おっさん鍛冶屋の異世界探検記

リターンズ

18隠れた匠

ヒルデベル城下町に拠点を構えて数ヶ月。
ゼットは隠れた匠として名を馳せていた。
しかし基本はわかるやつだけのオーダーメイドしか受けておらず、噂を聞いて探している奴らも中々見つけられずに、フィールドで気に入られればその場で武器を改造してもらえるなんて遭遇率の低い隠れキャラとして認識されていた。

しかしわかる人にとってはゼットの工房は溜まり場として使われ、装備も基本は無骨な性能重視で第一印象でわざと選ばれない様な雰囲気に仕上げていたからもう少しデザインをなんとかしてくれと再三に渡って文句を言われていた。

それでもデザインが受けて変な客来たらお前らの装備は後回しだぞと言うと、みんな渋々諦めてくれる。

そんな気さくなゲーム内の人間も心の癒しになってきて、好感度に比例して仕上げる製品が高級品後半、業物手前に補正され始めた頃についにユーザーの情報網に隠れ鍛治師の存在として広まり始めた。
それもNPCが使う装備がエリア平均を逸脱している。や、気になるNPCがみんな同じ様な物を使っているのに何処にも売ってない。入手はフィールドで出会った鍛治師が改造してくれた。など出てくるがその姿は誰も見た事が無いなんて噂になってる様だ。

普段は雑貨屋の手伝いまがいの事をしてるからたどり着いても把握はされておらず奥行きの長い建物では雑貨屋の倉庫を抜けた先に工房があるなんて普通は思わないから本当に気ままに商売が出来ていい感じだ。

そんな中最近貴族が探し出せた者には懸賞金を掛けるとなり、面倒くさい事になりそうだが、そこは顧客全員にここの事バラしたらこっそり別の国に逃げるからって宣言しているおかげで、貴族に情報を売る不届き者は出なくて済んでいる。

そんな商売で成り立つのか？とよく言われるが、そこはフォルテのところに卸しているアイテムが意外と良く売れている。一押し品はやはり栄養剤で夜のお供として男達がよく買っていくが、最近は夜のお仕事のお姉さん方にも受けて販路を拡大し、蜂蜜の輸入で美容品としても知名度が上がりフォルテ共々収益が上がっている。

簡易竃も主婦に大人気
自宅のでは温度が上がりにくいのが反射熱と保温機能を兼ね備えた鉄板のおかげで料理が早く済むって一家に一台の勢いで売れたのは驚いた。

こんな本業以外の
副業が収益の主力ってのも困ったが本業方面では矢が良く売れる。
通常の矢も品質がそこそこだから出てはいるが耐久度を上げたメタルアロー改が高い割にコンスタントに出てくれる。
これは木の矢の耐久力を上げるために検討されたもので、軽量金属を合金化して耐久力を上げたもので再利用が可能で、最終的にコストダウンになるからって弓をメインにする人に人気がある。
他にも貫通矢と炸裂矢が万が一に備え矢筒に数本は入れておく人が増え、少ないながらもコンスタントに出ているし、子供の小遣い稼ぎで地域経済の活性化に役立っていた。

本当の意味で本業の方は顧客が少なく儲けは出ていないが、顧客はほぼリピーターで大体武器を作りに来て防具が分割で追加していけるのが予算に負担もなく壊れても修理がさほどかからずに済むからみんなちょこちょこ来ては部品を追加してで細々ながら赤字にならない程度の仕事量でたまに痛んだ名品を使ってるやつを人柄を見た上で紹介されて、今この城下町に滞在する冒険者家業の奴らで口の固い連中は大体装備を提供している。
それに今度スライムゼリーの胸パッドが戦闘時に大きい人は揺れずにすみ、成長期の子は装備を大きめに作って成長に合わせて厚みを変えるだけで防具を長く使えるって隠れた需要を作っていたがこの情報を聞きつけた胸にこだわりを持った人たちが、大きく見せる様にって事で寄せて上げる構造の物を作ったら爆発的に催促が集まり、これも今度フォルテの店の商品として販売が決まって、胸に貼り付けてセンターのフックで固定するタイプとチューブトップの2種類を用意することになり、常連を中心にスライムの乱獲依頼が常時発行されていた。

こうして変わり種のゼットを中心に地域経済の需要と供給を作り出し発展させていた。
元々人間だったのにゲームの世界に飲み込まれ、いつしか重要キャラとして立場を作ってしまって完全にこの世界の人工ＡＩ代わりにされてしまっているが、肉体の滅んだ現世よりは満喫した人生を送れていた。
今後は恋仲になったキャラと離れ離れになってしまっているがいつかは会いに行って再開をしたいと思いつつも今はこの生活を楽しむ事を考えるゼットだった。


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中途半端ですがここで一旦終わりにしておきますm(_ _)m