45 / 103
復帰した俺に不穏な影
7
しおりを挟む俺が怯えながら手紙を返して、早くも1週間が経過。意外にもすぐに接触してくると思ったが全くの音沙汰なしになった。ギルドマスターにも接触なし。まさか本当に呪い返しが成功してしまったのか?恐怖である。
しかし、平和な生活には変わりなく冒険者として復活しギルドマスター直々にランクを上げてくれて今では特級Sランクである。
この長いリハビリのおかげで6年前より魔力量も増えたし、何より見た目に変化はそんなないけど肉体改造したの?ってくらいに通常でも怪力になってしまった。
普段は魔力を体に巡らせて力の調整をするようにしているので、昔みたいに無闇矢鱈と暴走して他人を怪我させないようになった。いい成長しただろう!
ってなわけで、俺はウキウキで任務を受けて仕事をこなす毎日だ。たまに保護者達も着いてきたりしてる。前みたいに過保護じゃないからストレスもないのである。
コクヨウに関しては過去の一件ですでに冒険者登録してあるし、いつの間にか他の2人もキラキラのギルドカードを見せつけてきたので特別枠の冒険者として生活している。
「んで?今日は皆でどこに行こうか?」
「赤毛クマが最近森に出るらしいぞ。鍋にして喰おう。」
「それは依頼じゃなくて食料調達なんだよなぁ。まっ、依頼きてればそれにする?」
「え~、コハクはお魚がいいなぁ~。レインフィッシュは~?」
「我が濡れるから嫌だ。なれば砂烏のほうがよい。」
「あのね?食べたい物を狩りに行くんじゃなくて仕事をね?しにいくんだからね?」
いつもの流れである。皆が皆、食欲旺盛ですぐに食べたい物の話になる。やっぱ人間みたいに硬貨で売買するって考えにはなりにくいみたい。それは彼らと出会ってから変わらないところだ。
ギルドの依頼はただこなすだけで金銭が発生しているなんてあまり考えていない。金の管理だけは俺の役目なのである。
わいわい騒ぎながらギルドに入って、それぞれが好きな依頼を選び、目的を果たすために別れて移動する。
一応、パーティチームを組んで活動をすることにした。総責任者に俺の名前を書かれていた…ギルドマスターが勝手にやったんだ!本当はパーティを組むつもりも無かったのに、問題をたくさん起こしそうだからって言われた。
……まぁ、確かに信用ないよね。暴走したら止められるわけでもないし。
そんなわけで、ハクアとコクヨウはお目当ての砂烏と赤毛クマを討伐に。レインフィッシュの依頼が無かったハクアは俺と一緒に少し離れた鉱山に住むメタルスライム狩りである。
メタルスライムの特殊なゼリーは熱を加えると良く伸び、急激に冷やすと鉱石のように固くなる。よく武器や盾の修理に使われる素材である。
繁殖場所に向かうまでが困難な為、上位の冒険者が担う依頼だ。ドラゴン系の魔物やアラクネなどの魔植物もたくさんいる。なので、ただのスライム狩りと考えて向かうと痛い目をみるのだ。
この依頼をこなす冒険者は少ない。場所が遠くて向かうまでになんども上位の魔物と接触する危険がある為、依頼報酬に見合わないと言われがち。つまり、誰も受けたがらない居残り依頼なのだ。
俺は転移魔法が使えるし、保護者の誰かしら一緒に行動するから頭の良い魔物は近寄ってこない。負けるのをわかっているのに喧嘩は売らないのである。
そんなわけで、今日も仕事頑張るぞー!
35
お気に入りに追加
308
あなたにおすすめの小説

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

悪役令息に転生したので、断罪後の生活のために研究を頑張ったら、旦那様に溺愛されました
犬派だんぜん
BL
【完結】
私は、7歳の時に前世の理系女子として生きた記憶を取り戻した。その時気付いたのだ。ここが姉が好きだったBLゲーム『きみこい』の舞台で、自分が主人公をいじめたと断罪される悪役令息だということに。
話の内容を知らないので、断罪を回避する方法が分からない。ならば、断罪後に平穏な生活が送れるように、追放された時に誰か領地にこっそり住まわせてくれるように、得意分野で領に貢献しよう。
そしてストーリーの通り、卒業パーティーで王子から「婚約を破棄する!」と宣言された。さあ、ここからが勝負だ。
元理系が理屈っぽく頑張ります。ハッピーエンドです。(※全26話。視点が入れ代わります)
他サイトにも掲載。

お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。

勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません
りまり
BL
公爵家の5人いる兄弟の末っ子に生まれた私は、優秀で見目麗しい兄弟がいるので自由だった。
自由とは名ばかりの放置子だ。
兄弟たちのように見目が良ければいいがこれまた普通以下で高位貴族とは思えないような容姿だったためさらに放置に繋がったのだが……両親は兎も角兄弟たちは口が悪いだけでなんだかんだとかまってくれる。
色々あったが学園に通うようになるとやった覚えのないことで悪役呼ばわりされ孤立してしまった。
それでも勉強できるからと学園に通っていたが、上級生の卒業パーティーでいきなり断罪され婚約破棄されてしまい挙句に学園を退学させられるが、後から知ったのだけど僕には弟がいたんだってそれも僕そっくりな、その子は両親からも兄弟からもかわいがられ甘やかされて育ったので色々な所でやらかしたので顔がそっくりな僕にすべての罪をきせ追放したって、優しいと思っていた兄たちが笑いながら言っていたっけ、国外追放なので二度と合わない僕に最後の追い打ちをかけて去っていった。
隣国でも噂を聞いたと言っていわれのないことで暴行を受けるが頑張って生き抜く話です

BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました
厘/りん
BL
ナルン王国の下町に暮らす ルカ。
この国は一部の人だけに使える魔法が神様から贈られる。ルカはその一人で武器や防具、アクセサリーに『加護』を付けて売って生活をしていた。
ある日、配達の為に下町を歩いていたら指輪が落ちていた。見覚えのある指輪だったので届けに行くと…。
国を救った英雄(強面の可愛い物好き)と出生に秘密ありの痩せた青年のお話。
☆英雄騎士 現在28歳
ルカ 現在18歳
☆第11回BL小説大賞 21位
皆様のおかげで、奨励賞をいただきました。ありがとう御座いました。



【運命】に捨てられ捨てたΩ
雨宮一楼
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる