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そして出会う俺とお前
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しおりを挟む俺が気絶している間にお貴族様達は怒涛の勢いで戻ってきた。保護者達が見つからないように俺を隠してくれたおかげで次に目覚めた時には家にいた。
身体はすっかり治されており、保護者達がちょうど帰ってきたのを見計らってスタンピートがどうなったかを聞いた。
俺が活躍するまでもなく、ダンジョンは保護者達が。湧き出た魔物達をその他騎士団と冒険者達が対応し、無事に殲滅出来たそうだ。神経系の毒持ちであることを事前に知れたおかげで対策が出来たとアントムさんは喜んでいた。
しかし、問題なのはお貴族様達であった。せっかくなのでと八つ当たりをする為に討伐任務に参加した公爵家当主☓2とお供。暴れようが凄まじく手に負えなかったので基本放置するしか無かったそうだ。
スタンピートを物ともしない知力と剛力、俊敏力はダントツだったそうだ。予定よりも戦力が集まり、予定より早く決着がついた。それはおめでとうだね。
……俺だけ役立たず…すっかり意気消沈し癇癪起こして我儘な態度を反省し、素直に保護者達に謝る俺だった。
「なに、我らも頭ごなしに話をしてすまなかったな。アルディウス、次からは気をつけるからの。」
「俺も大声出して怒って悪かった…反省している。」
「コハクも~、ちゃんとお話聞いてれば良かった~って思ったの~。だから、次からはお話聞いてからにするよ~。アル様、もう怒ってない~?ごめんなさい~…。」
「いやいや、俺が勝手に癇癪起こしただけだから……迷惑かけてごめんな、みんな。」
「じゃあ~、仲直り、だね~!今日からまたアル様と~、一緒に寝れるの嬉しいな~!」
「アル、風呂に入るか?また3日ほど寝続けていたからな。」
「風呂入る前に飯だなぁ…すごいお腹空いたー!」
「ワハハ、では我が丹精込めて作ろうかの。」
仲直りはあっさりしてたね。でも、これくらい気軽で本当に良かったよ。変に気を使うと拗れるのが長引きそうで嫌になるところだった。
ホッとしている俺にニコニコのハクアがそう言えば、と話が続く。なに?どうかした?
「アルディウスが目覚めたら兄上方が訪問に来るそうだぞ?」
「えっ……嫌なんだけど。」
「そう言うでない。心配していたのは本当なようだしのう。少し話し合ってみるとよい。不安であれば我も共にいよう。」
「もちろん、俺もいるならな。安心すると良いぞ。」
「コハクも~!コハクはアル様の家族だもん!ちゃんと守ってあげるからね~!」
俺が凄い不細工な顔で拒否しても引かない保護者達。可愛くないとコハクから文句を言われつつ、仕方ないとばかりにため息をついて渋々了承した。
万全な体調なら魔力もあるし、転移魔法を駆使して逃げることは出来るだろう。保護者達がどこまで話し合いに入り込んでくるつもりだろうか?不安で寝れなくなりそうだ。
「フハハハ!いい機会である。我らこそアルディウスの親であり兄弟であり、友であることを知らしめる時ぞ!」
「なにを悪いこと考えてんだハクア。」
「いやなに、今更ながら我らのアルディウスを取り返そうなどとふざけたことを抜かす人間に、少し説教でもしようかと。」
「確かに~、コハク達のほうが長~くアル様と一緒にいるんだもん~。万が一にでも~、奪われちゃったらコハク我慢効かないかも~。」
「……確かに、あの執念は異様だったしな。可愛いアルを守るのは俺達の役目だ。備えあれば憂いなし、と言うやつだな。」
「よし!では、気合をいれるがよい皆のもの!アルディウスの為に!」
「アル様のために~!!」
「元気だなお前ら。面白がってるだろ絶対に。」
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