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(野菜狂信者は)何とか肉食できんのか?

新しい居候・子供の初恋添え

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ポークロインを作り、昼飯を食い終わったジョニーさんはサンタマリアを抱えつつベルを連れて帰り、サーマとマレスも土産のキャベツやキュウリのピクルスに商品のベーコンを持って帰った。

ベルは桃花とも仲良くなったみたいだし、次はまだ未定だが予定が合いそうならまた誘ってやろう。

「このポークロインって美味しい!」

「ツァトゥ様、誰も取ったりしないから食いながら喋るのは……」

あれが例のツァトゥ様か……デカいな、色々と。

パッと見た所ハイドラ様以上アンカー未満といった感じだがそういう目で見る気が一切おきないのは不思議だな。

例えるならロリババアやグリルの様な、親戚の子供かペットに向ける感情が近いかもしれん。

「そういやあの女神?に何を頼まれたんだ?」

「何て言うか……絶妙にダサいスーツのデザインと調整?」

「後はあたし達の魔拳を参考にするとか言ってましたね」

一体何をしていたのかは気になるが……詮索は止めておこう。

俺が聞いた所で理解できる可能性は低いし。

ま、来年辺りのお楽しみという事にしておこう。

「それはそうと桃花、そっちはチーズじゃなくて豆腐だが良かったのか?」

「何を言うんですか、最初はアッサリしている方から食べた方が最後まで美味しく頂けるでしょう?」

つまり両方を食う気満々という訳か……

「苺心は太りたくないからと脂肪分の接種を嫌がるんだがなぁ」

「カロリーなんて気にしてたら異世界で生活なんか出来ませんよ、いつモンスターに襲われるかもしれない上に盗賊や暗殺者が襲撃に来たりもしますからね」

「少なくともこの中で暗殺者を差し向けられるのは嬢ちゃんだけだがな」

そういう物なのか?

この世界が比較的平和なお陰で俺達に危機感がないのは確かだが……

でも暗殺者を差し向けられるって、何をすればそんな事態に陥るんだ?

「まあ、あたしの場合幾ら鍛えても腹筋が割れないので過食さえしなければ問題はありませんし」

「何それ羨ましい……」

「あたしはむしろ腹筋を割りたいぐらいなんですがね」

可愛い妹が桃花に勝てないのはこの性格も関係してるのかもしれん……

やはり強くなるなら肉が欠かせんな。

「パパ、お肉のトマトおかわり!」

「ん、ああ……ソースが切れたのか」

「お前の娘は本当によく食うな……ウチの子供達を足しても届かないぐらい食ってるじゃねぇか」

「沢山食うのは健康な証だ、問題ない」

ましてやキャリはウチに来る前がアレだったからな。

食べられるなら幾らでも作ってやる。




「では次回に小豆と黄粉、それからまた生で食べられる卵を多めに」

「こっちは酒粕とキュウリ、オクラを追加だね」

「ついでに俺が作ったピクルスがあるから土産に持って行け」

「酒粕は俺も欲しいからな、山ほど用意しておけよ」

「そういうお前は木炭と、あのワイヤーの追加も頼むぞ」

本当に欲しい物ばかりが増える。

なお、ワイヤーの追加が欲しいのはマレスにもサンタマリアを作ってやりたいからだ。

ジョニーさんのサンタマリアを作ったら丁度切らせちまったからな……まあ今回の制作で必要な長さや仕組みに改善点が解ったし、次はもう少しスマートに作れるだろ。

ただマレスに渡す為の口実が必要になるが……これはジョニーさんに相談してみるか。

ウチ用のサンタマリアを先に渡しても良かったんだが、肝心のマレスが畏れ多いって萎縮しちまったからなぁ。

「それにしてもマレスちゃんもかなり腕を上げていましたね……しかも本当は魚料理の方が得意だとか聞きましたが」

「マジか……今まで肉料理を作ってる所しか見てなかったが」

「マレスは元々ペスカタ……港街の生まれだからな、魚に関しては確実に俺以上だ」

こいつや桃花と会う時に魚を料理する機会がなかったし、知らないのも無理はない。

「……トゥール様、次の物々交換は海辺で出来ませんかね?」

「そういやキュアちゃんは魚が好きやったなぁ、出来なくはあらへんけど……時期は兄ちゃん次第やで?」

「いや、俺というより野菜狂信者共の出方次第じゃないですかね?」

確か次の目的が……今から一月半後のフグみたいな魚らしいから、それまで動き様がないんだよなぁ。

これは一応サーマに、それと手紙でシェラフにも教えておいたから警備は問題ないだろう。

例の集落も視察したばかりだし、他の街やら村やらは場所が解らん。

仮に解った所でカチコミ掛ける訳にもいかんしな……返り討ちにされそうだから。

「ぐぬぬ……10人程度でいいならあたしが乗り込んで捕まえて来てもいいんですが」

「おい嬢ちゃん、流石にそれは聖職者のする事じゃねぇだろ」

「モモちゃんは狂信者プリーストだったけどね」

前にトゥール様も言ってたが、遂に可愛い妹まで狂信者扱いか。

一体何があったんだ?

「寝る前にちょっとね……正気度が下がりそうな詠唱を唱えるモモちゃんが」

「……解った、深くは聞かん」

そういう事は知らないに限るからな。

ってか女神の娘に喧嘩を売られたり暗殺者を差し向けられたり……どんな波乱があればそんな殺伐とした人生になるんだ?

だが知るのは怖いから絶対に聞いたりはしないぞ。




いよいよあいつと桃花が帰る時間……キャリとナチャって子が抱き合ってるが、またすぐに会えるぞ。

その為には俺が頑張らなきゃならんけど。

「では暫くの間クティを預けますので、好きにこき使ってやって下さい」

二日酔いでまだ寝込んでるハイドラ様の娘を黙って置いて行くのは流石にどうかと思うんだが……

せめて一声ぐらい掛けてやれや。

「クティにベリーちゃんを鍛えて貰うという目論見もありますが、万が一の可能性ながらヴィーガンエルフが襲撃に来た場合の護衛も兼ねていますので」

「遠慮なくこき使わせて貰う」

野菜狂信者が襲撃に来たら妊婦であるタープとマリアが危ないし、可愛い妹やレクタさんの負担が凄い事になりそうだからな。

ましてやレクタさんは一度腰を痛めているし、再発させる訳にはいかん。

なので護衛は非常に有難い。

それとタープにマリア、俺は浮気をするつもりはないし、ましてや女神の娘に手を出すつもりはないから睨むのを止めてくれ。

おや、キャリがあいつの息子と何か話しているな……

「な、なぁ……キャリちゃんってどんな男が好みなんだ?」

「パパみたいに美味しいご飯が作れる人!」

「えっと……キャリちゃんの父ちゃんって、あのデカいワニをスゲー美味いカラアゲにしてたあの?」

「うん、そうだよ!」

「……父ちゃん、俺に料理を教えてくれ!」

「いや、お前は9歳になったばかりだし料理をするのはまだ早い……せめて来年まで待て」

おいコラ、勇一の息子だし信用が出来るとはいえ……可愛い妹や娘を嫁にしたいならダニエルさんかジョニーさん以上のピットマスターにならねば認めんぞ。

「おい、相手をピットマスターに限定する必要ってあるのか?」

「最重要項目に決まっているだろう」

例え誰が何と言おうとこれだけは絶対に妥協せんぞ。
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