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そして出会う俺とお前
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しおりを挟む翌日にはギルドカードに例の話し合いについての連絡が来ていた。はやっ……と寝起きの頭で思った。ベッドの上でギルドカードからのメッセージを開くと、昨日のうちにギルドマスターがロンバウト達に連絡した返事が来たので、出来れば今日中に予定を決めてしまいたいとのことだった。
まさか昨日の夜に返事が返ってきたの?もうギルドマスター可哀想、もう少しだけ頑張ってほしい。
お世話になっているギルドマスターが弱る姿は見たくないし、本当に、本当に嫌だけどあいつらと会って話をするか。かりかりと頭を掻きながら渋い顔をしつつも、無理やり納得することにした。
朝から嫌な気持ちになったが、これが良い方向にいけば俺は自由な暮らしが待っているんだ!絶対にもう二度と関わらせないんだからな!
……でもやっぱやる気は起きないから二度寝しよ。バフンッとベッドに身体を預けると昔の事を思い出してしまう。あの惨めな日々が脳裏を過ると、とてもじゃないが二度寝なんて出来なかった。
しかし、なんであいつら頭のネジ飛んでいっちゃったんだ?元々、俺のこと嫌いだからあんな嫌がらせしたし、兄弟達は俺の存在を無視してた。そんな相手に執着するなんて絶対に変だ。
あいつらの考えてることがさっぱり分からない。……あの西の森で再会し、俺に向けたドロリとした視線を思い出して背筋が冷たくなる。
ベッドの上で震えていると、ガチャリと俺の寝室の扉が開いてハクアが入ってきた。こいつ朝起きるの早いからなぁ……本当におじいちゃん。
「おや、起きておったかアルディウスよ。顔色が悪いな。」
「……アントムさんから連絡きた。」
「なんだと?我には連絡が来ていないではないか!約束したのに!」
「ハクアがギルドカードの使い方分かんないから仕方ないね。」
「全く、アントムめ!次にあったらお説教ぞ!」
「やめなさい。……で、今日中に予定決めたいから連絡寄越せってさ。どうする?」
「それは皆が集まってから決めるとするか。……で、気分が優れぬか?」
「いやぁ、昔の事を思い出してさ。体調は悪くないから問題ないよ。」
ゆっくりと体を起こしてハクアに言うと、わしわしと頭を撫でられる。こうやって頭を撫でるのは保護者達くらいだ。甘やかされているが、これでも身長180cm越えのαなんだよね。
αの能力を超えた神の眷属であるからすれば俺はまだ小学生らしいからなコハク曰く…。まぁ、嫌いじゃないんだな、俺って前世も今世も親がろくでもなかったから。
「……よし、飯食うか。俺が作ろうかな~。」
「アルディウスが!?それは楽しみだな!唐揚げ、唐揚げ!」
「朝から唐揚げ、重くない?せめて昼飯にしよう。朝は目玉焼きに鮭の塩焼き!お米、味噌汁!」
「ぬっ、それも良い。昼は唐揚げ…今日は良い日だな。」
「ハクアは唐揚げ好きだな。生姜焼きとか作ろうか?濃い味付け好きだろ?」
「しょうがやき?なんだ美味いのか?」
「まぁ醤油で豚肉焼いたようなもの?まぁ食べてみればいいよ。材料あったよな?」
「ワハハ!楽しみだ!」
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