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復帰した俺に不穏な影
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しおりを挟む「………甘ったるい臭いがするぞ。」
(ギクッ…!)
「なんだこの砂糖の山は!必要ないものを買うんじゃない!」
「あ~っ!これもしかしてクッキーじゃないの~!?一人で~、食べてたんでしょ~!アル様ずるい~!!」
「それは俺が作ったやつだ!砂糖も必要だから捨てないで!」
久しぶりに帰ってきたらこれだよ…目ざとく隠していたクッキーを見つけやがって!確かに砂糖は買いすぎてまだまだ余ってるけど、今後またお菓子作るつもりあるから捨てないでよ!
仲良く皆で帰ってきた保護者達。スタンピート対策で忙しい最中、悠々と帰ってきた面々は、家の中に入った途端に不機嫌な顔になった。それぞれが文句言い放題である。
ハクアは忙しなく鼻を鳴らして部屋の中が甘い臭いがするってうるさいし、キッチンに向かったコクヨウが俺が買ったお菓子の材料に目をひん剥いて怒るし、戸棚の中に隠していたクッキーをコハクが見つけて俺に独り占め良くないと勝手に勘違いしてプリプリ怒る。
いやー、うるさいのよ。酷くない?少しハメを外してお菓子作っただけでこんな怒るなんて…。マーニアムはあんなに喜んでくれたのに、保護者達はそんなふうには思ってないようだ。残念だなぁ。
「せっかく作ったのになぁ…。」
「あっ、いや!アルが作ったなんてすごいじゃないか!そ、そうかそうか!菓子を作るから砂糖が必要だったのだな!」
「アル様の作ったクッキー食べた~い!アル様コハクの分は~?」
「ないよ、ないない。あげない。」
「なっ、なんで~!?」
「………。」
なんでじゃない!ごめんなさいもしないで俺のクッキーを食えると思うなよ。なんで怒ったかもよくわからんのに!!
俺は戸棚の中にあるクッキーを根こそぎ亜空間魔法で隠し、そそくさと家から出ていく。奪われる前にギルドの皆に配ってしまえ。
後片付けだってちゃんとしたし!自分の金で材料を買ったんだから怒られる筋合いはないぞ!
ブツブツと文句を言いながら俺はやや早足でギルドまでの道のりを歩く。背後から保護者達がついてくるのが気配でわかるが無視である。
「あ~ん!待って~!アル様どこに行っちゃうの~!!久しぶりに帰ってきたのに~!」
「待つのだアルディウス!何をその様に怒っておるのだ。ほれ、話を聞くから一旦住処に戻ろうぞ!」
「いやだ!」
「暫く留守にしていて心配だったのだ!急に大声を出して怒ったのは謝る!」
「コハクもごめんなさいするから~!勝手に勘違いしちゃったの謝るから~!」
ぴたり、俺は足を止めてじとりと保護者達を睨む。
「ちなみにこのクッキーはマーニアム神様に献上した残りだから。マーニアム神様は美味しいって凄く喜んでくれたクッキーだ。あ~あ、俺は悲しいなー。」
「なんだと!マーニアム様に!?」
「まぁ、所詮は俺の手作りお菓子だし?そんな献上なんて言い方するほどのものではないけどさ。」
「マーニアム様が直接召し上がられた甘味…つまりアルディウスよ!マーニアム神様と会われたのか!?」
「そりゃ会いましたとも。俺はマーニアム神様が俺の相棒の籠手に加護をくれたからお礼に俺の前世にあったお菓子を再現してあげたの!それをさ、甘ったるいだの無駄遣いだの独り占めズルいだの…!ブツブツ……。」
「あわ、あわわわ……!!」
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