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第14話 ひゃぁぁっ……
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地下迷宮『南南西』の探索は順調に進み、予定よりも早い日程で攻略できる見通しが立った。
何度か未知の魔物と遭遇したが、アーレイが機転を利かせ難なく倒すことに成功し、各部隊の隊長の判断も冴えているためか、体調を崩したりケガを負う隊員が過去最少で済んでいる。
相変わらず顔には出ていないけれど、旦那様はとてもホッとしているように見える。
「あと二、三日で終えられそうですね」
「そうだな。最下層の宝石を採掘すれば終了だ。早ければ明後日、遅くとも明々後日には部隊を帰還させる」
「かしこまりました」
夕方、仕事部屋に執事のベン様がいらっしゃった。
アーレイはちょうど部隊に指示を出しており、手が離せない時だったため、代わりに私が応対する。
書類を受け取り、説明を聞く。
それらをアーレイの机にそっと置いた時、きゅっと手首を掴まれた。
「……?」
その状態のまま数分が経つ。
どうなさったのかしら……?
仕事に戻ってはいけないのかしら……。
部隊への指示出しを終えたアーレイが口を開く。
「つい先ほど、ベンから書類を受け取ったな」
「はい……いけなかったでしょうか?」
「いや、そういうわけではない」
「…………」
表情に変化は見られないものの、どこか不機嫌なような、怒っているような、そんな空気が伝わって来る。
私……何か間違ったことをしたのかしら……。
「受け取る際、指が当たっていたように見えたのだが」
「……指……?」
「キミの指がベンの指に触れていたように見えた」
「……へっ!? え……いえ……触れていないと思いますわ」
指先でも当たったのなら感覚でわかるもの。
触れていないわ。
「……すまない。それが本当だとしても、キミの体に俺以外の男が触れたかもしれないという疑念を拭うことはできない」
アーレイが立ち上がり、私をお姫様抱っこする。
「あっ……! 旦那様? お仕事はっ……」
「部隊は休憩に入った。心配ない」
そのまま足を進め、着いたのは浴室だった。
私を降ろすと、そのまま服を脱ぎ始める。
「きゃっ!? 旦那様っ!?」
あっという間に上半身が露わになる。
ちゃんと見るのは初めてかもしれない……。
なんて……たくましいお体なの……。
アーレイが下を脱ぎ始めたところであわてて背を向ける。
「な……なにをなさっているのですか……っ!?」
「服を脱いでいる。キミと入浴するためにな」
「……入浴っ!?」
がばっ
「えっ……あっ……待ってくださっ…………ひゃぁぁ!!」
アーレイに後ろからドレスを脱がされ、全身に空気が触れるのを感じた。
直後――
ひょいっ
お姫様抱っこをされ、アーレイも裸だという事実や、裸を見られているという事実が一気に押し寄せる。
「ひゃぁぁっ…………」
な、なにが起きているの……!?
これから旦那様と入浴……!?
何度か未知の魔物と遭遇したが、アーレイが機転を利かせ難なく倒すことに成功し、各部隊の隊長の判断も冴えているためか、体調を崩したりケガを負う隊員が過去最少で済んでいる。
相変わらず顔には出ていないけれど、旦那様はとてもホッとしているように見える。
「あと二、三日で終えられそうですね」
「そうだな。最下層の宝石を採掘すれば終了だ。早ければ明後日、遅くとも明々後日には部隊を帰還させる」
「かしこまりました」
夕方、仕事部屋に執事のベン様がいらっしゃった。
アーレイはちょうど部隊に指示を出しており、手が離せない時だったため、代わりに私が応対する。
書類を受け取り、説明を聞く。
それらをアーレイの机にそっと置いた時、きゅっと手首を掴まれた。
「……?」
その状態のまま数分が経つ。
どうなさったのかしら……?
仕事に戻ってはいけないのかしら……。
部隊への指示出しを終えたアーレイが口を開く。
「つい先ほど、ベンから書類を受け取ったな」
「はい……いけなかったでしょうか?」
「いや、そういうわけではない」
「…………」
表情に変化は見られないものの、どこか不機嫌なような、怒っているような、そんな空気が伝わって来る。
私……何か間違ったことをしたのかしら……。
「受け取る際、指が当たっていたように見えたのだが」
「……指……?」
「キミの指がベンの指に触れていたように見えた」
「……へっ!? え……いえ……触れていないと思いますわ」
指先でも当たったのなら感覚でわかるもの。
触れていないわ。
「……すまない。それが本当だとしても、キミの体に俺以外の男が触れたかもしれないという疑念を拭うことはできない」
アーレイが立ち上がり、私をお姫様抱っこする。
「あっ……! 旦那様? お仕事はっ……」
「部隊は休憩に入った。心配ない」
そのまま足を進め、着いたのは浴室だった。
私を降ろすと、そのまま服を脱ぎ始める。
「きゃっ!? 旦那様っ!?」
あっという間に上半身が露わになる。
ちゃんと見るのは初めてかもしれない……。
なんて……たくましいお体なの……。
アーレイが下を脱ぎ始めたところであわてて背を向ける。
「な……なにをなさっているのですか……っ!?」
「服を脱いでいる。キミと入浴するためにな」
「……入浴っ!?」
がばっ
「えっ……あっ……待ってくださっ…………ひゃぁぁ!!」
アーレイに後ろからドレスを脱がされ、全身に空気が触れるのを感じた。
直後――
ひょいっ
お姫様抱っこをされ、アーレイも裸だという事実や、裸を見られているという事実が一気に押し寄せる。
「ひゃぁぁっ…………」
な、なにが起きているの……!?
これから旦那様と入浴……!?
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