銀河戦国記ノヴァルナ 第1章:天駆ける風雲児

潮崎 晶

文字の大きさ
上 下
1 / 422
第1話:死のうは一定

プロローグ

しおりを挟む
 


 黒いベルベットを思わせる闇が広がる、宇宙の深遠………



 その一面に撒かれた、砂粒のような大小の星々の輝きは、悠久の時を経ても存在し続ける………



 無論それとて、いつの日にか終焉が訪れる。しかしそこへ至るまでの時の永さに比べれば、人間の一生など、一つの星が瞬く刹那にも満たぬ、はかなき短さであると言えよう………






 皇国暦1560年、オ・ワーリ=シーモア星系第八惑星ルグラ公転軌道付近、小惑星群フォルクェ=ザマ。

 虚空に浮かぶ無数の岩塊の群れが、視界の下方で海のように広がっている。

 第七惑星サパル周回軌道上の、我が宇宙要塞マルネーを陥落させた敵…イマーガラ艦隊主力は現在小休止に入り、補給と戦力の再編に取り掛かっているはずだ。

「間もなく目標ポイント到達…全機発進に備え」

 ヘルメットに女性の声で通信が入り、両手の操縦桿を軽く握り直す。15才の初陣以来、何度経験しても指先に熱を感じる瞬間だ。
 とその時、全周囲モニター越しに見る小惑星群の左手奥に、幾つもの閃光が走った。味方の正面攻撃部隊が、敵本陣の直掩部隊と接触したのだ。



 二分、三分と時が過ぎ、やがて待っていた連絡が入る。

「目標ポイント到達。全機発進!発進!発進!発進せよ!!」

 全周囲モニターの映像が、小惑星群からリアルに自分が現在いる船倉に切り替わり、その底が両開きになる光景が映し出された。

 三角形に位置取りして小惑星群外縁を航行する、三隻の中古宇宙タンカーの底が開き、まず後方の二隻から三機ずつ、計六機の人型機動兵器、BSIユニットが岩塊の海の中へ向け発進した。関節駆動部を防御する、外殻オプション装甲に身を包んだその姿は、全高が12メートル強の鎧武者のような姿をしている。
 六機の発進を確認すると、ひと回り大きな自分の機体を、先頭のタンカーから発進させる。全機とも武装は超電磁ライフルと陽電子パイク(矛)、量子ブレードだ。

「全機ステルスフィールド展開。俺に続け」

 そう命じて機体を加速し、六機の部下を抜き去る。七機のBSIユニットは編隊を組まず、次々と迫り来る小惑星を流れるようにかわしながら、思い思いに敵本陣の閃光に向かってゆく。



人と人は和をもって尊しとし
国と国は武をもって尊しとなす



 人生が一瞬の星の輝きなら如何に輝くか。それこそが群雄割拠の銀河に生きる、彼等のありようであった………



 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武

潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~

こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。 人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。 それに対抗する術は、今は無い。 平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。 しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。 さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。 普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。 そして、やがて一つの真実に辿り着く。 それは大きな選択を迫られるものだった。 bio defence ※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

処理中です...