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第一章
5:特訓
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モーチンさんの遊園地特訓で、俺の口から飛び出したのは、せいぜい扇風機の羽音くらいの声だけだった。
いくら特訓だからって、怖いものは怖いんだ。
それでもモーチンさんは満足したらしく、にっこり笑って頬の肉を丸く膨らませ、何度も頷いては俺の頭を撫でてくれた。
見た目なんて気にならないけど、髪の毛がからまりそうな撫で方だから、正直言うとやめて欲しい。きっと無様な髪型になってるだろうな。
日が落ちる前に遊園地を出たが、モーチンさんはまだ乗りたそうだった。
途中で回転ずしが食べたいと言うモーチンさんに付き合って、寿司をおごってもらった。
ここでも富岡さんに頼まれたから、と代金を払おうとしても受け取ってくれなかった。
その日は自宅まで送り届けてもらい、待っていた神音に突拍子もない特訓方法を話して、大笑いされた。
翌朝、言葉の通りに富岡さんが俺を迎えに来た。
「お久しぶりです」
「あら、まぁ……」
玄関先で出勤途中だった母親が富岡さんと顔を合わせるなり、何とも言えない声を上げた。その前で頭を下げる富岡さんは、いままで見た姿とはまるで違っていた。
まばらに残っていた髭をきれいに剃り、彼にぴったりのスーツを身に着けている。たぶんオーダーメイドだ。
アパートの店員かと思うようなきれいなお辞儀をする姿は、彼が凄腕のプロデューサーだとすんなり納得できる雰囲気があった。
無愛想はそのままだ。
なぜか母親は表情を曇らせ富岡さんを見ている。
(母さん? 富岡さんを知っているんだ)
基本、外面がいい母親だ。だれかをこんな顔で見ることは珍しい。
「神音なら、まだ朝食の最中ですけど……神音ッ」
どこか何かをこらえるような声で富岡さんに向けて言うと、母親は家の中を振り返って神音を呼んだ。
片手を上げて、富岡さんは母親を制止した。
「いえ、今朝は響くんのことでお伺いしました」
「……響?」
富岡さんに向き直った母親が、すぐに俺を見る。
あんた何したの、と言いたげな目が何となく落ち着かない気分にさせる。
「神音くんが参加しているバンドに、響くんに加入してもらいます。それにともない、ご家族の方にもご迷惑をおかけすると思いますが、わたしが責任を持って……」
「ちょ、ちょっと待ってください。響が、何ですって?」
母親が富岡さんの話を慌てて止めた。まばたきをくり返して、よく理解できていない様子だ。
「響が、バンドですって? 神音と一緒に?」
「はい、そうです」
俺はまだ決めてない、と言いかけるのを、一瞬だけ俺を見た富岡さんに無言で止められた。
混乱している母親に追い打ちをかけるなと言いたいのか、それとも反論は許さないと言うことなんだろうか。
「そんなこと、一言も聞いてないわ……神音はともかく、響もだなんて……」
「…………」
音楽に興味を示すこともなかったのに、 なぜバンド活動をするのかと思っているんだろう。
「彼には才能があります。必ずその才能で世の中の多くの人を楽しませ、喜びを与えることができる。それまでわたしが責任を持ちます。決して見捨てません。その後も切り捨てることはいたしません。どうか、わたしに彼を預けてください」
「……響はそんな子じゃありません。どうしてバンドなんて話になったんだか」
富岡さんは丁寧に言葉をつないだのに、母親は少し早口になって断ち切った。
母親が俺を見る目が、しんと冷たくなる。
俺はその目を見ているのが辛くて、玄関の床に視線を落とす。
いつだったか、同じような目を向けられたことがある。思い出せないけれど。
「あなたが才能を認めたのは神音でしょう? あの子はどうにか、あなたが言った通り成功できたみたいですけど。響は違います、この子は駄目ですよ」
神音が成功したと聞いて、何をしたんだろうと気になるものの、いまは母親の声を聞いていたくない気持ちの方が強かった。
この場から離れてもいいかな、とそっと富岡さんを伺うと、表情は読みにくいものの次にどう言うべきか思案している様子だ。
「響は神音と一緒のことなんて、絶対出来ない子なんです」
「…………」
俺自身が神音に無理だとか、出来ないと何度も言ってきたのに、母親の口から言われるとなぜか傷つく。勝手なものだとそっと苦笑する。
「ピアノ、ヴァイオリン、どちらを習わせてみても駄目で。勉強だって神音の足元にも及ばない。いつもぼんやりしてるし。本当に何も出来ない子なんですよ。バンドなんて……神音の足手まといにしかなりません」
「母さんッ、もうやめなよ!」
奥から神音が駆け寄ってきて、母親の話を遮った。
神音の手が俯いていた俺の肩をつかむ。何か言いたげにぎゅ、と力がこめられた。
「富岡さんの言った通り、ぼくのバンドに加わってもらう。これはぼくが言いだしたことだし、仲間たちも富岡さんも認めてる。母さんは心配する必要ない」
「でも……」
母親が口ごもりつつ俺を見ている。横顔に視線を感じた。
「ぼくの耳は母さんも信頼しているでしょう? ぼくが決めたんだ、響がいいって」
「そう……なら、しょうがないわね。でも出来るだけ外泊はしないでちょうだい。遅くなるなら必ず電話すること。神音もわかってる?」
「もちろん。いままで約束やぶったことないでしょ」
神音の明るい声がその場に馴染めず、浮いていた。
母親は俺たちを何度も振り返りながら出勤して行った。
朝の清々しい太陽の光が、かえって俺の内側を冷やしていく。
「……はぁ……朝から何だってんだよ、まったく」
ため息をついて、顔を手で覆う。
面と向かって母親に駄目な子だと言われたことは、いままでもあったことなのに、今朝はことのほか辛い気がする。
肩に乗ったままの神音の手が、労わるように肩から背中を撫でた。
「母さんの言ったこと、気にする必要ないからね。ぼくたちが響を望んだんだ。響は知らないだろうけど、ぼくたちはすごいんだから。そのぼくたちに望まれているんだよ。自信を持ちなって」
「……自信になるほどの何も、俺にはないって」
「とにかく、学生最後のライブまで時間も限られてるし、ぼくは今日から冬休みだ。響も半日授業だよね」
「そうだけど?」
いまこの流れから、学校がどう関係してくるのか。
俺は用心深く神音を見返した。
朝日を受けて、天使の輪を頂いた神音がにっこり笑い頷いた。
幼い頃は天使の笑顔だと周囲に大好評だった神音の笑顔が、いまの俺には悪魔のようだった。
「愛しの樫部さんに会えないのは辛いかもしれないけど、学校は休んで特訓の続きをしよう」
「……まだあるの?」
てっきりモーチンさんによる恐怖のジェットコースター特訓だけだと思いこんでいた。
「当たり前でしょう? 響がファミレスで言ってた通り、ズブの素人なんだから。いまから時間を惜しんで鍛えなきゃ。本番に赤っ恥かきたいって言うなら、いいんだけど」
「それは……」
言われてみれば、音楽を知らないと伝えたし、知らないなら学べばいいと言われたっけ。
ジェットコースターに乗るだけで学び終わったわけじゃないと、考えてみればすぐにわかることだった。
ただモーチンさんの方法が方法だっただけに、用心するにこしたことはない。
「……何をするの」
身構えた俺を、いままで黙ってやりとりを静観していた富岡さんが、ふっと鼻で笑った。
「運動しやすい服は持っているか?」
「……え?」
「着替えたばかりで申し訳ないが、もう一度着替えて来い」
「な、運動? 着替え?」
戸惑うばかりで動けない俺を、神音がいいからと強引に連れ去った。
勝手知ったる片割れのクローゼットから、高校指定のジャージ上下を引っ張りだした神音にそれを押しつけられ、わけもわからないまま着替える。
玄関に戻ると、富岡さんは律義に外で待っていた。
俺を振り返った富岡さんの背後に、もうひとり別の人間がいるのが見えた。
「おっはよ~、響くん」
「……アレンさん?」
スポーツウェアを身に付けたアレンさんが手を振っていた。
富岡さんはさらりと言ってのける。
「自力で帰って来れなくなるくらい、しぼってきてくれ」
「はいは~い。では行きますかね、響くん?」
「あ、あの、どこへ?」
アレンさんが俺を手招きしながら走り出した。
え、と立ち尽くす俺の背中を神音が押す。
富岡さんの声までもが追い打ちをかけてくれた。
「走って来い。限界までな」
アレンさんは普段からよく走っているのだろう。
姿勢が美しく、かなりのスピードで走っているのに、呼吸の乱れがほとんどない。
それに比べて俺は走り出して三十分後に姿勢が崩れはじめ、いまでは姿勢を気にする余裕もなくなり、ただ足を前に出すことしか考えられなくなっていた。
そんな俺でも走っていられるのは、アレンさんがスピードを落として合わせてくれているからだろう。男としてちょっと悔しい。
「響くんは中学の頃、陸上部でマラソン走ってたって?」
「……えぇ、まあ……一応、ですけど」
それでもアレンさんのスピードにはついて行けない。
高校に上がってからは帰宅部だったから、俺の体が衰えてしまったんだろう。
「マラソン好き?」
「い、え……走っている間は、とくに……考えなくてもいいから、楽で」
「あはは。それわかる。普段ぐるぐる考えて、深みにはまって動けなくなるところ、走ってみると単純な問題だったんだと気づくことがあるね」
息切れすることなく話しかけてくるアレンさんについて走り、住宅街を抜けてゆるやかな坂道を上る。
小さい頃に学校からバスで、遠足にやってきたことがある山の中腹まで来ていた。
そこは整備されて小さな公園になっている。転落防止の柵がついた先端まで行くと、街が一望できた。
天気がよければ都心の名所ビルが望めるし、夜になると密かに恋人たちが夜景を堪能しに来るのだとか。
ここまで走ること約一時間。
ようやく足を止めたアレンさんの隣の芝生に、俺は倒れ込んだ。
少しの達成感と肺が焼けそうな熱を感じていると、アレンさんが腰につけていたポーチからスポーツドリンクを取り出して渡してくれた。
「ありがとうございます」
遠慮せずにいただいて、ごくりと飲むと体中が水分に喜んでいるのがわかった。
お礼を言ってアレンさんに戻す。
「もういい?」
「はい。アレンさんの分、減らしてしまいました。すみません」
「いいのいいの。今朝は響くんの初日だから、多めに持ってきてるんだ。思ってた以上に響くんが走ってくれたしね」
どこまで本当かわからないけど、そう言ってもらえるとうれしい。
「いろいろすみません」
「え、何が?」
「みなさんに俺の特訓だと言って、付き合ってもらっちゃって……富岡さんも、母さんにあんなこと言われて、嫌な想いしたと思う」
「……あんなこと、ね……」
そう言えば出勤途中の母親との会話をアレンさんは聞いていなかったっけ。
アレンさんは片膝を立てて、俺の隣に座り街へ視線を投げる。
ただの横顔なのに絵になる人だ。バンドよりモデルをした方が活躍できそうなくらいに。
「響くんが好きになった相手は、どんな人?」
「えっ!」
いきなりアレンさんが切りこんできた。
神音が言ったんだろうか。もしそうなら、どこまで伝わっているんだろう。
樫部が『i-CeL』のファンで、アレンさんたちも樫部がファンのひとりだと知っているかもしれない。だとしたら妙に恥ずかしい。
ちらりと俺を横目で見たアレンさんが、ぷっと吹き出す。
「ごめんごめん、カマかけてみただけなんだ。響くんの反応、すごく可愛い」
「か、か……可愛い?」
そんなこと言われるなんて。もうすぐ十八になる男に言う単語じゃない。
「神音が望んだ声は、殻にこもったまま。殻を割ることがなければ、『i-CeL』は解散するつもりだったと言ったの、覚えている? 響くんが殻を割りたくなるほどの事情として、君くらいの年齢の子が重要視するのは恋愛かなと予想しただけだよ。ごめんね、具体的に神音から話を聞いたわけじゃないのに、心配させて」
「いえ。謝ってもらうことでもないです」
よかった、俺が樫部を好きだと知っていたわけじゃなかったんだ。
同性を好きになった後ろめたさがあるから、つい過剰に反応してしまう。今後はもっと慎重にならないとバレてしまいそうだ。
「同じ学校の子?」
アレンさんは話を続けるつもりらしい。
それくらいなら言ってもいいかな、と頷く俺の後ろにアレンさんが移動した。
「次はストレッチをしようね……告白はまだしてないんだよね?」
両足を伸ばして座り、背中を押されて前屈した。
ぐぐっと筋が伸びるのがわかるあたりで、アレンさんの手が絶妙に力を抜いた。
「歌う姿を見せて、惚れさせようって作戦かな」
「そんな……つもりは、ないんです。ただ……」
「ただ?」
左右に足を広げて、右側へ体を倒しながら言葉を探す。
「もうすぐ卒業だから、卒業しても覚えていてもらいたいなって……その為に出来ることはしておきたい。そう思っただけです」
夢だけを見続けている樫部の目を、どうにか俺に向けさせたい。
俺がいるんだと認識させて、アメリカへ渡っても忘れないでいて欲しい。
「これは恋愛なんかじゃ、ないかもしれません」
だれかを好きになった経験が少ないから、実はよくわからなかったりする。
友達としての好き、家族としての好き。そして恋人としての好き。
好きと言う感情の違いは、どこなんだろう。
「そんなことないと思うよ。どんな関係になるにしろ、まず見てもらわないとはじまらないからね」
アレンさんは俺の話を笑うでもなく、少し考えてからそう言ってくれた。
ちゃんと俺の話と自分の考えを吟味してから、真剣に話してくれる。
「アレンさんは、いま付き合ってる人がいるんですか?」
「あらら、そうきましたか」
何気ない質問だったのに、アレンさんは苦笑して黙り込んでしまった。
あれこれ姿勢を変えて、アレンさんの指示通りにストレッチを続けながら、まずい質問だったかなと悩んでいると、しばらくしてアレンさんが口を開いた。
「いまはいません。好きかもしれないと思えた出会いはあったけれど」
「それって、その人と付き合えたらいいなと思ってるってことですか」
「そうなるね。さ、次は腹式呼吸だ。最初に肺の中を空っぽにするつもりで、口から吐ききって」
話をはぐらかされた気がしたけど、俺も突っ込んで聞かれたくない話だし、と意識を切り替えてアレンさんの指示に従って息を吐いた。
「へその下に両手を当てて、その手を押すように息を吸って……目を閉じてもいいよ。ゆっくりくり返して」
言われた通りに呼吸していると、だんだん体が熱くなってきた。ただ呼吸しているだけなのに不思議だ。
「これから毎朝、ランニングとストレッチをすること。できれば腹式呼吸もね。オレたちが楽器を手入れするのと同じ、響くんはこの体そのものが楽器だから手を抜いたらすぐにわかるからね」
「はい」
毎朝か、とちょっとだけ憂鬱になったことは言わないでおこう。
帰り道は行きよりもしんどくて、家まで辿りつけたのが奇跡みたいだった。
「じゃ、また明日来るね」
そう言ってアレンさんは手を振って、颯爽とした笑顔で帰って行った。
汗を流して着替えたところで、玄関から訪問を知らせるチャイムが聞こえてきた。
「……富岡さん?」
「行くぞ」
玄関先に俺が顔を出すなり、短く言ったきり振り返りもせず、あの赤いスポーツカーに乗り込んでしまう。
行き先を尋ねても答えはないだろうな、と二度目の経験に悟りを覚えた俺は、苦笑しながら慌てて施錠して富岡さんの後を追った。
またもや沈黙がぎっしり詰まったスポーツカーで向かった先は、音楽教室が入ったビルだった。
貸しスタジオと書かれた部屋に、富岡さんに連れられて入ると、ピアノが真っ先に目に映った。
神音がコンクールで弾いていたような、本格的なピアノだ。家にある練習用のキーボードとは全然違う存在感がある。
富岡さんがそのピアノに座って言い放った。
「今日から基礎練習をする。一度言ったことは忘れるなよ」
無口無表情が富岡さんの代名詞だと思っていたけど、俺はまだ富岡さんを知らなさすぎたようだ。
「ちゃんと音を聞け! 胸で呼吸するな! 体の根幹の筋肉を使えッ」
(ヒィーッ……鬼教官……ッ!)
ピアノの音を聞きとって同じ音階の声を出す練習の間に、富岡さんに怒鳴られること数知れず。
そんなこと言ったって、体の根幹の筋肉を意識しようとすると声を出すことを忘れてしまうんだ。
すると富岡さんがファミレスの時みたいに、俺の下腹部を押した。反動で制御しないまま声が出る。
あれ、いい声が出たぞ。
「そうだ、その感覚を忘れるな。まったく……手のかかる生徒だ」
教え込まれた発声法で、ただ単調な音をくり返しただけなのに、俺はマラソンを走るのと変わらないくらい汗だくになった。
歌うってことは、想像以上に体力が必要なんだと痛感する。
「……おまえ、わざとやってるのか?」
「い、いいえ……?」
ピアノに手をついて、富岡さんが項垂れながら低い声で聞いてくる。
リズムに乗って基準の音を歌え、と言われた俺は、まったくリズムに乗れなかったのだ。
「リズム感から鍛え直しか……これは、やりがいがあるな」
「すみません……」
富岡さんの特訓が終わったのは六時半。
自宅まで送ってもらい、帰りついた俺はソファに倒れ込んだ。
「はぁ……しんどい」
「ははっ、富岡さんは容赦ないからね。でもまだまだこれからだよ、響」
神音が俺に水を差しだしながら笑い、そう言った。
これでまだまだだなんて。
何だか普通に告白する方が、簡単な気がしてきたよ。
いくら特訓だからって、怖いものは怖いんだ。
それでもモーチンさんは満足したらしく、にっこり笑って頬の肉を丸く膨らませ、何度も頷いては俺の頭を撫でてくれた。
見た目なんて気にならないけど、髪の毛がからまりそうな撫で方だから、正直言うとやめて欲しい。きっと無様な髪型になってるだろうな。
日が落ちる前に遊園地を出たが、モーチンさんはまだ乗りたそうだった。
途中で回転ずしが食べたいと言うモーチンさんに付き合って、寿司をおごってもらった。
ここでも富岡さんに頼まれたから、と代金を払おうとしても受け取ってくれなかった。
その日は自宅まで送り届けてもらい、待っていた神音に突拍子もない特訓方法を話して、大笑いされた。
翌朝、言葉の通りに富岡さんが俺を迎えに来た。
「お久しぶりです」
「あら、まぁ……」
玄関先で出勤途中だった母親が富岡さんと顔を合わせるなり、何とも言えない声を上げた。その前で頭を下げる富岡さんは、いままで見た姿とはまるで違っていた。
まばらに残っていた髭をきれいに剃り、彼にぴったりのスーツを身に着けている。たぶんオーダーメイドだ。
アパートの店員かと思うようなきれいなお辞儀をする姿は、彼が凄腕のプロデューサーだとすんなり納得できる雰囲気があった。
無愛想はそのままだ。
なぜか母親は表情を曇らせ富岡さんを見ている。
(母さん? 富岡さんを知っているんだ)
基本、外面がいい母親だ。だれかをこんな顔で見ることは珍しい。
「神音なら、まだ朝食の最中ですけど……神音ッ」
どこか何かをこらえるような声で富岡さんに向けて言うと、母親は家の中を振り返って神音を呼んだ。
片手を上げて、富岡さんは母親を制止した。
「いえ、今朝は響くんのことでお伺いしました」
「……響?」
富岡さんに向き直った母親が、すぐに俺を見る。
あんた何したの、と言いたげな目が何となく落ち着かない気分にさせる。
「神音くんが参加しているバンドに、響くんに加入してもらいます。それにともない、ご家族の方にもご迷惑をおかけすると思いますが、わたしが責任を持って……」
「ちょ、ちょっと待ってください。響が、何ですって?」
母親が富岡さんの話を慌てて止めた。まばたきをくり返して、よく理解できていない様子だ。
「響が、バンドですって? 神音と一緒に?」
「はい、そうです」
俺はまだ決めてない、と言いかけるのを、一瞬だけ俺を見た富岡さんに無言で止められた。
混乱している母親に追い打ちをかけるなと言いたいのか、それとも反論は許さないと言うことなんだろうか。
「そんなこと、一言も聞いてないわ……神音はともかく、響もだなんて……」
「…………」
音楽に興味を示すこともなかったのに、 なぜバンド活動をするのかと思っているんだろう。
「彼には才能があります。必ずその才能で世の中の多くの人を楽しませ、喜びを与えることができる。それまでわたしが責任を持ちます。決して見捨てません。その後も切り捨てることはいたしません。どうか、わたしに彼を預けてください」
「……響はそんな子じゃありません。どうしてバンドなんて話になったんだか」
富岡さんは丁寧に言葉をつないだのに、母親は少し早口になって断ち切った。
母親が俺を見る目が、しんと冷たくなる。
俺はその目を見ているのが辛くて、玄関の床に視線を落とす。
いつだったか、同じような目を向けられたことがある。思い出せないけれど。
「あなたが才能を認めたのは神音でしょう? あの子はどうにか、あなたが言った通り成功できたみたいですけど。響は違います、この子は駄目ですよ」
神音が成功したと聞いて、何をしたんだろうと気になるものの、いまは母親の声を聞いていたくない気持ちの方が強かった。
この場から離れてもいいかな、とそっと富岡さんを伺うと、表情は読みにくいものの次にどう言うべきか思案している様子だ。
「響は神音と一緒のことなんて、絶対出来ない子なんです」
「…………」
俺自身が神音に無理だとか、出来ないと何度も言ってきたのに、母親の口から言われるとなぜか傷つく。勝手なものだとそっと苦笑する。
「ピアノ、ヴァイオリン、どちらを習わせてみても駄目で。勉強だって神音の足元にも及ばない。いつもぼんやりしてるし。本当に何も出来ない子なんですよ。バンドなんて……神音の足手まといにしかなりません」
「母さんッ、もうやめなよ!」
奥から神音が駆け寄ってきて、母親の話を遮った。
神音の手が俯いていた俺の肩をつかむ。何か言いたげにぎゅ、と力がこめられた。
「富岡さんの言った通り、ぼくのバンドに加わってもらう。これはぼくが言いだしたことだし、仲間たちも富岡さんも認めてる。母さんは心配する必要ない」
「でも……」
母親が口ごもりつつ俺を見ている。横顔に視線を感じた。
「ぼくの耳は母さんも信頼しているでしょう? ぼくが決めたんだ、響がいいって」
「そう……なら、しょうがないわね。でも出来るだけ外泊はしないでちょうだい。遅くなるなら必ず電話すること。神音もわかってる?」
「もちろん。いままで約束やぶったことないでしょ」
神音の明るい声がその場に馴染めず、浮いていた。
母親は俺たちを何度も振り返りながら出勤して行った。
朝の清々しい太陽の光が、かえって俺の内側を冷やしていく。
「……はぁ……朝から何だってんだよ、まったく」
ため息をついて、顔を手で覆う。
面と向かって母親に駄目な子だと言われたことは、いままでもあったことなのに、今朝はことのほか辛い気がする。
肩に乗ったままの神音の手が、労わるように肩から背中を撫でた。
「母さんの言ったこと、気にする必要ないからね。ぼくたちが響を望んだんだ。響は知らないだろうけど、ぼくたちはすごいんだから。そのぼくたちに望まれているんだよ。自信を持ちなって」
「……自信になるほどの何も、俺にはないって」
「とにかく、学生最後のライブまで時間も限られてるし、ぼくは今日から冬休みだ。響も半日授業だよね」
「そうだけど?」
いまこの流れから、学校がどう関係してくるのか。
俺は用心深く神音を見返した。
朝日を受けて、天使の輪を頂いた神音がにっこり笑い頷いた。
幼い頃は天使の笑顔だと周囲に大好評だった神音の笑顔が、いまの俺には悪魔のようだった。
「愛しの樫部さんに会えないのは辛いかもしれないけど、学校は休んで特訓の続きをしよう」
「……まだあるの?」
てっきりモーチンさんによる恐怖のジェットコースター特訓だけだと思いこんでいた。
「当たり前でしょう? 響がファミレスで言ってた通り、ズブの素人なんだから。いまから時間を惜しんで鍛えなきゃ。本番に赤っ恥かきたいって言うなら、いいんだけど」
「それは……」
言われてみれば、音楽を知らないと伝えたし、知らないなら学べばいいと言われたっけ。
ジェットコースターに乗るだけで学び終わったわけじゃないと、考えてみればすぐにわかることだった。
ただモーチンさんの方法が方法だっただけに、用心するにこしたことはない。
「……何をするの」
身構えた俺を、いままで黙ってやりとりを静観していた富岡さんが、ふっと鼻で笑った。
「運動しやすい服は持っているか?」
「……え?」
「着替えたばかりで申し訳ないが、もう一度着替えて来い」
「な、運動? 着替え?」
戸惑うばかりで動けない俺を、神音がいいからと強引に連れ去った。
勝手知ったる片割れのクローゼットから、高校指定のジャージ上下を引っ張りだした神音にそれを押しつけられ、わけもわからないまま着替える。
玄関に戻ると、富岡さんは律義に外で待っていた。
俺を振り返った富岡さんの背後に、もうひとり別の人間がいるのが見えた。
「おっはよ~、響くん」
「……アレンさん?」
スポーツウェアを身に付けたアレンさんが手を振っていた。
富岡さんはさらりと言ってのける。
「自力で帰って来れなくなるくらい、しぼってきてくれ」
「はいは~い。では行きますかね、響くん?」
「あ、あの、どこへ?」
アレンさんが俺を手招きしながら走り出した。
え、と立ち尽くす俺の背中を神音が押す。
富岡さんの声までもが追い打ちをかけてくれた。
「走って来い。限界までな」
アレンさんは普段からよく走っているのだろう。
姿勢が美しく、かなりのスピードで走っているのに、呼吸の乱れがほとんどない。
それに比べて俺は走り出して三十分後に姿勢が崩れはじめ、いまでは姿勢を気にする余裕もなくなり、ただ足を前に出すことしか考えられなくなっていた。
そんな俺でも走っていられるのは、アレンさんがスピードを落として合わせてくれているからだろう。男としてちょっと悔しい。
「響くんは中学の頃、陸上部でマラソン走ってたって?」
「……えぇ、まあ……一応、ですけど」
それでもアレンさんのスピードにはついて行けない。
高校に上がってからは帰宅部だったから、俺の体が衰えてしまったんだろう。
「マラソン好き?」
「い、え……走っている間は、とくに……考えなくてもいいから、楽で」
「あはは。それわかる。普段ぐるぐる考えて、深みにはまって動けなくなるところ、走ってみると単純な問題だったんだと気づくことがあるね」
息切れすることなく話しかけてくるアレンさんについて走り、住宅街を抜けてゆるやかな坂道を上る。
小さい頃に学校からバスで、遠足にやってきたことがある山の中腹まで来ていた。
そこは整備されて小さな公園になっている。転落防止の柵がついた先端まで行くと、街が一望できた。
天気がよければ都心の名所ビルが望めるし、夜になると密かに恋人たちが夜景を堪能しに来るのだとか。
ここまで走ること約一時間。
ようやく足を止めたアレンさんの隣の芝生に、俺は倒れ込んだ。
少しの達成感と肺が焼けそうな熱を感じていると、アレンさんが腰につけていたポーチからスポーツドリンクを取り出して渡してくれた。
「ありがとうございます」
遠慮せずにいただいて、ごくりと飲むと体中が水分に喜んでいるのがわかった。
お礼を言ってアレンさんに戻す。
「もういい?」
「はい。アレンさんの分、減らしてしまいました。すみません」
「いいのいいの。今朝は響くんの初日だから、多めに持ってきてるんだ。思ってた以上に響くんが走ってくれたしね」
どこまで本当かわからないけど、そう言ってもらえるとうれしい。
「いろいろすみません」
「え、何が?」
「みなさんに俺の特訓だと言って、付き合ってもらっちゃって……富岡さんも、母さんにあんなこと言われて、嫌な想いしたと思う」
「……あんなこと、ね……」
そう言えば出勤途中の母親との会話をアレンさんは聞いていなかったっけ。
アレンさんは片膝を立てて、俺の隣に座り街へ視線を投げる。
ただの横顔なのに絵になる人だ。バンドよりモデルをした方が活躍できそうなくらいに。
「響くんが好きになった相手は、どんな人?」
「えっ!」
いきなりアレンさんが切りこんできた。
神音が言ったんだろうか。もしそうなら、どこまで伝わっているんだろう。
樫部が『i-CeL』のファンで、アレンさんたちも樫部がファンのひとりだと知っているかもしれない。だとしたら妙に恥ずかしい。
ちらりと俺を横目で見たアレンさんが、ぷっと吹き出す。
「ごめんごめん、カマかけてみただけなんだ。響くんの反応、すごく可愛い」
「か、か……可愛い?」
そんなこと言われるなんて。もうすぐ十八になる男に言う単語じゃない。
「神音が望んだ声は、殻にこもったまま。殻を割ることがなければ、『i-CeL』は解散するつもりだったと言ったの、覚えている? 響くんが殻を割りたくなるほどの事情として、君くらいの年齢の子が重要視するのは恋愛かなと予想しただけだよ。ごめんね、具体的に神音から話を聞いたわけじゃないのに、心配させて」
「いえ。謝ってもらうことでもないです」
よかった、俺が樫部を好きだと知っていたわけじゃなかったんだ。
同性を好きになった後ろめたさがあるから、つい過剰に反応してしまう。今後はもっと慎重にならないとバレてしまいそうだ。
「同じ学校の子?」
アレンさんは話を続けるつもりらしい。
それくらいなら言ってもいいかな、と頷く俺の後ろにアレンさんが移動した。
「次はストレッチをしようね……告白はまだしてないんだよね?」
両足を伸ばして座り、背中を押されて前屈した。
ぐぐっと筋が伸びるのがわかるあたりで、アレンさんの手が絶妙に力を抜いた。
「歌う姿を見せて、惚れさせようって作戦かな」
「そんな……つもりは、ないんです。ただ……」
「ただ?」
左右に足を広げて、右側へ体を倒しながら言葉を探す。
「もうすぐ卒業だから、卒業しても覚えていてもらいたいなって……その為に出来ることはしておきたい。そう思っただけです」
夢だけを見続けている樫部の目を、どうにか俺に向けさせたい。
俺がいるんだと認識させて、アメリカへ渡っても忘れないでいて欲しい。
「これは恋愛なんかじゃ、ないかもしれません」
だれかを好きになった経験が少ないから、実はよくわからなかったりする。
友達としての好き、家族としての好き。そして恋人としての好き。
好きと言う感情の違いは、どこなんだろう。
「そんなことないと思うよ。どんな関係になるにしろ、まず見てもらわないとはじまらないからね」
アレンさんは俺の話を笑うでもなく、少し考えてからそう言ってくれた。
ちゃんと俺の話と自分の考えを吟味してから、真剣に話してくれる。
「アレンさんは、いま付き合ってる人がいるんですか?」
「あらら、そうきましたか」
何気ない質問だったのに、アレンさんは苦笑して黙り込んでしまった。
あれこれ姿勢を変えて、アレンさんの指示通りにストレッチを続けながら、まずい質問だったかなと悩んでいると、しばらくしてアレンさんが口を開いた。
「いまはいません。好きかもしれないと思えた出会いはあったけれど」
「それって、その人と付き合えたらいいなと思ってるってことですか」
「そうなるね。さ、次は腹式呼吸だ。最初に肺の中を空っぽにするつもりで、口から吐ききって」
話をはぐらかされた気がしたけど、俺も突っ込んで聞かれたくない話だし、と意識を切り替えてアレンさんの指示に従って息を吐いた。
「へその下に両手を当てて、その手を押すように息を吸って……目を閉じてもいいよ。ゆっくりくり返して」
言われた通りに呼吸していると、だんだん体が熱くなってきた。ただ呼吸しているだけなのに不思議だ。
「これから毎朝、ランニングとストレッチをすること。できれば腹式呼吸もね。オレたちが楽器を手入れするのと同じ、響くんはこの体そのものが楽器だから手を抜いたらすぐにわかるからね」
「はい」
毎朝か、とちょっとだけ憂鬱になったことは言わないでおこう。
帰り道は行きよりもしんどくて、家まで辿りつけたのが奇跡みたいだった。
「じゃ、また明日来るね」
そう言ってアレンさんは手を振って、颯爽とした笑顔で帰って行った。
汗を流して着替えたところで、玄関から訪問を知らせるチャイムが聞こえてきた。
「……富岡さん?」
「行くぞ」
玄関先に俺が顔を出すなり、短く言ったきり振り返りもせず、あの赤いスポーツカーに乗り込んでしまう。
行き先を尋ねても答えはないだろうな、と二度目の経験に悟りを覚えた俺は、苦笑しながら慌てて施錠して富岡さんの後を追った。
またもや沈黙がぎっしり詰まったスポーツカーで向かった先は、音楽教室が入ったビルだった。
貸しスタジオと書かれた部屋に、富岡さんに連れられて入ると、ピアノが真っ先に目に映った。
神音がコンクールで弾いていたような、本格的なピアノだ。家にある練習用のキーボードとは全然違う存在感がある。
富岡さんがそのピアノに座って言い放った。
「今日から基礎練習をする。一度言ったことは忘れるなよ」
無口無表情が富岡さんの代名詞だと思っていたけど、俺はまだ富岡さんを知らなさすぎたようだ。
「ちゃんと音を聞け! 胸で呼吸するな! 体の根幹の筋肉を使えッ」
(ヒィーッ……鬼教官……ッ!)
ピアノの音を聞きとって同じ音階の声を出す練習の間に、富岡さんに怒鳴られること数知れず。
そんなこと言ったって、体の根幹の筋肉を意識しようとすると声を出すことを忘れてしまうんだ。
すると富岡さんがファミレスの時みたいに、俺の下腹部を押した。反動で制御しないまま声が出る。
あれ、いい声が出たぞ。
「そうだ、その感覚を忘れるな。まったく……手のかかる生徒だ」
教え込まれた発声法で、ただ単調な音をくり返しただけなのに、俺はマラソンを走るのと変わらないくらい汗だくになった。
歌うってことは、想像以上に体力が必要なんだと痛感する。
「……おまえ、わざとやってるのか?」
「い、いいえ……?」
ピアノに手をついて、富岡さんが項垂れながら低い声で聞いてくる。
リズムに乗って基準の音を歌え、と言われた俺は、まったくリズムに乗れなかったのだ。
「リズム感から鍛え直しか……これは、やりがいがあるな」
「すみません……」
富岡さんの特訓が終わったのは六時半。
自宅まで送ってもらい、帰りついた俺はソファに倒れ込んだ。
「はぁ……しんどい」
「ははっ、富岡さんは容赦ないからね。でもまだまだこれからだよ、響」
神音が俺に水を差しだしながら笑い、そう言った。
これでまだまだだなんて。
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