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復帰した俺に不穏な影
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しおりを挟むスタンピート対策で国の周りには防壁を強化する魔法陣で固められ、続々と魔物討伐に集められた冒険者や、国を守るための騎士団が準備を進めている最中…俺は不機嫌だった。
理由はご存知の通り先日帰ってきた保護者達の態度があまりにカンに触ったからだ。話は大きくなって俺に自由はないのかーっ!てところまで叫んでいた。
お菓子作る自由くらい下さいよ!マーニアムとお茶会する為の仕度くらいさせて下さいよ!!全く、少し会わなかっただけで以前の過保護状態に似た様子に戻りうんざりしてしまった。
そんなわけで、俺は暫く口は聞いていないし手作りクッキーもあげなかった。全部ギルドにいたマルさんとタサファンに渡した。エルダの分を含めてタサファンには多めにね。
それを見た保護者達は愕然と項垂れた。たかがお菓子だが、マーニアムへあげたクッキーだと知った途端にあたふたとしてなんとか手に入れようとする姿は実に滑稽だった。
心が廃れ気味の俺は罪悪感など感じず無視を貫き通した。それも今日で5日目、保護者達のご機嫌取りを一切相手にせずじろりと睨むだけ。
もしこれが原因で保護者達がスタンピート殲滅の役割を放棄しても、意地でも俺は謝らないし、手を借りるつもりはなかった。
マーニアムの加護がついたアムの神籠手があれば、乗り切れる気がするのだ。不思議と自信がついて負ける気がしない。そういうバフがかかるのかもしれない。
そんなことを思いながら俺はギルドの中にある酒場でエールを喉に流し込んでいた。明日には魔物殲滅の為に戦場に出る。スタンピートが始まる前から少しずつ魔物を減らす為に先行して俺が向かうという話をギルドマスターにしたからね。
当初の予定を変更し、俺は単独行動で保護者達にはダンジョン攻略をしてもらおうって話をしたら保護者達は全力拒否した。だがしかし有無を言わさない。俺はしばらく一人でいたいのだ。
「考え直せアルディ…、アルよ…わざわざ離れて狩る必要もないであろう?なっ?」
「何もそうヤケにならんでも……いや!すまない!そうじゃないんだ!ただ離れて戦うなど効率もわるいだろう?」
「そうだよ~!今までも一緒だったじゃんか~!ね~?そろそろ許してよ~…。」
いやだね!そんな俺の態度に保護者達は困り果てている。ついに諦めたのか凄く渋々納得して作戦は決定したのだった。
「まさか……これは噂に聞いていた反抗期というやつではあるまいか。」
「なん…だと…!?まさか俺達がいない間に思春期を迎えてしまったというのか!」
「そっ、そんなぁ~…じゃあ~、アル様はずっと怒りんぼに、なっちゃうの…?」
「反抗期は一時的なものだと聞いた…暫くは荒れるかもしれんな…。」
「暫くっていつまで続くのぉ~……。」
「わからん、しかし今は見守ることにしようぞ。」
「なんと…そんな……。このように侘びしく思うことになろうとは…。」
「仕方ないけど~…今はお話も聞いてくれないくらい~ご機嫌斜めだしねぇ~…。」
「今回ばかりはアルディウスの言うことを聞いて乗り切るしかあるまい…。」
「……しかし、あのアルの冷ややかな視線にはなにやらゾクゾクとさせられるな。」
「普段見せぬギャップというやつかの。」
「コハクはいつものアル様が一番好きだよ~。早く仲直りしたいな~。」
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