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肉と魚と炭火と危険
元国王の脅迫(おねがい)・フェイクBLTサンド添え
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翌朝……何故か早起きしていたガドラと一緒に日課の筋トレをしてたら本当にペスカタ方面から大勢のマッチョが現れて、野菜狂信者共を次々と捕縛しては護送用のゴツい馬車に乗せている。
当然その中にはクサヤも居たんだが両手の指を残らず折られた現状じゃ下手な真似は出来んだろ。
少なくともあの指が治るまでは俺の安全も保証されるんだが……あの光景は思い出すだけで身震いがするな。
今後もイドラを怒らせる様な真似はするまい。
「しかしイドラの奴、一体どんな教育を受けてあんな威圧感を出せる様になれたんだかなぁ」
「イドラのアレなら母ちゃん譲りだ、って父ちゃんが言ってた」
……恐るべしは母からの遺伝、か。
そう考えるとウチは食費が倍になるぐらいで済みそうだな、って大問題だったわ。
本格的にベーコンとバーベキュー以外の集金手段を探すか、トーフの絞り汁を買ってくれる製薬師(アルケミスト)を探さないと。
「お兄ちゃん、朝御飯できたよ」
「よしガドラ、他の子供達を起こして手と顔を洗ってこい」
「はーい」
それにしてもガドラの奴、野菜狂信者と戦える強さに大木を振り回せるパワーはあったけど9歳でありながらもう腹筋が4つに割れかけていやがる。
勇一も6パックになってはいたが、やはり鍛え方が違うんだろう。
かといって俺には野菜狂信者やモンスターと戦える実力がないけどな。
「所でお兄ちゃん、小鍋でお湯が噴いてるよ」
あ、忘れてた!
急いでコーヒー豆を挽かないと!
という訳で可愛い妹が作った朝食のフェイクスイーツ……見た目はコッペパンのBLTサンドだが間違いなくデザートだ。
ついでに実物を知らなければ驚きも半減するだろうとちゃんとしたBLTサンドも出して先に食って貰ったぞ。
「イチゴのBLTサンド、パンは普通、だけどこのレタ……ホウレンソウのマカロニと同じ味?」
「このトマトもイチゴの味がするで?」
「このベーコンはリンゴの味だ!それに何だかプルプルしてる!」
そしてマヨネーズの代わりに生クリームと合わせたオレンジのジャム、と。
日本に居た頃より格段に見た目も良くなっているし味もいい。
というか擬似ベーコンの不自然な厚みと大量に塗られた生クリームがなければ見分けが着かないだろうな。
「これは美味い上に面白いな、ちょっとしたパーティーなんかで出せば話題になりそうだ」
「それに子供達も夢中で食べているし、野菜嫌いの子供に食べさせる切っ掛けに使えそうだな」
いや、ここに居る子供達は何でも美味しく頂いてしまうから余り参考にはならんぞ。
むしろ大人の方が好き嫌いが激しいぐらいだ。
「ふぅむ、ラリーにカトラよ……やけに興味深く見て味わっておるが作り方が気になるか?」
「まあ、気にならないと言えば嘘になります」
「このフェイクスイーツとやらも気になりますが、以前頂いたスモークチキンとやらが気になって……」
ラリーさんはフェイクスイーツ、カトラさんはスモークチキンが気になると……
別に教えても構わんけど流石に元国王の部下に無礼は働けんしなぁ。
かといって俺はこの世界の文字が読めんし書けないからレシピを渡してやる事も出来ん。
となると……
「ならばワシの権限でアングラー祭まで休暇を与えよう……お主、頼んだぞ」
やっぱり無茶振りが来やがったな。
元国王には世話になったし、カトラさんがスモークチキンを作れる様になれば無茶振りの頻度も減るだろうから構わんけど。
とはいえスモークチキンに欠かせないパプリカパウダーはトゥール様に頼まなきゃ手に入らんからなぁ……着色をしないタイプを教えるしかないな。
ただ問題はタープとマリアに浮気を疑われないかって所だが……
「まあええんちゃうか?本人等の希望やし」
「部屋も空いてるし、授業料も頂いた……反対はしない」
おいマリア、いつの間に授業料なんて貰ったんだ?
まあいいか、許可も出た事だし。
「まさかバカ息子とアホ娘にお仕置きするだけの筈が孫に友達と婚約者候補まで見つかるとはのう……お主に頼んで本当に良かったわい」
「あの……流石に婚約云々は早過ぎるのでは?」
「あの内気が過ぎる孫じゃからな、他の相手も探すとしてまず会話が出来るとは思えんのじゃ」
それは確かに……保護者としてはああやって普通に話せる相手を逃がしたくはないだろうな。
だからって早過ぎるのは間違いないと思うが。
「加えてトゥール様の関係者ならば誰も反対はせんじゃろうし、本人の意志も重要じゃろ?」
当のワイルはまだ4歳なのもあって恋愛に無頓着っぽいけどな……まあそこは女王の頑張り次第か。
会える機会はそんなにないと思うけど。
「という訳で、再びあの少年が両親と一緒に来たならばワシに知らせい……交渉の機会ぐらいあっても良かろう?」
おい、そんな威圧感を出しながら言われたら脅しにしか見えんぞ。
とはいえ実際に交渉するなら桃花が相手をするだろうし、相手がワイルなら俺には何の権限もないから……
「えっと……トゥール様の予定と気分次第な所もあって具体的にいつ、とは確約できませんがそれで良ければ」
「うむ、それで構わん……頼んだぞ」
まあ仕方ないよな、元国王にだって孫の恋路を応援したり婚約を交渉する権利があるのは確かだし……仮にも住んでる世界で上から数えた方が早い偉人なのもあって逆らえん。
もしかしたらこれが中間管理職の気持ち……いや、微妙に違うか。
世界をまたいだ婚約が成立するかどうか、また可能なのかは解らんけど……俺には頑張ってくれとしか言えん。
「ナチャは王子様と婚約して、兄さんもキャリちゃんと、ワイルも女王様と婚約かぁ……いいなぁ」
「イドラねーさんはまだ慌てる歳じゃないじゃん」
「そーだよ、むしろ周りが早過ぎるだけだよ」
キャリとガドラの婚約を認めた覚えは微塵もないが、異世界の子供はそういう事を早めに決めなきゃならん法でもあるのだろうか?
仮にあってもガドラがダニエルさんかジョニーさん並のピットマスターにならん限りは許さんけどな。
当然その中にはクサヤも居たんだが両手の指を残らず折られた現状じゃ下手な真似は出来んだろ。
少なくともあの指が治るまでは俺の安全も保証されるんだが……あの光景は思い出すだけで身震いがするな。
今後もイドラを怒らせる様な真似はするまい。
「しかしイドラの奴、一体どんな教育を受けてあんな威圧感を出せる様になれたんだかなぁ」
「イドラのアレなら母ちゃん譲りだ、って父ちゃんが言ってた」
……恐るべしは母からの遺伝、か。
そう考えるとウチは食費が倍になるぐらいで済みそうだな、って大問題だったわ。
本格的にベーコンとバーベキュー以外の集金手段を探すか、トーフの絞り汁を買ってくれる製薬師(アルケミスト)を探さないと。
「お兄ちゃん、朝御飯できたよ」
「よしガドラ、他の子供達を起こして手と顔を洗ってこい」
「はーい」
それにしてもガドラの奴、野菜狂信者と戦える強さに大木を振り回せるパワーはあったけど9歳でありながらもう腹筋が4つに割れかけていやがる。
勇一も6パックになってはいたが、やはり鍛え方が違うんだろう。
かといって俺には野菜狂信者やモンスターと戦える実力がないけどな。
「所でお兄ちゃん、小鍋でお湯が噴いてるよ」
あ、忘れてた!
急いでコーヒー豆を挽かないと!
という訳で可愛い妹が作った朝食のフェイクスイーツ……見た目はコッペパンのBLTサンドだが間違いなくデザートだ。
ついでに実物を知らなければ驚きも半減するだろうとちゃんとしたBLTサンドも出して先に食って貰ったぞ。
「イチゴのBLTサンド、パンは普通、だけどこのレタ……ホウレンソウのマカロニと同じ味?」
「このトマトもイチゴの味がするで?」
「このベーコンはリンゴの味だ!それに何だかプルプルしてる!」
そしてマヨネーズの代わりに生クリームと合わせたオレンジのジャム、と。
日本に居た頃より格段に見た目も良くなっているし味もいい。
というか擬似ベーコンの不自然な厚みと大量に塗られた生クリームがなければ見分けが着かないだろうな。
「これは美味い上に面白いな、ちょっとしたパーティーなんかで出せば話題になりそうだ」
「それに子供達も夢中で食べているし、野菜嫌いの子供に食べさせる切っ掛けに使えそうだな」
いや、ここに居る子供達は何でも美味しく頂いてしまうから余り参考にはならんぞ。
むしろ大人の方が好き嫌いが激しいぐらいだ。
「ふぅむ、ラリーにカトラよ……やけに興味深く見て味わっておるが作り方が気になるか?」
「まあ、気にならないと言えば嘘になります」
「このフェイクスイーツとやらも気になりますが、以前頂いたスモークチキンとやらが気になって……」
ラリーさんはフェイクスイーツ、カトラさんはスモークチキンが気になると……
別に教えても構わんけど流石に元国王の部下に無礼は働けんしなぁ。
かといって俺はこの世界の文字が読めんし書けないからレシピを渡してやる事も出来ん。
となると……
「ならばワシの権限でアングラー祭まで休暇を与えよう……お主、頼んだぞ」
やっぱり無茶振りが来やがったな。
元国王には世話になったし、カトラさんがスモークチキンを作れる様になれば無茶振りの頻度も減るだろうから構わんけど。
とはいえスモークチキンに欠かせないパプリカパウダーはトゥール様に頼まなきゃ手に入らんからなぁ……着色をしないタイプを教えるしかないな。
ただ問題はタープとマリアに浮気を疑われないかって所だが……
「まあええんちゃうか?本人等の希望やし」
「部屋も空いてるし、授業料も頂いた……反対はしない」
おいマリア、いつの間に授業料なんて貰ったんだ?
まあいいか、許可も出た事だし。
「まさかバカ息子とアホ娘にお仕置きするだけの筈が孫に友達と婚約者候補まで見つかるとはのう……お主に頼んで本当に良かったわい」
「あの……流石に婚約云々は早過ぎるのでは?」
「あの内気が過ぎる孫じゃからな、他の相手も探すとしてまず会話が出来るとは思えんのじゃ」
それは確かに……保護者としてはああやって普通に話せる相手を逃がしたくはないだろうな。
だからって早過ぎるのは間違いないと思うが。
「加えてトゥール様の関係者ならば誰も反対はせんじゃろうし、本人の意志も重要じゃろ?」
当のワイルはまだ4歳なのもあって恋愛に無頓着っぽいけどな……まあそこは女王の頑張り次第か。
会える機会はそんなにないと思うけど。
「という訳で、再びあの少年が両親と一緒に来たならばワシに知らせい……交渉の機会ぐらいあっても良かろう?」
おい、そんな威圧感を出しながら言われたら脅しにしか見えんぞ。
とはいえ実際に交渉するなら桃花が相手をするだろうし、相手がワイルなら俺には何の権限もないから……
「えっと……トゥール様の予定と気分次第な所もあって具体的にいつ、とは確約できませんがそれで良ければ」
「うむ、それで構わん……頼んだぞ」
まあ仕方ないよな、元国王にだって孫の恋路を応援したり婚約を交渉する権利があるのは確かだし……仮にも住んでる世界で上から数えた方が早い偉人なのもあって逆らえん。
もしかしたらこれが中間管理職の気持ち……いや、微妙に違うか。
世界をまたいだ婚約が成立するかどうか、また可能なのかは解らんけど……俺には頑張ってくれとしか言えん。
「ナチャは王子様と婚約して、兄さんもキャリちゃんと、ワイルも女王様と婚約かぁ……いいなぁ」
「イドラねーさんはまだ慌てる歳じゃないじゃん」
「そーだよ、むしろ周りが早過ぎるだけだよ」
キャリとガドラの婚約を認めた覚えは微塵もないが、異世界の子供はそういう事を早めに決めなきゃならん法でもあるのだろうか?
仮にあってもガドラがダニエルさんかジョニーさん並のピットマスターにならん限りは許さんけどな。
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