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第二章 あれれ?王都でドキ?はやすぎない?

ゴジュウ

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何というか……。

図書室というには巨大すぎる場所ですが。
これを自由に閲覧できるなんて!
素晴らしいです!
この世界、とりあえず腐女子たちが作ったためか(絶対に制作チームは腐の集まりだったと言える!)、ラノベまではいかないけど、物語系の本が結構ある。ほら、よくある転生で紙が高価で本はないとかあるじゃない?
もしくは、『物語』と言ったら神話とか史実のみってやつ……。
なーんてことはない!
フィクションもノンフィクションもある世界なんです。だから、ちゃんと面白可愛い絵本だって読んだんだよー。
ハノエルはノンフィクション系を好んで読んでいたみたい。まあ、だからいろいろ詳しいんだけども。ちなみに、ハノエルは俺に変わるまでに向こうの図書室の本を全て読んでるよ……すごくない?
俺、絶対に無理だよ。どんだけあると思ってんの?
……そうだな、学校の図書館くらいあったんだよ?
興味がある本ならいくらでも読むけどさ……ハノエルは、どんな本でも読んで理解してるんだよ。マジで天才ってハノエルの事だよね。
俺なんかの魂が入って、劣化版ハノエルになってしまった気がします。ごめんね?貞操も守るとかいいながら、猫の命の前には捨てようとしたしね……。
胸の奥でクスクスと笑う感じがあるのは、残っているハノエルの魂なのかな?
同化したのか、ハノエルの魂が俺の魂なのか……どうゆう原理が働いているのかわからないけど、ふとした瞬間にハノエルの魂のカケラを感じる。
きっと少しだけズレている部分があるのかもね。
さて、長々ここにいることは出来ないし……、さっさと探しましょうかね?

「ハノエル、どこの本?」
「できたら、明るい物語がいいのですけども。」

今は暗いものはやめておこう。
暗くなってしまう。
悲恋とかデッドエンドとか……。
ハッピーエンドを要希望!

「では、上かな?」
「兄様、僕自分で。」
「だめだよ。階段から落ちたらどうするの?」
「気を付けます!」
「いい子だから、抱っこされていて。半月もしたらこうして抱っこしていられなくなるんだ。」
「兄様。」

半月…なんだよねえ。
兄が学校行くの。俺のことがあるから兄はかよい。
でも、あの『闇公爵』になったバージョンでも公爵を継いでいたために兄は、通いで学校に行っていたらしい。
これは、何故かとして、ハノエルライブラリーにあった。
やはり、前に思ったようにハノエルは何度かこの世界でいるみたいに感じる。
いろんな場面が時々ふと浮かぶ時があるんだ。
ただ、それは断片すぎて、はっきりとした未来ではなく過去でもない。何というか、テレビでチャンネルをパッパと変えるかんじかな?分かれ道が沢山あって、ふとそこに入り込んだような記憶というか、夢で見たかもしれない記憶というか……デジャブ的な感じといえばいいかもしれない。
その『ハノエル』に俺という魂が存在していたかはわからない。
眠っていたかもしれないし、自我がなかっただけかもしれない。
それとも今回がイレギュラーで俺という魂が転生してきたのか、それは神のみぞ知ることだろう。

神?

んー、神……会ってないよね?
なーんか、頭の隅に引っかかってるけど、ま、いいか!

で、そうそう、あと半月で兄とこうして朝から晩までべたべたすることができるのも終了といわけ。学園が休みの日限定イチャイチャになってしまうかもしれない。
三年すると姉も入ってしまう。ちなみに姉はこのままいけば、寮にはいることになるだろう。
俺はさらに5年後。でも、毎日通えるか自信はない。
寮?もっての他ですねえ。
主治医と兄が必要ですから。
だから、基本通いになるはず。
ただ、通いとなると馬車で30分かかるわけ。
教会に行くよりは近い。まあ、学園自体がこの貴族街に近くに作られてるわけですが、ハノエル俺の体にとってその30分の馬車での道のりを毎日繰り返せるか?という問題があるわけですよ。ちなみに、平民の子は特待生になれても通いは許可されてません。
貴族と平民の差らしいですね。というか、たぶん平民街から徒歩で行ったら3時間くらいかかるんではないかな?と聞いています。

俺が入学までまだ5年ありますからね、乞うご期待!って感じかなあ。
それに少しずつ、兄や姉がいない状態になれないといけないねえ。
だから今度開かれるパーティー?は、俺の第一関門かもしれない。
そう、家族が一人もいない時間を数時間過ごすのですよ……。

ハノエルにとっては初めての体験。
ハノエル耐えられるかなあ。

さて、抱っこされ目当ての分類がある本棚の前にきた。と言ってもハッピーエンドの本というわけではなく、物語の棚という場所みたい。
そこには『天空の城タプタ』とか『青の豚』とか『ドドラ』とか……パクリ大丈夫?って本がたくさんありました。
さらっと中を見たら、タプタは皆を従える鉄壁の城だし、青の豚は屠殺されて出荷されちゃうし、ドドラは太鼓叩いてるだけだし……ねえ?
作家さん、膿んでない?
大丈夫?
と聞かずにはいられない内容だ。あらすじ読んだだけだけど。
……作家名は皆んな同じ名前『ルフラン』と書いてある。
ルフランの『ふ』は、腐った『ふ』だよね?きっと。
だって隣に、『ラブリーボーイ~僕がお兄ちゃんを×××~』とか『僕は貴方に貫かれたい』とか『淫乱と呼ばないで~僕の初めてをあげる♡』とかの名前も『ルフラン』です。
ねえ?この本棚揃えた人、どんだけ『ルフラン』作好きなの?
『ルフラン』だらけだよ?

「ハル、上にある本はハルにはまだ早いかな?」
「……うん。」

誰の趣味かはわからないけど、俺は読む気ありません。
ふと、隣の本棚に『天使と魔王』という本を見つけた。
気になって手にとる。

「それは私も初めて見るな?」
「そうなのです?」
「うん、まあここに来るのは久しぶりだし、誰かが増やしたのかもね?」
「これにしてみます。」
「今日は一冊だけだよ?沢山持っていくと、ハルは読むのをやめないしね。」
「はあい。また、来るからいいです。」
「ふふ、一人ではだめだからね?」
「わかりました。」

たぶん、一人だとたどり着く前に迷いそうではある。
屋敷自体も、領地の屋敷よりデカいもの。
それに知らない使用人が多いから、ちょっと怖いし。
兄が無理なら家族か、セバスかルイくんがいないとこないと思う。

「じゃあ、戻ろうか?」
「はい。」

今日はベッドから降りてから一度も床に足がついてないんですが、……俺って……。
とりあえず、子供時代は甘えてもいいことにします。
何せ、兄とこうしていれるのも残り僅かですからねえ。

『天使と魔王』
どんな話かな?
あらすじは載っていなかったので、すごい楽しみです。
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