銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武

潮崎 晶

文字の大きさ
上 下
249 / 384
第10話:シンギュラリティ・プラネット

#06

しおりを挟む
 他に売れそうなものはないかと聞かれたので、特にこれといったものはないんだけど、しいて言えば革のベルトもいいんじゃないかと言ってみた。あと、革パンツやベストで、もちろんポケット付き。

「ふむ……ベルトですか」
「あい。しょのままもいいんでしゅけろ、しゃりげにゃいおしゃれとして、かわをほしょくしゃいてあみこんでもいいとおもうんでしゅよ」
「なるほど……。そうねぇ……こんな感じかしら?」
「お~、しゃしゅがキャシーしゃん! しょうでしゅ!」
「あら、これなら女性もさり気ないおしゃれとして腰に巻けるわね」

 編み込んだベルトという言葉でなにやら思いついたのか、革の切れ端をベルトのように細長くしたあと、さらにそこに切れ込みを入れて器用に編んでいく。すると、日本でも見たことがある、編み込みの革ベルトが出来上がっていた。
 とはいえ、あくまでも試作なので切り込みを入れた部分の処理やほつれないようにするにはどうするかとか、革によっての耐久性を調べなければわからないが、そこは鎧にもなっちゃうくらい頑丈な革。なので、耐久性は合格なわけで。
 あとはほつれなどの問題を解決すればOKとなった。
 他にも、ポンチョの提案をしてみた。外套よりは短いけれど、ケープよりも長いサイズで、マントよりは動きやすいと思うんだよね。
 特に、新人冒険者の女の子にはいいと思う。

「うしゅいかわにゃら、しゅしょにししゅうをしてもいいとおもうんでしゅ」
「しゅしょ? ああ、裾ね。そうねぇ、オークなら比較的薄い皮だし、蜘蛛の糸ならできるわね」
「女の子だもの、おしゃれはしたいわよね」
「そうよね! 町の中用と、冒険用に分けてもいいんじゃないかしら! アタシが頑張って作るわよ!」
「「てことで、ステラ、デザインよろしくね!」」
「あ、あい!」

 キャシーさんとセレスさんの圧が凄い……! 言い出しっぺなので、頑張ってデザインするさ!
 そんな話から、トートバッグももうちょっと可愛いデザインが欲しいだの、男性用のマジックバッグも、もっといろんなデザインがあってもいいだのと、私の提案が呼び水になったのか、いろんな意見が出てくる。
 なぜかポーションホルダーも欲しいと、バトラーさんとテトさんから意見が出た。
 ポーションホルダーとはなんぞやと疑問に思いつつ、彼らの話聞きながら、若干圧がかかったにっこにこ笑顔で紙とペンをセバスさんに渡された私は、ポンチョの基本的な形と二、三点のデザインを起こす。そこに大きく作ればリュックを背負ったまま歩けること、雨を弾く素材なら雨合羽になることも明記しておく。
 刺繍についてはまだこの世界の基準がわからないので、そこは丸投げした。
 あとは鞄の形も描いてと言われ、日本や海外で見た形を描いていく。マチの幅はもちろんのこと、縦横の長さ、ポケットはどの位置か、リュックも女性や少年少女が背負えるサイズを描いたり、冒険者だけではなく小さなお子さんが背負えるようなものまで描いてみた。
 幼児な私でも背負えるようなものだ。
 たとえばデフォルメした人気のある魔物や神獣を模したものをリュックにしたりね。これはぬいぐるみを見て、そういえば日本にそんなリュックがあったなあと思い出したからこそ、描いたものだったり。
 おかあさんもさ、子どもが背負ってる中にタオルやハンカチ、水筒やお菓子を入れられる鞄があれば楽だと思うんだよね。三歳くらいになれば自分でやってみたい! と言うだろうし。
 そうなった時に、これに入れておでかけしましょうと言えば、率先してやってくれる気がする。とはいえ、ここは異世界なので、甥っ子や姪っ子たちがやっていたことがこの世界で通用するかどうかは聞いてみなければ。

 そんなことをしているとアルバートさんが帰ってきた。のはいいが、私をほったらかしてセバスさん以外が白熱したように意見を出し合っていたものだから、アルバートさんが唖然とした顔をして目を白黒させてた。
 すぐに我に返って大人しんじゅうたちをとめたあと、どうしてそんなことになったのか話を聞いたアルバートさんは、私が描いたデザイン画を眺めて一言。

「腕のいい職人と工房を紹介しようか?」

 その言葉に、渡りに船とばかりにセバスさんが頷いた。
 そこからは着替えなどを渡されたセバスさんがアルバートさんにお金を払い、やっとのことで晩ご飯。宝石のカットに関しては簡単そうなものを二点ほど描いたところでストップがかかり、残りは明日以降となった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

銀河戦国記ノヴァルナ 第1章:天駆ける風雲児

潮崎 晶
SF
数多の星大名が覇権を目指し、群雄割拠する混迷のシグシーマ銀河系。 その中で、宙域国家オ・ワーリに生まれたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、何を思い、何を掴み取る事が出来るのか。 日本の戦国時代をベースにした、架空の銀河が舞台の、宇宙艦隊やら、人型機動兵器やらの宇宙戦記SF、いわゆるスペースオペラです。 主人公は織田信長をモデルにし、その生涯を独自設定でアレンジして、オリジナルストーリーを加えてみました。 史実では男性だったキャラが女性になってたり、世代も改変してたり、そのうえ理系知識が苦手な筆者の書いた適当な作品ですので、歴史的・科学的に真面目なご指摘は勘弁いただいて(笑)、軽い気持ちで読んでやって下さい。 大事なのは勢いとノリ!あと読者さんの脳内補完!(笑) ※本作品は他サイト様にても公開させて頂いております。

王になりたかった男【不老不死伝説と明智光秀】

野松 彦秋
歴史・時代
妻木煕子(ツマキヒロコ)は親が決めた許嫁明智十兵衛(後の光秀)と10年ぶりに会い、目を疑う。 子供の時、自分よりかなり年上であった筈の従兄(十兵衛)の容姿は、10年前と同じであった。 見た目は自分と同じぐらいの歳に見えるのである。 過去の思い出を思い出しながら会話をするが、何処か嚙み合わない。 ヒロコの中に一つの疑惑が生まれる。今自分の前にいる男は、自分が知っている十兵衛なのか? 十兵衛に知られない様に、彼の行動を監視し、調べる中で彼女は驚きの真実を知る。 真実を知った上で、彼女が取った行動、決断で二人の人生が動き出す。 若き日の明智光秀とその妻煕子との馴れ初めからはじまり、二人三脚で戦乱の世を駆け巡る。 天下の裏切り者明智光秀と徐福伝説、八百比丘尼の伝説を繋ぐ物語。

銀河戦国記ノヴァルナ 第2章:運命の星、掴む者

潮崎 晶
SF
ヤヴァルト銀河皇国オ・ワーリ宙域星大名、ナグヤ=ウォーダ家の当主となったノヴァルナ・ダン=ウォーダは、争い続けるウォーダ家の内情に終止符を打つべく宙域統一を目指す。そしてその先に待つものは―――戦国スペースオペラ『銀河戦国記ノヴァルナシリーズ』第2章です。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち
SF
 港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。その第1次上陸先が苫小牧市だった。  これは、現実なのだ!  その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。  それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。  同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。  台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。  新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。  目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。  昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。  そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。  SF大河小説の前章譚、第4部作。  是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~

青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。 ※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。

初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました

山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。 だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。 なろうにも投稿しています。

処理中です...