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第11話 パディラン陛下
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「本当に待ってほしい……何を言っているの?」
「言葉の通りです。隠さずにお伝えしておこうと思いますが、ゴーゼル王国を吸収する案を進言したのは僕なんです」
「……ルイが……? どうして? 吸収するって……国が……ゴーゼルという国が消えてなくなってしまうということなのよ!?」
信じられないし信じたくもない。
ゴーゼルは私の大切な国だ。
「悪の根源であるパディラン陛下を退け、新たな王家を立てようとも、いずれまた同じようなことが起きます。国民の幸せを第一に考えられる者でないと、国のトップに立ってはいけないのです」
「…………ホワーズのダリオス陛下なら国民の幸せを第一に考えられる、そう言いたいの?」
「その通りであり、事実そうなのです。なぜなら、我が国のトップに立つ者は選ばし者だから。国王陛下の子どもが次期国王になるわけではございません。毎回、特別な鏡により選ばれるのです」
「どういうこと?」
「その鏡は国王に相応しい者を全国民の中から選びます。国民の幸せを第一に考え、国を繁栄させ続けられる者が選ばれるそうです。建国時から変わらずこの方法でホワーズは繫栄し、存続してきました」
「……それを信じろって言うの? 例えそれが本当だとしても……だからって…………」
「……あまりにも……パディラン陛下のされていることが酷すぎるので……知ってしまったのに、それを見て見ぬふりをすることが……どうしてもできず……」
「……パディラン陛下は一体何をしているの? ルイの言う通り、陛下がルイたちを奴隷として扱うつもりだったと兄から聞いて、私の知らない残酷な一面をお持ちなのかもしれないと思ったわ。だけど、陛下が自国の者を粗末に扱っているお姿を見たことがないの。私たちに命令を下す際も、”必ず傷つけることなく、丁重に捕獲するように”と毎回指示なさるわ。そうやって捕獲することに同意しているわけではないけど……」
「パディラン陛下は他国の者でも自国の者でも関係なく、邪悪な心を振りまいていますよ。自国の者にはバレぬように、支持されるように、部下やアイラさんたちを使って秘密裏に悪事を働いているのです」
”あの方は相手が誰だろうと容赦はしない。ある意味公平だからな”
兄の言葉がよぎる。
「……陛下は……本当に裏で酷いことをしているの? いつも、穏やかに接してくださるのだけど……」
そう……私から見た陛下は穏やかだ。
怒鳴られたことなど一度もなく、優しく接してくださる。
だからルイたちを倉庫に監禁するよう指示を出したのが陛下だと聞いて、正直信じられなかった。
いまだに嘘なのではないかと半分は疑っている。
自分の目で確かめるまでは、完全に信じることができない。
「……知りたいですか?」
「! えぇ……知りたいわ……」
私はルイの手をぎゅっと握った。
「……わかりました。それでは、まずはアイラさんに男女の営みについて知っていただこうと思います」
………………ん?
「言葉の通りです。隠さずにお伝えしておこうと思いますが、ゴーゼル王国を吸収する案を進言したのは僕なんです」
「……ルイが……? どうして? 吸収するって……国が……ゴーゼルという国が消えてなくなってしまうということなのよ!?」
信じられないし信じたくもない。
ゴーゼルは私の大切な国だ。
「悪の根源であるパディラン陛下を退け、新たな王家を立てようとも、いずれまた同じようなことが起きます。国民の幸せを第一に考えられる者でないと、国のトップに立ってはいけないのです」
「…………ホワーズのダリオス陛下なら国民の幸せを第一に考えられる、そう言いたいの?」
「その通りであり、事実そうなのです。なぜなら、我が国のトップに立つ者は選ばし者だから。国王陛下の子どもが次期国王になるわけではございません。毎回、特別な鏡により選ばれるのです」
「どういうこと?」
「その鏡は国王に相応しい者を全国民の中から選びます。国民の幸せを第一に考え、国を繁栄させ続けられる者が選ばれるそうです。建国時から変わらずこの方法でホワーズは繫栄し、存続してきました」
「……それを信じろって言うの? 例えそれが本当だとしても……だからって…………」
「……あまりにも……パディラン陛下のされていることが酷すぎるので……知ってしまったのに、それを見て見ぬふりをすることが……どうしてもできず……」
「……パディラン陛下は一体何をしているの? ルイの言う通り、陛下がルイたちを奴隷として扱うつもりだったと兄から聞いて、私の知らない残酷な一面をお持ちなのかもしれないと思ったわ。だけど、陛下が自国の者を粗末に扱っているお姿を見たことがないの。私たちに命令を下す際も、”必ず傷つけることなく、丁重に捕獲するように”と毎回指示なさるわ。そうやって捕獲することに同意しているわけではないけど……」
「パディラン陛下は他国の者でも自国の者でも関係なく、邪悪な心を振りまいていますよ。自国の者にはバレぬように、支持されるように、部下やアイラさんたちを使って秘密裏に悪事を働いているのです」
”あの方は相手が誰だろうと容赦はしない。ある意味公平だからな”
兄の言葉がよぎる。
「……陛下は……本当に裏で酷いことをしているの? いつも、穏やかに接してくださるのだけど……」
そう……私から見た陛下は穏やかだ。
怒鳴られたことなど一度もなく、優しく接してくださる。
だからルイたちを倉庫に監禁するよう指示を出したのが陛下だと聞いて、正直信じられなかった。
いまだに嘘なのではないかと半分は疑っている。
自分の目で確かめるまでは、完全に信じることができない。
「……知りたいですか?」
「! えぇ……知りたいわ……」
私はルイの手をぎゅっと握った。
「……わかりました。それでは、まずはアイラさんに男女の営みについて知っていただこうと思います」
………………ん?
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