エルフの森をキャンプ地とする!

ウサクマ

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エルフで菜食主義だったら駄目なのかよ

女王の訪問・ミスリルのしぼり器添え

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ジョニーさんからまさかの試験を言い渡されてしまった……が、作る物はオクラのガンボと決まっているから今まで受けた試験より楽ではある。

宴会と片付けを終わらせて考えてはみたが、やはりメインは鶏肉にしようと思う。

理由はまあ……子供の頃のリベンジって奴だな。

それより今は……

「ウメオ、領主から手紙が飛んできた……領主とアンカーが、国王と他数人を連れて、2日後にここに来ると」

トゥール様の予測と同じか……てか領主とアンカーも来るのかよ。

元国王が一人なら今日中だった可能性もあるだろうが他に何人も居るならそこまで無茶な真似はするまい。

馬だって体力に限界があるしな。

「……昨日の今日で大変だろうが苺心、元国王のバカ息子とアホ娘におみまいする料理と他数人に振る舞う料理の試作をしよう」

「はーい」

俺が作るのはビーフカツにトルネードステーキだから当日にぶっつけ本番でも構わんのだが、まずは試作して先に食わせておかねば嫁と娘とその友達が暴れてしまうからな。

「……お兄ちゃん、金属なら何でも構わないけどしぼり器って作れる?」

「出来なくはないと思うが……ああ、壊れちまったのか」

可愛い妹が柑橘類から果汁を絞るのに使っていたしぼり器は本人の小遣いで、それも百均で買ったプラスチック製だからな……むしろ今まで長持ちした方だろう。

となれば時間は掛かるがミンサーを作った時に余ったミスリルを金属加工して……

「おじさん、ミスリルは直接炭火に乗せて加工するとやりやすいって父さんが言ってましたよ」

ほう、炭火に乗せて……よし、やってみよう。

一応すぐに冷やせる様に桶にでも水を張っておいて、実物を見ながらイメージ……お、前より力が通りやすくなってる気がするぞ。

形が出来たらすぐに水に突っ込んで、冷えたら……

「……どうだ?」

「うん、さっきまで使ってたのと同じサイズと重さだし便利かも……ありがと」

よし、続きをやるか。



そんなこんなで試作も上手く行って……トゥール様の宣言通りの日にようやく到着か。

来たのは元国王に領主とアンカー、メイドさんが二人とその影に隠れている女の子……縄で縛られた男と女の計8人、と。

もう少し多いと思ってたがまあ、タープとマリアが居れば食材が残る事は絶対ない。

っと、元国王の話通りならあの女の子が現女王って事になるが……

「ど、どうも……アルデバラン・M・マンネ九世……でしゅ」

メッチャ噛んだな……

てか初めて会った時のキャリみたいなキョドり方なんだが、まさか本当に他の選択肢がなかったパターンだったのか?

「君の懸念も解らなくはない……だがあの泣き顔を見て悪事を働こうとする者は居ないし、それでも悪事を働いた者は他の貴族が責任を持って根絶やしにするから問題はない」

「まあ、そもそも我が国の貴族はほぼ全員が鍛えられた筋肉により清い魂をしておるんじゃがな」

物騒だなオイ。

まあ確かに団結力を高めるというのも一種の才能ではあるか。

そしてやっぱり貴族はマッチョだらけなんだな……知ってたけど。

とはいえもう少しぐらいシャキッとした方がいいとは思うが……そこは今後の成長次第だな。

「ぅぅ……恥じゅかしいでしゅ」

「ンナー?」

「あ、カワイイ……」

ナイスだベーコン、そのまま子供達と合流させつつ遊んでやってくれ。

「さて、早速じゃがまずはお仕置きから済ませようかのう……頼んだ物は用意しておるか?」

「抜かりなく、苺心も用意してくれ」

「はーい」

よくよく考えたら焼き加減の好みを聞いていなかったが、まずはお仕置き用だからな……ミディアムレアにしておこう。

他の皆さんの分は焼く時に聞けばいいだろ。




という訳で焼けたトルネードステーキと揚げたてのビーフカツは二人のメイドさんとクティが、可愛い妹のスイーツとパンプキンパイは領主と元国王がそれぞれ食わせている。

「いやぁ!太る!太ってしまうわ!」

「止めっ、甘っ!胃袋の中まで甘ったるい!」

因みにトルネードステーキは今まで通りだが、ビーフカツは8割が脂身のみのベーコン……マットさんが味を見て欲しいと送ってくれたラルドを使って作った。

バカ息子の方を糖分マシマシで作ってるからとアホ娘はカロリーマシマシにしたが……死ぬよりはマシだろう。

「よし、ちゃんと残さず食ったのう……再びふん縛って馬車に放り込んでおけい」

「「畏まりました」」

それにしてもあの二人のメイド……仮にも主君の息子や娘にも関わらず容赦がないな。

「おい貴様、私達の分もあるなら用意しろ……全員ミディアムレアでいい」

「お前は結婚しても性格が治らんな……今焼くから待ってろ、それとクティは子供達を呼んで来てくれ」

さて、子供達を含めて全員ミディアムレアならミディアムは俺と可愛い妹の2枚か。

タープとマリアは予めベーコンをたっぷり食わせておいたし、オヤツにも出すから問題ない。

「お兄ちゃん、子供達は別のテーブルにした方がいいかな?」

ふむ、見れば女王もキャリ達と仲良く遊んでいるからな……どうやら打ち解けられたらしい。

いつの間にかサシミも混ざって、何やら見慣れない真っ赤な体毛と黒い翼を生やした猫が居るが……あの猫は多分ナチャの幻獣だろう。

「トーフ、ちょっと来てくれ」

「どうした、主の父上よ……何故に我の身体を大きくしているのだ?」

「子供達がオヤツを食べている間、お前にあのバリアを張って貰いたいからだ」

「そういえばマンネ殿はこの国の女王であったな……了解した」

理解が早くて助かる。

万が一に備えてクティにも側に居て貰うが、ベーコンとエビフライも居るから滅多な事には……

「お兄ちゃん、伏せて!」

ってどうした可愛い妹よ……痛ったぁ!

いきなり足払いで転ばせるとは何事……あ、このナイフはまさか?

「またもや避けられたか、忌々しい奴め」

「ゲッ、クサヤ!」

「クルドよ!」

毎度の事ながら名前はどうでもいいとして……こいつ、確かセバスさんが元国王の所に送ったんじゃなかったか?

「驚いたのう、あの牢獄から脱走するとは」

「フン、脱出には苦労したがそこの王女に救われたのよ……代わりに現女王の暗殺も依頼されたけど」

「……流石にこれは肉や魚を食わせる程度じゃ済まないのでは?」

「じゃな、アホ娘は廃婿の後その性根を叩き直すべく特に規律の厳しい修道院にでも幽閉しておくわい」

まあその辺はお任せしますよ、俺にはどうしようもないし。

「で、まさか前回コテンパンにされたのに一人で来たの?」

「フン、悔しいが私だけじゃ勝てないのは解っているわ……だから王子殿を通じて部下を呼んでおいたのよ!」

バカ息子まで関わっていやがった。

そして合図と同時に……ざっと30人は居やがるな。

確か過激派は全部で58人とか言ってたから半数近くが来てるのか。

「子供達はトーフのバリアにベーコンやエビフライが居るし、クティも控えてるから大丈夫だとは思うが……」

「私はどの道あのオバサンを倒さなきゃならないし……周りの手下までは手が回らないかも」

かといって俺は戦えんしなぁ……

「ならばザコ共はワシに任せるがよい、久しぶりに暴れてやるわ」

「仮にも国で一番偉かった人物が最前線に立つのかよ!」

「安心したまえ、元国王は一人で3個小隊に匹敵する程強い」

……少なくとも俺じゃ止められないのは解った。

でも家を壊したりしないで下さいよ?
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