実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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そして出会う俺とお前

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 マーニアムはスッと消えてしまった。なんか含みのある言い方をしていたが、こんな上級の魔物だらけの場所に来れるのは保護者達くらいしか思いつかないんだけども。

 相変わらずマーニアムの加護に守られている俺は身動きが取れない。魔力が尽きると気絶してしまう危険がある。だからこれ以上魔力を使う訳にもいかない。

 ならもう大人しくしとくのが1番良い。被害を広げない為にもね。痛む右肩を擦りながらマーニアムが言っていた迎えを待つことにする。

 暫くして、魔物達が急にギャアギャアと鳴き始め俺が標的から外れたのがわかった。どうやらマーニアムが言っていた迎えが到着したようである。ふぅ、緊張の糸が緩み大きく息を吐き出す。視線をむければ巨体を筆頭に3つの影。

 ほら、やっぱり保護者達じゃないか。なんて思っていたら……



 「アルディウス、アルディウスーッ!」



 ………ん?あれ?聞き覚えのない声。タサファンほど低い声ではない。まさか全然知らない人が来てくれた感じ?そりゃ迷惑かけましたねぇ。

 保護者達ではない誰かの声は初めて聞くものだったから、すぐその声に応えることが出来なかった。

 その声の持ち主は相当な実力者なのか湧き続ける魔物達を物ともせずに切捨て道を開いていた。おぉ、保護者達を見ているようだ。

 ぼけっとその光景を眺めていると、姿がハッキリ見えてきて俺はヒュッと喉が鳴ったのがわかった。



 「な、なんでぇ……?」



 見間違えるはずの無い艶のある黒い髪に満月のような瞳…随分と成長した俺の大嫌いな男がいた。マーニアム!こいつはなんでここにいるんだよ!

 そいつの背後からさらに巨体の濃いピンクブロンドの髪を振り乱しながら魔物を切り捨てる炎のような色の瞳を持つ男に、淡いピンクブロンドの長髪を纏め眼鏡の後ろに俺と同じ紅い瞳を持つ男までやってきた。

 おいおい、嘘だ……嘘だと言ってくれマーニアム…!



 「ロンバウト!?それにフィリスティウスとエリンティウスまで!?」



 絶句した。間違えようがない3人に俺は逃げ腰である。幼い頃の面影なんて色味くらいしかない成長ぶりである。……エリンティウスは細いけど、きっと服を脱いだら凄いんだろうな…。

 大嫌い三人衆の猛攻により魔物の数は一気に減った。αが3人も集まって集中攻撃するとこうなるのか、恐ろしい。

 出来れば見つかりたくないけど、まぁ無理だよね。唖然として身動きの出来ない俺を、ついに奴は見つけてしまった。目が合うと、大きく見開き口は戦慄き頬を赤らめる男。

 まごう事無き元王子であるロンバウトに間違いなかった。筋肉質な男になろうとあの瞳の色を忘れるはずがない。



 「あっ……はぁっ……っ!あ、ある、でぃうす……!」



 急に変な話し方になるロンバウトに気づいた血族であるフィリスティウスとエリンティウスまでもがこちらに気づいて視線を向けた。

 異様なほどの熱量が篭ったその視線に背筋が寒くなる。ロンバウトが俺に目掛けて駆け寄ってくる。た、頼むマーニアムの加護よ!俺を守ってくれ!頼む~っ!!



 「やっと会えたね、……私のアルディウス…。」



 お前のアルディウスじゃねぇ!気持ち悪いことを言うな!!


 
 
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