旦那様、仕事に集中してください!~如何なる時も表情を変えない侯爵様。独占欲が強いなんて聞いていません!~

あん蜜

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第10話 お尻②

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も――み も――み

「これは……たまらないな」

「えっ?」

 アーレイの大きな手で、豪快に、けれども優しい力でお尻が揉みほぐされていく。

「触り心地だ。柔らかいだけではない、もっちりとした弾力……我慢した分、喜びが爆発しそうだ」

「!?」
 
 我慢……!?
 最近の旦那様の行動は、我慢してらしたということ!?

 目隠しをされ、へろへろになるまで胸を愛撫された日の翌日から、アーレイはお尻ばかりを攻めてきていた。
 しかし一度も揉まれたことはなく、いつも優しく撫でるだけだった。

「地下迷宮攻略の計画を立てる際には、頭を酷使するからな。この準備期間は己を律するためにも、撫でるだけにしておいた。その方が、焦らす効果も生まれ、キミの感度もより高まり一石二鳥だからな」

「そっ……そのようなことを、お考えだったなんて……」

「正解だったな。キミの腰は動いてばかりだ」

「っ!! くすぐったいだけですわっ!」

「そうか」

がばっ

「……へっ……!?」

 アーレイの手によって、シュミーズごとドレスの裾が捲し上げられ、お尻が露わになった。
 一気に空気が肌に触れる。

「えっ なっ なっ……なにを……して……」

ぴと……

「ひゃぁん……っ!!」

 お尻に……直接手がっ……!?

「大丈夫だ。まだ動かさん。キミのここが、俺の手に慣れるまで待つ」

 いや……待つと言われましても!!
 こ、こんなの……慣れるわけ……。

「……………………」

「……少し、動かしていいか?」

「えっ…………あ…………」

「嫌ならそう言ってくれ。キミが嫌がることはしたくない。俺からのお願いだ、絶対に遠慮するな」

「…………わかりました…………嫌ではございませんわ…………っ」

「そうか……」

 アーレイの返事がどこか嬉しそうで、胸がきゅっとなる。

さす……さす……

「ふぅんっ……!」

 思わず、アーレイをぎゅっと抱きしめた。
 アーレイの片手がお尻から離れ、私の腰を支える。

「……大丈夫か?」

「…………だ……大丈夫で……ございますわ……」

「そうか……」

 本音を言うと、大丈夫だけど大丈夫でない。
 少し撫でられるだけで、体中に何かが走るような感覚が生じる。
 自分のお尻が敏感なことに驚かされる。

もみ……もみ……

「っ……ふふっ……んふっ…………んふふっ……」

 なぜか笑ってしまう。
 変な人になっていないかしら……。
 傍から見ると絶対変だわ……。

「くすぐったそうだな」

「はい…………ですが、くすぐったいだけではなくて……」

「気持ちいいのか?」

「…………わ、わかりませんわっ…………」

「ははは、そうか」

「!?」

 また笑った!?
 前からハグしている状態で表情が見えない。
 顔をぐっと後ろにそらしてみる。

「旦那様っ! また笑って――」

ちゅ……

 それ以上何も言うな、とでも言うかのように、優しい口づけで言葉が阻まれた。
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