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エルフで菜食主義だったら駄目なのかよ
野菜狂信者との会食・燻製岩塩添え
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フィオレさんが来る日になって、朝からジョニーさんも来やがった。
確かに来るとは聞いてたけど早過ぎじゃね?
まあいつ来てもいい様に準備は終わっているけどな。
後はフィオレさんが来たら焼いて揚げるだけだ。
「ホゥ、この材料からしてビーフのカツレツだな……そして揚げ油にはヘットか?フィオレは揚げ物と酒が好きだからな、いい判断だ」
よし、まずジョニーさんからの評価は得られた。
肝心のフィオレさんに通じる保証がなくて不安だったが幾分か気が楽になったな。
「ボーイ、そのヘットにビーフのベーコンの脂身だけを少しだけ入れておけ、揚がったカツレツの香りが良くなるぜ」
「その発想はなかったな……解った」
切り落としたベーコンの端から脂身だけを切り取って、よし。
「で、味付けはどうするつもりだ?」
「ああ、味付けはこいつを使う」
「……成程な、なら出来上がりを楽しみにしておこう」
ちょっと見て匂いを確認しただけで察したか……流石すぎる。
ってジョニーさんよ、肝心のフィオレさんがまだ来てないのに酒を飲んでんじゃねぇ。
しかもそろそろマリアが起きる時間……おっと、可愛い妹も起きたな。
「苺心、寝起きで悪いがマリアに甘酒を用意してやってくれ」
「はーい」
かなりの量が必要ながら酒を飲まれるよりはいいからな……とはいえ酒粕も残りが少なくなってきたか。
兄貴が来たらまた仕入れに行くか、グリルかロリババアに酒粕を送って貰わないとならんな。
正午ぐらいになって、ようやくお出ましだな。
確かフィオレさんより過激派の動向に詳しい奴も連れて来るとか聞いたが……
「まさかお前が来るとは思わなかったぞ……えっと、アメーラ」
「私も貴様の元に連れて来られるとは思わなかったぞ……そしてようやく名前を覚えたか」
まあ、確かに過激派に詳しい奴となれば過激派本人に決まってるわな。
こいつは元過激派になるらしいが。
「坊や達にも積る話はあるでしょうけど、まずはお願いしておいた料理を頼めるかしら?」
「あ、はい……ってお前も食うのか?」
「フィオレ様の指示だからな……だが大量のハラペを使った料理だけは拒否させて貰う」
これまで俺と遭遇する度に散々おみまいして来たからな……
まあ安心しろ、今回は辛味が殆どないから。
作り方は前回やったから割愛して、ハンバーガーはそのままに……そしてビーフカツは一口大に切り分けて皿の端に砕いて潰した岩塩と和芥子を盛って、と。
ついでに小鉢にトゥール様のソースも用意しておいたぞ。
「……流石はダニエルに可愛がられていただけはあるわね、このベーコンはかなり近い味だわ」
近い、か……まだまだ及ばないらしい。
「それにダニエルはハラペをジャムにした物でハンバーガーを味付けしていたけど……これは?」
「そいつはマスタードといってな、俺がこの世界に持ち込んだシロガラシという植物の種から作る調味料だ」
「俺とダニエルの故郷ではそのマスタードにバターと砂糖、リンゴから作った酒を酢にした物を混ぜて使う……そしてこれこそダニエルがフィオレに食わせたかった本来のハンバーガーだ」
「そう……ダニエルったら、約束しておきながら自分じゃなくて教え子に作らせるなんて」
いや、俺に作らせたのはフィオレさん本人だと思うんだが……
でもこの雰囲気に水を差すのは悪い気がするから黙っておこう。
「だがボーイ、こいつはリンゴではなくレモンのワインビネガーを使ったな?微妙に酸味がキツいぜ」
「仕方ないだろ、リンゴの酒がなかったんだから……まあ後日にでも兄貴に聞いてみるつもりだけど」
「成程、キョウヤなら作れるだろうし既に作っている可能性もあるな」
「その時はまた呼んで頂戴、食べに行くから」
また来る気かよ……別に構わんけど。
その時は事前に連絡してくれよ?
「これが坊やの得意なウシ肉料理……ちゃんとミディアムレアになってるしベーコンとチーも入っているわね、ソースとの相性もいいわ」
本当ならトルネードステーキをおみまいしたかった所なんだがな……
まあハンバーガー目当てに何度も来そうだし、作る機会はあるだろ。
「っ、この黄色い物は何だ!口にした途端鼻が痺れたぞ!」
「そいつは和芥子と言ってな、簡単に説明するならマスタードの親戚みたいな物だ」
「この刺激が肉の脂で重くなった口の中をスッキリさせてくれるわね」
フィオレさんは辛党らしいからって添えてみたんだが、どうやら気に入った様だな。
因みにジョニーさんも和芥子は平気なタイプだ。
「何よりこの岩塩かしら……リンゴの香りがして、ウシ肉の味を引き立てているけど」
俺が知っている限りの話ではあるが店で出されるビーフカツの味付けにはその店特製のデミグラスソースを使ったり、トンカツソースと複数の塩を用意して客に決めさせたりと様々だ。
俺が用意したのはベーコンを作る時に使うリンゴの木のチップで燻した燻製岩塩、個人的にビーフカツには一番合うと思っている。
因みにこの世界の岩塩はどこでも売っているがキロ25バランと少々高い。
買う時はマリアの視線が怖かった……
「……思ったよりやるわね坊や、約束通り話してあげなさいなアメーラ」
「解りました」
しかしこいつも和芥子に文句は言ってたが残さず食いやがったな。
正直こいつとだけは仲良く出来る自信はないが、今後は辛味のない料理だけをおみまいしてやろう。
確かに来るとは聞いてたけど早過ぎじゃね?
まあいつ来てもいい様に準備は終わっているけどな。
後はフィオレさんが来たら焼いて揚げるだけだ。
「ホゥ、この材料からしてビーフのカツレツだな……そして揚げ油にはヘットか?フィオレは揚げ物と酒が好きだからな、いい判断だ」
よし、まずジョニーさんからの評価は得られた。
肝心のフィオレさんに通じる保証がなくて不安だったが幾分か気が楽になったな。
「ボーイ、そのヘットにビーフのベーコンの脂身だけを少しだけ入れておけ、揚がったカツレツの香りが良くなるぜ」
「その発想はなかったな……解った」
切り落としたベーコンの端から脂身だけを切り取って、よし。
「で、味付けはどうするつもりだ?」
「ああ、味付けはこいつを使う」
「……成程な、なら出来上がりを楽しみにしておこう」
ちょっと見て匂いを確認しただけで察したか……流石すぎる。
ってジョニーさんよ、肝心のフィオレさんがまだ来てないのに酒を飲んでんじゃねぇ。
しかもそろそろマリアが起きる時間……おっと、可愛い妹も起きたな。
「苺心、寝起きで悪いがマリアに甘酒を用意してやってくれ」
「はーい」
かなりの量が必要ながら酒を飲まれるよりはいいからな……とはいえ酒粕も残りが少なくなってきたか。
兄貴が来たらまた仕入れに行くか、グリルかロリババアに酒粕を送って貰わないとならんな。
正午ぐらいになって、ようやくお出ましだな。
確かフィオレさんより過激派の動向に詳しい奴も連れて来るとか聞いたが……
「まさかお前が来るとは思わなかったぞ……えっと、アメーラ」
「私も貴様の元に連れて来られるとは思わなかったぞ……そしてようやく名前を覚えたか」
まあ、確かに過激派に詳しい奴となれば過激派本人に決まってるわな。
こいつは元過激派になるらしいが。
「坊や達にも積る話はあるでしょうけど、まずはお願いしておいた料理を頼めるかしら?」
「あ、はい……ってお前も食うのか?」
「フィオレ様の指示だからな……だが大量のハラペを使った料理だけは拒否させて貰う」
これまで俺と遭遇する度に散々おみまいして来たからな……
まあ安心しろ、今回は辛味が殆どないから。
作り方は前回やったから割愛して、ハンバーガーはそのままに……そしてビーフカツは一口大に切り分けて皿の端に砕いて潰した岩塩と和芥子を盛って、と。
ついでに小鉢にトゥール様のソースも用意しておいたぞ。
「……流石はダニエルに可愛がられていただけはあるわね、このベーコンはかなり近い味だわ」
近い、か……まだまだ及ばないらしい。
「それにダニエルはハラペをジャムにした物でハンバーガーを味付けしていたけど……これは?」
「そいつはマスタードといってな、俺がこの世界に持ち込んだシロガラシという植物の種から作る調味料だ」
「俺とダニエルの故郷ではそのマスタードにバターと砂糖、リンゴから作った酒を酢にした物を混ぜて使う……そしてこれこそダニエルがフィオレに食わせたかった本来のハンバーガーだ」
「そう……ダニエルったら、約束しておきながら自分じゃなくて教え子に作らせるなんて」
いや、俺に作らせたのはフィオレさん本人だと思うんだが……
でもこの雰囲気に水を差すのは悪い気がするから黙っておこう。
「だがボーイ、こいつはリンゴではなくレモンのワインビネガーを使ったな?微妙に酸味がキツいぜ」
「仕方ないだろ、リンゴの酒がなかったんだから……まあ後日にでも兄貴に聞いてみるつもりだけど」
「成程、キョウヤなら作れるだろうし既に作っている可能性もあるな」
「その時はまた呼んで頂戴、食べに行くから」
また来る気かよ……別に構わんけど。
その時は事前に連絡してくれよ?
「これが坊やの得意なウシ肉料理……ちゃんとミディアムレアになってるしベーコンとチーも入っているわね、ソースとの相性もいいわ」
本当ならトルネードステーキをおみまいしたかった所なんだがな……
まあハンバーガー目当てに何度も来そうだし、作る機会はあるだろ。
「っ、この黄色い物は何だ!口にした途端鼻が痺れたぞ!」
「そいつは和芥子と言ってな、簡単に説明するならマスタードの親戚みたいな物だ」
「この刺激が肉の脂で重くなった口の中をスッキリさせてくれるわね」
フィオレさんは辛党らしいからって添えてみたんだが、どうやら気に入った様だな。
因みにジョニーさんも和芥子は平気なタイプだ。
「何よりこの岩塩かしら……リンゴの香りがして、ウシ肉の味を引き立てているけど」
俺が知っている限りの話ではあるが店で出されるビーフカツの味付けにはその店特製のデミグラスソースを使ったり、トンカツソースと複数の塩を用意して客に決めさせたりと様々だ。
俺が用意したのはベーコンを作る時に使うリンゴの木のチップで燻した燻製岩塩、個人的にビーフカツには一番合うと思っている。
因みにこの世界の岩塩はどこでも売っているがキロ25バランと少々高い。
買う時はマリアの視線が怖かった……
「……思ったよりやるわね坊や、約束通り話してあげなさいなアメーラ」
「解りました」
しかしこいつも和芥子に文句は言ってたが残さず食いやがったな。
正直こいつとだけは仲良く出来る自信はないが、今後は辛味のない料理だけをおみまいしてやろう。
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