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復帰した俺に不穏な影
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しおりを挟む『スタンピート、ですか…。』
「そうなんだよ!多分意図的に発生させたのかダンジョン3つも出来てるし、上位の魔物はうじゃうじゃだし大変よ?」
『それはそれは…ご苦労さまですねぇ。』
「なんとか魔素溜まりを駆除しないと国が滅んじゃう規模なんだよ…誰だよほんとに迷惑かけやがやってさ~!」
神様ことマーニアムと世間話をしています。せっかくだから神様なんて呼ばないでマーニアムと呼んでほしいと言われ、確かに神様って複数いるし名前があるならそっちで呼んだほうがいいよな~って思った。
俺がこの世界にくるきっかけになった神様であり、時々声だけが降臨して俺に不便がないか心配してくれる神様。前に地上で暮らす俺にそんな関わって大丈夫なのか聞いたら、異世界の魂はとてもこの世界では大切だから少しばかり過干渉になっても問題ないと言っていた。
マーニアムが前世の俺を選んだのは偶然だったけど、とても大切にされているのは何となくわかった。異世界の魂ってだけじゃなく、仲の良い親戚のお兄ちゃんみたいな感じで時々様子を見てくれていたらしい。
今更ながらタメ口で話してるのを直すべきか悩んだら、そんな寂しいことしなくて良いと否定された。神様って一人の時間が長いから寂しくなるんだってさ。
『私が手伝ってあげたいのですが、流石にそこまでしてしまうと世界の理が揺らいでしまいます…う~ん…。』
「いや大丈夫っしょ。なんとかなるって。マーニアムはお菓子でも食べながら観戦しててよ。」
『………あっ、いいこと思いつきました!アルディウス、其方の愛用のガントレットがあるでしょう?あれをお貸しなさい。』
「ガントレット…?あぁ、籠手のことか。はいどうぞ。」
何を閃いたかマーニアムはむふふ、と含み笑いをすると俺の相棒にその長~い髪をひと束をクルクルと巻きつけて、キラキラの粉をかけた。
綺麗に磨き上げたばかりの籠手がさらにキラキラになって、巻きついたマーニアムの髪がしゅるりと絡むと蔦のような柄になって籠手に馴染んでしまった。
唖然とする俺に対して満足げにニコニコしながら進化した俺の籠手を撫でる。
「……何したの?」
『この子に私の加護をかけたんです。こうすれば、いつでも貴方を守れますから。』
「俺自体にもマーニアムの加護があったはずだけど?」
『それとは別です。その加護は其方の潜在能力を高める補助ですからね。今、この子にかけた加護は私と其方を直接繋ぐ道として私そのものが其方を守る為だけに発動する加護です。』
「とんでもないことしてない?それ過干渉通り越してない?大丈夫なの?」
『言ったでしょう?アルディウス自身には過干渉になっても良いんですよ、私はね。』
うっとりとした表情に何も言えなくなる。おう、これ本当に大丈夫か?そんな俺ばっかり加護貰ってしまって問題になったりしないの?大混乱の俺はマーニアムと籠手を交互に見ることしか出来ない。
俺はマーニアムの事情を知らない。だから、マーニアムがこの世界の神様で一番有名な“世界を見渡す守り神”であり“世を罰することのできる全神”『マーニ・コア・イ・アム世界神』と言う名であること。
そして何でも出来て、立場が高すぎて部下に距離を取られる可哀想な社長…みたいな感じで過ごす寂しがり屋な神様。
『やっと仲良くお話が出来る子が出来たんですよ?可愛がらないわけないじゃないですか。えぇ、それはもう目一杯……ね?』
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