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そして出会う俺とお前
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しおりを挟む俺が今までの生き方を自覚してから、今まで出会ってきた人達の見方かわ変わった。すぐにロンバウト達と会わなきゃいけなくなるけど、前より拒否反応がない。
なんでだろ?あれかな、気持ちに余裕があるからかな。まぁ、きっと目の前にしたら嫌悪感しかないだろうけど…。話を聞くくらいはするかなぁって。
最後に見たあの表情も気になる。感情が読み取れない仄暗い闇を感じさせたあの表情の意味はなんだろうか?俺に対する恨みではなかった…もっと、なんかこうドロリとした執念が溶け出したものを隠そうとした感じの、背筋が寒くなるような…。
ロンバウトがどう考えているのかはわからない。ただ、たった1回出会ったあの時、溶け出した感情からわかったのは俺に向けた欲情なのだけはわかった。
同じαで、きっと俺のほうが身長は高い。筋肉量は向こうのほうがあった気がするが、それでも俺だってムキムキだし!ちょっと筋肉付きにくい体質なだけだし!
そんな、ゴリゴリのαの俺を見てあんな興奮するものなのか。頬ずりなんてしたくないよ、俺だったらね。Ωのような可愛らしい要素なんてないはず…ないよね?
もんもんと考え続ける。場所はまたもやギルドの横にある馴染みの酒場だ。酒を飲みながら耽るにはちょうど良いのである。そんな俺に声をかけてきた男が一人。
「また難しい顔してんな。」
「……あぁ、タサファンか。いやさ~、明日になったらあいつらに会わなきゃいけなくてさ~。」
「あぁ、例のお貴族様方。ギルドマスター喜んでたもんな。あいつらもついに報われる時が来たか。」
「あれ、タサファンは俺の味方じゃないの?!なんであっちの肩持つのさ!」
「別にあいつらの肩を持っているつもりはない。純粋に、そう思っただけだ。」
「なんだよ…。」
タサファンまでもがロンバウト達と会うことを進めてくる。報われるって何?なんで俺を探し続けていたのか明確な理由も無しにそんなこと言うわけ?
眉間にシワを寄せて唸るとタサファンは笑いながら何かを思い出すように目を閉じた。
「6年前のあの姿、今だに脳裏に焼き付いてんだ。お前を探し続けていたのに、いつの間にかまた消えた。期待を一気に絶望へと叩きつけられたような表情……あれは演技じゃなかった。他を恐ろしく思わせるほどの感情だったからな。」
「タサファンにはどう映った?」
「あの貴族達か?」
「そう。」
「そうだな……狂愛の塊、かな。」
「きょう、あい……?」
「お前のことになると、トチ狂うんだ。狂愛以外に何がある。」
フフッと笑いながら言うタサファンに、こいつ本気で言ってんのか?と、疑念の視線を向ければあっけらかんと言いのけた。
「お前は確かにあいつらに愛されていたよ。間違いなく、誰よりもな。」
「信じられない…散々虐められて惨めになって、家では存在しないように過ごしてきたあの環境で愛される要素があるわけない。違うか?」
「俺が思うに、好きな子はイジメたくなる、じゃねーかなって。それが行き過ぎたんだと思ってる。」
「まさかとは思うけど……その好きな子って、俺?」
「それ以外ないだろ。よく思い出してみたらどうだ?」
タサファンに言われて昔を思い出す。まさに美少年であったロンバウトは誰からも好かれた王子様……しかし、俺にだけ冷たくあたる王子様。
そのきっかけは、なんだったろうか?何故そんなにも冷たくあたるようになったのだろう?……俺は周りの貴族には関われなかった。関わるとロンバウトが制裁をするから。
……ん?なんで制裁してたんだ?俺が気に入らないなら俺だけをいたぶればいいんだもんな?……あれ?
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