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そして出会う俺とお前
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しおりを挟む「アルディウスよ。」
「…………、なんだよ。」
「私を番にしてくれ。」
「ブッ……α同士が番になれる訳ないだろ!アホかお前はぁ!!」
「いいや!私はちゃんと準備をしてきたんだ。安心してくれ。」
「なにを安心しろってんだ!朝たぱらから乗り込んで来やがって!」
「むふふ、アルディウス匂いが充満してる部屋…興奮する……。」
「けっ、警備の方ー!不審者入り込んでますよー!!」
住み慣れた家で寝ていると、人の気配がして目が覚めた。最近、保護者達は離れのほうが気に入っているらしくそちらで過ごすほうが多いので、コハクと一緒に寝る回数は大分減った。
たまに一緒に風呂入ったりするけど、まるでお隣さん同士のように家が違う関係になった。コクヨウ曰く、子離れらしい。家が隣同士で子離れっていうのか?
そんな感じなので、一人で寝ることが多くなった。アンダーグラウド家の敷地内で警備もしっかりしてるので、俺は安心して眠りについていたのに……目覚めたら目の前にロンバウトがいたのだ。恐怖である。
悲鳴も出なかったわ、怖すぎて。ラフな格好でどう見ても休日使用のロンバウトだが、手に持っている謎の薬が怪しすぎて安心できない。目が虚ろで感情が読み取れないんだ。
「やっと準備が終わったんだ。君を迎え入れることが出来るよ。」
「やだよ!俺は嫌だって言った!お前のこと好きじゃない!」
「そんなこと言わないでアルディウス。私は君に全てを捧げるよ?」
「捧げんでいい!俺は尻の穴をお前にくれてやるつもりはないんだ!その手に持ってるものしまえ!」
「……それはそれで魅力的な話だけど、アルディウスは勘違いをしているよ?」
「勘違いだと?お前の手に持ってるのローションじゃんか!なにが勘違いだ説明してみろ!」
「これは私が使うんだよ?」
「………は?」
「私が、使うの♡」
うっとり、怪しげなローションに頬ずりしながらロンバウトが言うものだから、俺の頭に大量のハテナが出た。固まる俺に、にっこり笑ってロンバウトは言うんだ。だから、迎え入れることが出来ると言ってるだろう、と。
そっちの意味かい!話がぶっ飛び過ぎて頭が追いつかない。それでも全然嬉しくないんだが!男に頬を染められたって嬉しくない!語尾を甘くするな、気持ち悪いなぁ!
にじり寄るロンバウトが怖すぎて声すら出なくなる。目が本気なんだ!こいつ俺を襲おうとしている!
「あっ、αのお前がわざわざ俺を選ぶ必要ないだろ!なんで俺なんだよ!」
「アルディウスと初めて出会った時から、私の心には君しかいないんだよ。…間違えてしまったこともあった。謝ることすら出来なくて後悔もした。それでも、……諦めきれないんだ。第二性なんて関係ない。君は、私の運命だから。」
「うっ、運命なんて…そんな夢物語みたいなこと言ってないで現実を見ろ!」
「勿論、見ているよ。今も昔も、私にはアルディウスだけ。アルディウスだけなんだよ!」
ロンバウトが少し声を荒げて言う。俺は驚いてしまって言葉を失う。少し俯いていたロンバウトが顔を上げると、歯を食いしばって泣くのを堪える表情だった。見たことのない表情で驚いてしまった。弱さなんてみせない男だと思っていたのに。
そもそも、行動が大胆すぎて怖いんだよこいつ。常に暴走モードだから。二人で話す機会が無かったせいかなぁ…。俺は頭を掻いてどうしたものかと悩むのであった。
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