつけて欲しいんだ……。
私が抑えられるのは、表だけ。
裏の奴らは陛下が勝手に動かすから……まあ、裏ならアドレイド公爵家にかなうものはないだろうけどねえ?
でも、アレは馬鹿だから。
今回で表だっての迎えはなくなると思う。その分、裏が活発化する可能性があるからね。
この前のパーティーで目をつけた奴らが多いのも事実だから……仕事のせいとはいえ、逆恨みは後を立たないから。
いろんな意味で気をつけて欲しい。
この王都は人の行き来も多いし、目新しい者が現れても誰も気にしない街だ。領地のように流れ者に目を向かない。
重々気をつけてくれ。」
「わかっているさ、なあ、セバス。」
「はい、お任せください。」

忍者セバスは、すごいから大丈夫。

「……怖いなあ。だが、うん。多少のことなら、私が握りつぶしてやるさ。ハノエルくんは、出来るだけカレイドやセバスから離れちゃダメだよ?もちろん、屋敷の中でもね。」
「屋敷の中でも?」

屋敷の中まで?
そこまで……必要か。
だって変態ホイホイだもの。
だってハノエルなんだもの。

「もちろんだよ。たぶん、一番安全なのはカレイドや家族だけ。まあ、セバスは……家族以上だね。
でも、使用人はどんなにいいやつでも……いや、いい奴ほど弱みを握られたら動かされやすい。
自分の命ではなく大切な人の命に勝るものはないだろう?
私のようにしがらみがないものは、少ないからね。
君だって、家族……カレイドの命を盾にとられたらどうする?」

どーするって、絶対に助ける!
助けなくてどーするの!

「助ける。」
「だよね。で、無理な請求されたら?」
「……請求を受ける。」

に決まってる。
だって、今までは死なないようにって思ってた。
でも、今は大好きな家族を守りたい。皆んなが揃って幸せじゃなきゃ意味がない。
自分だけが生き残って……それで幸せになんかなれやしないもの。

「だからね?そーゆーことさ。君はカレイドのためにその身を捧げることができるように、カレイドも同じことができるだろう。つまりだ、君以上に大切な人がいた場合、その大切な人を人質とされたら……ね。」

そうだよね。……そんなことをするかもなんだよね。納得。
俺にとっての兄や家族の存在のためなら……誰でも必死になるだろう。
つまりは、どんなに信用できる人でも……俺たちを脅かす人になりうるってことか……。
なんで嫌な世界なんだろう。

「まあ、老婆心ながら……話に来てしまったんだ。ハノエルくんは幼いが聡い子と聞いているからね。
もちろん、私も力にはなるよ。
さて、話は以上だ。
私は帰って陛下に説教をすることにするよ。まったく……これがなければ……良い王だと言えるんだがね。」

ふう、と大きく息を吐いて立ち上がる。

「大切なものが多ければ多いほど……弱点になることが多いくなることだけは、忘れないように。
では、失礼するよ。」
「ああ。陛下のこと、よろしく頼む。……もし、私の家族に何かをするならば……私は全力で相手になると伝えてくれ。」
「わかった。…私なら君を敵にまわすなんて怖くてできないがね。」

やれやれと宰相様は帰って行った。

宰相様の言ったことは極論ではあるけど、ありえないことじゃない。
悪意だけが敵じゃないって言いたいんだよね。
そう、確かに誰も彼も手放して信用しないほうがいいっていうのはわかった。
でもだからって、警戒ばかりしていては疲れてしまう。兄といつも一緒にいれたらいいけど、あと少しすると兄は学園に行く。
昼間は兄はいない。その生活にもなれなきゃいけないのに、さらに警戒も……俺、もつかしら?
なんか、魔法でどうにかならないかなあ。

「ハノエル、くれぐれも一人にはならないようにね。」
「うん。」
「とりあえず、『神聖魔法』が使えるのは内緒だよ?」
「はい。わかってます。」

そう、あのサクチュアリーシールドが使えたことで、何種類かの神聖魔法が使えるのだ。
これがわかれば……王だけでなく教会も横槍を入れてきそうだからね。
……もう、さー。

俺は兄とだけイチャイチャラブできればいいので、全部エロいフラグなんかは主人公ヒロインにお任せします!

だって、エロい乙女ゲームなんでしょう?
モブはほっといて!


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