実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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復帰した俺に不穏な影

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 俺が怯えながら手紙を返して、早くも1週間が経過。意外にもすぐに接触してくると思ったが全くの音沙汰なしになった。ギルドマスターにも接触なし。まさか本当に呪い返しが成功してしまったのか?恐怖である。

 しかし、平和な生活には変わりなく冒険者として復活しギルドマスター直々にランクを上げてくれて今では特級Sランクである。

 この長いリハビリのおかげで6年前より魔力量も増えたし、何より見た目に変化はそんなないけど肉体改造したの?ってくらいに通常でも怪力になってしまった。

 普段は魔力を体に巡らせて力の調整をするようにしているので、昔みたいに無闇矢鱈と暴走して他人を怪我させないようになった。いい成長しただろう!

 ってなわけで、俺はウキウキで任務を受けて仕事をこなす毎日だ。たまに保護者達も着いてきたりしてる。前みたいに過保護じゃないからストレスもないのである。

 コクヨウに関しては過去の一件ですでに冒険者登録してあるし、いつの間にか他の2人もキラキラのギルドカードを見せつけてきたので特別枠の冒険者として生活している。




 「んで?今日は皆でどこに行こうか?」
 「赤毛クマが最近森に出るらしいぞ。鍋にして喰おう。」
 「それは依頼じゃなくて食料調達なんだよなぁ。まっ、依頼きてればそれにする?」
 「え~、コハクはお魚がいいなぁ~。レインフィッシュは~?」
 「我が濡れるから嫌だ。なれば砂烏のほうがよい。」
 「あのね?食べたい物を狩りに行くんじゃなくて仕事をね?しにいくんだからね?」



 いつもの流れである。皆が皆、食欲旺盛ですぐに食べたい物の話になる。やっぱ人間みたいに硬貨で売買するって考えにはなりにくいみたい。それは彼らと出会ってから変わらないところだ。

 ギルドの依頼はただこなすだけで金銭が発生しているなんてあまり考えていない。金の管理だけは俺の役目なのである。

 わいわい騒ぎながらギルドに入って、それぞれが好きな依頼を選び、目的を果たすために別れて移動する。

 一応、パーティチームを組んで活動をすることにした。総責任者に俺の名前を書かれていた…ギルドマスターが勝手にやったんだ!本当はパーティを組むつもりも無かったのに、問題をたくさん起こしそうだからって言われた。

 ……まぁ、確かに信用ないよね。暴走したら止められるわけでもないし。

 そんなわけで、ハクアとコクヨウはお目当ての砂烏と赤毛クマを討伐に。レインフィッシュの依頼が無かったハクアは俺と一緒に少し離れた鉱山に住むメタルスライム狩りである。

 メタルスライムの特殊なゼリーは熱を加えると良く伸び、急激に冷やすと鉱石のように固くなる。よく武器や盾の修理に使われる素材である。

 繁殖場所に向かうまでが困難な為、上位の冒険者が担う依頼だ。ドラゴン系の魔物やアラクネなどの魔植物もたくさんいる。なので、ただのスライム狩りと考えて向かうと痛い目をみるのだ。

 この依頼をこなす冒険者は少ない。場所が遠くて向かうまでになんども上位の魔物と接触する危険がある為、依頼報酬に見合わないと言われがち。つまり、誰も受けたがらない居残り依頼なのだ。

 俺は転移魔法が使えるし、保護者の誰かしら一緒に行動するから頭の良い魔物は近寄ってこない。負けるのをわかっているのに喧嘩は売らないのである。

 そんなわけで、今日も仕事頑張るぞー!



 
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