旦那様、仕事に集中してください!~如何なる時も表情を変えない侯爵様。独占欲が強いなんて聞いていません!~

あん蜜

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第11話 お尻③

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ちゅう……ちゅむ……

「……はぁ……ん…………」

 揉まれていると私が笑ってしまうからか、アーレイの手はお尻に優しく触れているだけで動かないでいる。

 旦那様とのキス…………好き……大好き…………。
 キスは毎日交わしているけれど、最近は触れるだけの優しいキスだけだった。
 おそらく計画を立てることに集中するため。

 こうして舌が絡まり合うのは、目隠しの日以来。
 あの日もそうだったけれど、今も……体が疼いている……。
 もっと欲しいと、心と体が訴えるかのように……。

 そう感じているのは、私だけ……?
 旦那様は……どんなお気持ちで私とキスをしているの?
 見たい……お顔が見たい……。
 こんなにも深いキスだもの、表情が変わらないはずないわ。
 キスが終わった直後……絶対にお顔を見てみせる……!

 しかし、それはかなわなかった。
 アーレイは唇を愛撫した後、そのまま頬を伝って唇を耳へと移動させた。

はむ……はむ……

「んっ……」

 またお顔を見ることができなかった……。

「何か、考え事をしているのか?」

「えっ……!」

「敏感な耳を攻めているにも関わらず、前より反応が薄いような気がしてな。魔物のことで頭がいっぱいだろうから、考え事をするなとは言わないが、今はここに集中してもらえると有り難い」

さす……さす……

「ひゃあぁっ……ぁっ……んふっ……んふふ……」

 アーレイの手は、今日もお尻ばかりを愛撫する。
 ……そろそろ…………あの場所も…………。

ふわっ

 アーレイの手がお尻から離れ、捲し上げられていたドレスが元に戻される。

「…………」

 終わり……なのね……。
 そうよね……明後日には探索が始まるものね。
 気を引き締めないといけない時よね……。

そ……

 アーレイの手が頭に触れたので、少しうつむき加減だった顔を上げる。

「そんな顔をするな」

「……えっ」

「キミの欲求には気づいている。明後日の晩、隊員たちが魔物を倒し、安全を確保でき次第、キミが求めてやまない場所をたっぷりと愛撫するつもりだ」

「……えっ!? あ……旦那様っ――」

「存分に期待してくれて構わない。応えてみせるからな」

 アーレイは資料を私の手に戻すと、机に向かい、再び計画表と睨めっこを始めた。

「…………」

 ええええええええっ!?
 私の欲求に気づいているって……私が求めてやまない場所って……つまり…………っ!?

 視線の先をアーレイから資料に移すも、全く集中できない。
 明後日の夜、部隊の探索が無事に進めば、旦那様は私のあの場所を……。
 想像しただけであの場所が疼いてしまう。

 すでに今、じんじんしているのに、実際に旦那様の指で愛撫されたら私はどうなってしまうの……?
 期待と不安で心臓が騒がしい時間は瞬く間に過ぎ去り、部隊が地下迷宮へと侵入する時を迎えた。
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