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リターンズ

4穴掘り

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ガン!ガン!ガン!
ゴロゴロ!

「クソ~!ここはハズレ坑道か?さっきからろくなの出ねえな」

時間も忘れ籠もること数日?すでに暗闇の中、日にちの概念も無く掘り続けているが目当ての鉱石が1種類予定量に足りず、坑道を変えてみたが欲しいものだけが出てこなかった。その為他の物が規定の倍たまってしまい持ち帰るには少々不可能な量になってしまった。

仕方なくここで一旦諦めて貯まった鉱石を種類別に仕分け外に運び出し、近くの林から取った木を沢山並べ酸素が入らない様にして簡単な竃を作り火を入れ炎が起きないように蒸し焼きにして、炭を作った。

その炭を作っている間に近くの土から良質な土が見つかったので大量にレンガを作成し、乾燥待ちで乾いたものから順に貼り合わせ簡易的な炉を作りレンガによる耐熱処理された全長1m程の小型炉が完成した。
ここに出来上がった炭を入れ、加熱し、鉱石を系統別に入れていき、溶け出た金属を集め成形し、不純物を除去して金属の延棒を作り出していった。
これにより余計な部分や不純物の分がなくなり荷物の容量が開いたことでもう一度坑道に潜り、足りない一種類の為に先ほどとは違う場所に潜っていった。
だが予定していたそこには先客がいて掘っているのだが、余りにも素人丸出しな掘り方にどうにも見ていられない。
オイオイそんなに腰引けてたら力入らねえぞ!
握りが甘いから狙ったところにもふり下ろせてすらいないじゃ無いか!
ちょっと待てその鉱石をなぜ捨てる!?それは俺が欲しいものじゃ無いか!!
わー!?待てそこに衝撃与えたら崩れるぞ!

ガン!ボキッ!

甘々な狙いと屁っ放り腰が幸いして坑道が崩れる一撃になる前にボロボロだったツルハシが先に壊れてしまった。
それを見てしまったら我慢できずに壊れたツルハシを手に取り若者に怒鳴っていた。

「馬鹿野郎!そんな屁っ放り腰でやってっから道具壊すんだ!ほらこれ持て!いいから早くしろ!」

急に怒鳴られてビビっている若者は訳も分からず言われた通りツルハシを持って構えた。

「腰が引けてる背筋伸ばせ!手だけでやってっから疲れんだ!棒立ちになるな!膝使え!体から離れて上げようとするから重いんだ手前に寄せろ!」

若者は始め反抗的だったが体の使い方が分かってきて面白くなってきたのか言われたこと以外に独自に考えて動き始めていた。

「そうだ!よく気付いたそれでいいんだ!忘れないうちに繰り返して体に覚えさせろ!」

若者は無駄な動きが減り状態も安定し手だけで振るっていた動きは全身運動でより大きな筋肉を使っての動きに変わり一撃の威力も上がり、先程までの効率とはかけ離れた別人の様に振りまくっていた。

「その右の出っ張りは叩くなよ!坑道が崩れるからな!その左に色が違うのわかるか?そこ掘れば鉱石出てくるぞ」

素直に聞き入れる若者に気分良くなりあれこれと穴掘りのノウハウの指導となったが残念ながら若者が欲しがっていた鉱石はこの坑道からは出てこなかった。しかしそれは先程の坑道で大量に出て全てインゴットに変換済みである。それに欲しかったものは若者が掘り出してくれていた。

「オイ!お前が掘ったこれをよこせ。代わりにこれをくれてやる」

合金用の添加剤になる鉱石の代わりに欲しがっていた硬重鋼をくれてやった。
だがそんな物を何に使うのか?
疑問に思って聞いてみるとなんとも酷いもんだ。
何やら量産剣で物足りないしすぐ折れるから硬重鋼で硬い剣作れば持つだろうって安易に思いついたんだと…

「馬鹿野郎!お前のガタイでそいつで剣なんて作ったら振りまわせるわけ無いだろう!しかも振りまわせるサイズに抑えたら逆に脆くなっちまう!そもそも剣というのはな硬く強いだけでは折れちまうんだそこに柔らかさというか粘りだな。それが無いとお前の求めるものはできやしないんだ。それに硬重鋼なんて物を使うのはそれこそ斧とか大剣とかそれ自体が重さを必要とする質量兵器が使うものだ」

若者は俺の説教でショックを受けたのか俯いてしまったが何かに気付いたのかバッと顔を上げて詰め寄ってきたが坑道の奥で話をするのもいい加減飽きたから外に出るのを提案しすでに日が落ちていたのだが精錬炉のところに連れ出した。
話をする前に取ってきた鉱石の精製の準備をして、炉の熱で沸かした湯でその辺の野草を使った茶を入れ腰掛けた。

ところが若者は俺が武器作りに精通してると見越していきなり土下座をしてきて、自分に向く武器を選んでくれと懇願されてしまった。

さてどうしよう?
こいつの気概は気に入ってるが武器選び?そんな事した事無いからな。さてどおすっか?
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