実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

文字の大きさ
上 下
73 / 103
そして出会う俺とお前

5

しおりを挟む



 そから放心状態の俺にギルドマスターは渋い顔をしながら続きを話した。保護者達もつられたように同じく渋い顔である。

 保護者達としょうもない喧嘩をし、今はやりたいことをさせてやろうと言うことで俺が単独で森に入ったのを見届けた後。いざとなれば保護者達が乗り込めるよう準備をして数時間に森が騒がしくなり、俺が暴れているのを確認出来たそうだ。

 ……どうやって確認したのか気になるが今はそこではない。

 思いの外、俺が苦戦しているのを感じ取ったのかいつ保護者達は森に乗り込もうか悩んでいる時にお貴族様から連絡が来たそうな。

 それはもう呪詛のような声だったそうだ。この連絡がなかった数カ月、向こうも色々あっらたらしく連絡越しの声色はかなり荒れていた。

 そんな状態のロンバウトへなんと説明したらいいのかアントムはかなり悩んだそうだ。しかし、隠しても意味がないので大まかに俺が単独で森に入ったと説明した途端、作戦会議をしていた部屋の扉が破壊される程の威力で開いた。……そこにいたのが、お貴族様であるロンバウトとフィリスティウス、エリンティウス兄弟だったそうな…。



 「あぁ、だからあの扉…。」
 「簡易的な設備だからよかったものの、これがギルドの中でやられたらと思うと胃が痛くなるよ。」
 「なんで簡単に話しちゃうかなギルドマスター!俺、魔物より怖いって思っちゃったんだぞ!」
 「前にも言ったが私の立場では貴族に逆らうのはむずかしのだ。なんなら、あのお貴族様達を敵に回すと碌な事にならないと、この数年で理解している。」
 「そんなぁ…。」



 俺を売ったってことか…いや、そうしてくれても良いと昔に言った気がするけど、あんな危険な変態になってるなんて想像してなかったんだよなぁ。

 まぁ、あの大量の手紙を家に流し込まれていた時点で察しておかなきゃいけなかったんだ…とほ、ほ…。



 「……気絶したか。」
 「ほんにアルディウスは変態に好かれやすいのう。」
 「ヨルダンのギルドにいたルチスというΩにも好かれていたもんな。あれはなかなか…。」
 「コハクがちゃんとダメだよ~って教えてあげたから~、もう大丈夫だと思うけど~。また来たら~、ちゃんと教えてあげないとね~。」
 「狡猾なΩの行動力には驚かされる。あのような薬をよう手に入れたものよな。」



 ぐったり動かなくなった俺をコクヨウが抱き上げると同時に俺の知らない話がまた始まる。そう、お忘れであろうか?ヨルダンのギルドで働いていたオレンジ頭の可愛いルチスのことである。

 食事の約束をしたものの、俺が大怪我&リハビリの為に大森林ギルドから離れたあとの事。

 何度か御見舞に来ていたらしいルチスだが、どこでネジが飛んだのか強力な媚薬を手に入れ俺を調しようとしたところをコハクに見つかったそうな。Ωがαを調教?……どうやらアピールしても無反応な俺に痺れを切らしたらしい。

 強気な性格もあわさり、勝手に女王様キャラになってしまった。今はどこにいるかは不明である。知っているのはコハクだけ。

 ヨルダンのギルドにはどこぞの貴族に嫁に行ったと報告が上がっているが、詳細は不明である。本当に保護者達を怒らせると碌な事にならないのであった。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

神子の余分

朝山みどり
BL
ずっと自分をいじめていた男と一緒に異世界に召喚されたオオヤナギは、なんとか逃げ出した。 おまけながらも、それなりのチートがあるようで、冒険者として暮らしていく。

【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~

ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

公爵令息は悪女に誑かされた王太子に婚約破棄追放される。

克全
BL
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】

リトルグラス
BL
 人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。  転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。  しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。  ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す── ***  第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20) **

処理中です...