おっさん鍛冶屋の異世界探検記

モッチー

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27盗賊アジト

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少々色ボケ気味だったコンビは忍びモードに切り替わった。かつては盗賊の支配地域でまだ組織自体は生き残っている。俺は武器屋の雰囲気を出してるから、また捕まっても武器作りをやらされると思うけど、クーニャには万が一の時は逃げてもらうようにしないとな。傷付けられる姿は見たく無いから安全に行かないとな。装備はスコップにしたから奪われて困ることも無いだろう。ま~虫がいたら苦戦するだろうけどね。

いくつかの拠点を見て回ったが盗賊が戻った痕跡は無かった。あと俺が知ってるのはクーニャも捕まってた事がある大規模な拠点のみ。そこまで行って何も無ければ野営して、もう少し森の中まで入る予定でいるがどうなる事か…

道中偶然見つけた何者かの大量の足跡らしき物を発見。それを遡って行くと森の奥へと続いて行った。大体の方向を見ながら盗賊アジトの近くを通りそうなので、そのまま目印にして進んでいる。クーニャが先に立っていろいろ警戒してくれるので俺は楽をさせてもらってる。そんな俺はやること無くて暇だから、クーニャのクネクネ動く尻尾に見入っていた。なんか俺が猫じゃらしでじゃらされてるのかつい弄りたくなってしまう。いやでも我慢。ここでふざけて捕まるような事になったら洒落にならん。

ピタッ突然クーニャが止まった。俺からの不穏な殺気を感じたか?警戒しながらクーニャの脇に並ぶ。そしてクーニャの指示に従いゆっくりと前進する。位置的にはまだアジトには届かないがこんなとこに何が有るっていうのか…ゆっくりと音を立てずに1本の大木の影にたどり着きそこから覗き込むとそこには羽根をもがれた蜂らしき人がいた。息も絶え絶えだがまだ生きている。まさに虫の息…虫だけに…はっ!俺は何を言っているのだ。こんなところでこんなギャグ言ってしまうとは…親父ギャグとは自然に出てしまうものなのか…

そんな心の葛藤など気にせずにクーニャはっ回復ドリンクを振りかけた。いやそれ飲ますものでしょう振りかけても…効いてる!?傷口からでも吸収するのか!?飲ました時ほどは回復してないがこれでもう一本飲ますことはできそうだ。なるほど~こんな使い方有るとは思はなかったな。呼吸も落ち着いて来たからひとまずは安心だろう。


さてこの人型の蜂さん「裏切り者が~」って呻いてるが意識は回復してない。クーニャに茂みの中で葉っぱを集めさせ簡易ベットとしてその上に横にさせてある。この蜂さんクーニャに任せて、俺はアジトまで見に行ってみた。そこに広がるのは大量の蜂の死骸。蜜蜂も雀蜂も熊蜂も蜂の一族がほぼ全滅したように見える。これは酷いみんな腹だけ食われてる。何かに捕食されたって事か?
ただこのサイズとなるとかなりデカそうだな。
洞窟の中に潜入してみると何かに変な臭いが漂ってる。煙のような焦げてるようななんと無く不快な臭いがする。口元を覆いながら進むと中は誰も居なかった。中央には発煙装置のようなものがまだ微かに煙を出していた。

おそらくここに留まっていた蜂さん達にこの煙であぶり出し、外に出たところを何かが襲った。そして1匹だけ助かったって事か?噂に出てた蜘蛛にしては糸が無いし他のものか?

やっぱり裏で何かが暗躍してそうだけど目的がわからん。潰し合いをさせているようには見えるがまた妖精国の時のようにあんなのが混ざっているのかもしれないな。

よしこんなところであとは生き残りの蜂さんが復活するまで待つか。

ん~なかなか起きない。クーも疲れたのかウトウトしてるし困ったな~身動きが取れない。いつの間にか俺に寄りかかって今じゃ~膝枕だよ。体硬い俺にはちょっとした拷問だよ~足痺れてきた。

カサカサ

!?今なんか音しなかったか。どっちだ!正面か。クーが聞き耳立ててる。こいつ起きてるのに動かないきか?スコップだけ手元に寄せて…クーの反応がいたって無反応敵意が無い人だとわかってんのかな?それなら俺も構えず待つか。

ザッザッザッ(だいぶ足音が近ずいてきたな)ガサガサ(その茂みの中先か…いよいよか。

ガサガサ「キャ~」え~悲鳴あげるほど驚く事ですか~なぎささん

「ちょっとゼットくん脅かさないでよ」

「勝手に驚いて騒いでるのそっちだろう。けが人いるから静かにしてくれよ」

「あっごめん。敵じゃ無いのね?」

「まだわからん。唯一の生き残りっぽいからな」

そしてお互いに情報交換ギルドスナイパーは以前の盗賊討伐でこの辺りにいたらしく土地勘あるところを見て回ってるようだ。俺がこの先の盗賊アジトで蜂が全滅してるのを伝えると…

なぎさ「え~もうちょっと進んでたら私達が取れたかもしれないの!?悔しい~」だから大声出さないでって。

な「あやめ~何人か連れて見てきてくれない?」そう言うとなぎさの右腕というあやめさんが2人連れてアジトを見に行った。それにしてもこのギルド主武装全員弓ってのもすごいな。近距離速射の短弓と威力の長弓で分かれてるが連携されたら近ずけないだろうな。はるな、なつき、ちあき、ふゆみって狙ったように春夏秋冬覚えやすい。

戻ってくるまでの間、蜂さんのうわ言で裏切り者が~って言ってたのと別ルートで蜘蛛に襲われた話をして、もしかしたら争う必要すら無いのかもしれない話をした。

な「そうなると急いだ方がいいわね。ちあき、ふゆみ急いで部隊合流の連絡して。それと近衛の隊長さんにも伝えて」
「「わかりました。お姉様」」

俺「お姉様って…」

な「年下に慕われちゃっていつの間にかこんな呼び名も慣れちゃった。」

これはこれでいろいろ妄想が出来てしまう…。いやそんな事より俺が動けなかったのを即座に判断して人を動かすとはなかなかのカリスマ性だな。この場は任せていいだろう。きっとこの話が出ればうちの連中も集まって来るだろうし、来たらさらに奥へと探索に行けるだろう。

目標は蜘蛛の確認だから。ただやはり裏に何者かの影が見え隠れしてる。盗賊なのか闇落ちの組織なのか…

な「ところでなんで2人っきりなの?もしかして駆け落ち?」

俺「なんでそうなるんだ!?もともとあのアジトに2人とも捕まってたんだ。拠点に向くこの場所が気になったから見に来たんだ。」

な「ふーん。でもいちゃいちゃしてたんでしょう?そっちの子の顔見たらそんな気がするけど」

俺「なっ…」

ガサガサ。近くの茂みが揺れた。

あやめ「こっちであってた。よかった。なぎさ言ってた通りだったよ。全滅してたよ」

?「全滅だと…やはり…生き残ったのは俺だけか…」

慌てて振り向くなんと蜂さん目が覚めた。

?「俺を助けてくれたのか?せわになった。急いで女王に知らせなくては」

蜂さんまだ回復してない身体を動かそうとする。

な「今動いちゃダメ。私達も不審に思って調べてるの。貴方を見つけて攻撃しないようにする伝令も出したわ。貴方をちゃんと連れて行くから少し情報交換しましょう」

俺「あんた寝たまま運べる担架っての作るから少し時間くれ。クー木拾うの手伝ってくれ」

?「お前達は敵では無いのか?憎むべき相手では無いのか?俺が生かされていること自体が不思議だが」

あやめ「では捕虜という事で我々が身柄を拘束してるという事で納得出来ないだろうか?それと貴方の名を伺ってよろしいかな?」

? 「なるほど捕虜か…ならば従うしか無いか。我が名はビート蜂族の戦士だ」

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