エルフの森をキャンプ地とする!

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(野菜狂信者は)何とか肉食できんのか?

シーバスのバタしゃぶ・恩師の忠告添え

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やっとシーバスを全部捌けたぞ。

野菜狂信者の邪魔さえなければもう少し早く終わったんだが、物々交換のノルマもあるから仕方ないか。

今回は例のカニの甲羅を使う必要があるからバタしゃぶを作るが……やはり新鮮な魚は刺身で食いたいな。

そういやマレスはカルパッチョを作るとか言っていたから後で食わせて貰おう。

「所でボーイ、バタしゃぶはいいがどうやって食わせるつもりだ?」

「千切りのキャベツと一緒に炙ったコッペパンで挟んで食って貰おうと思ってるんだが……」

「ホゥ、ダニエルはトマトを使ったがボーイはキャベツか……成程、悪くない」

トマト……それも美味そうだな。

夕飯はキャベツとトマトの両方を作って食おう。

「よし、キャベツを刻むのとパンにマヨネーズを塗るのはやってやるから早く作っちまいな」

「そいつは有難い」

よし、コンロに炭火を興してカニの甲羅をセット……

そこにキャリが作ったバターを入れて、風味付けに粒コショウと丸のニンニクを沈めておいて……

このバターで薄切りにしたシーバスを泳がせたらキャベツと一緒にマヨネーズを塗ったコッペパンで挟んだら出来上がりだ。

バンズでもよかったが必要な数がとんでもない量になるし、焼くのはウチで食う分だけにしとこう。

ふと見たらマレスの方はサーマとペグさんが手伝いに入ってるし、何とかなりそうだ。




「油にくぐらせたトビバスがこの野菜に合うなぁ」

「パンに塗られた調味料がいい」

「このカルパッチョとかいうサシミも美味い」

「確かに、やけにレタの葉が多いけど美味いな」

「イチゴちゃんの僕になりたい」

「ベルちゃんのペットになりたい」

バタしゃぶは調理時間が短く済むのに数が多いせいで行列が凄いな……

ジョニーさんのお陰で労力は半分で済んでるってのに忙しいぞ。

例の如く可愛い妹を狙う変態は湧いているが……まあスルーしておこう。

「って、ベルを狙う輩が居るけどいいのか?」

「娘は軟弱な男に興味がないし、そこらの奴には負けないから安心しな」

ああ、この世界の男は大半がマッチョだが女性には弱いからなぁ……ジョニーさんも歳のせいか多少は衰えているがマットさんと比べても遜色はないのに嫁には弱いし。

それにベルは可愛い妹と同じぐらい強いらしいからな。

「ふむ、ボーイも大分鍛えたらしいが……腹筋ばかりじゃバランス悪いぜ?」

見抜かれてやがった……

おっと、そろそろウチで食う分と土産用にオイル漬けにしたのを除いたシーバスの切身がなくなるな。

見ればマレスの方も終わりそうだし、一旦片付けたら夕飯の準備をせねば。




さて、夕飯だ。

俺が作ったバタしゃぶサンドにマレスのカルパッチョ、可愛い妹がデザートを用意してて、さっき作ったシャークパイにそれからこれは?

「そいつは俺が作ったシャークのフライだ、脂はボーイのバターをそのまま使わせて貰ったぜ」

ジョニーさんのフライだと、そんなの絶対美味いに決まってる。

ってジョニーさん、その使い古しのバターで何をやってるんだ?

何か金属の容器に詰めてるけど……

「明日になれば解る、まずはディナーを楽しもうぜボーイ」

気になるけどまあ、ジョニーさんなら大丈夫だろ。

「シャークとトビバス美味しい!」

「ンナー!」

「ヒャー!」

この鮫のフライは日本で食ったのより更に臭みがないし、シャッキリした歯応えがあるな。

パイにしたのも柔らかく煮えてるし、こりゃバーボンが進む。

「お兄ちゃん、私の分のバタしゃぶサンドはマヨネーズなしでキャベツを増やして」

「はいよ」

さて、マレスのカルパッチョは……これも美味いな。

シーバスの味を生かす為かニンニクがなくて野菜はタマネギを少な目に、その分レタスが山盛りだが……このドレッシングによく合ってる。

「そのドレッシングはジョニーさんのコーン油とレモン果汁に醤油を垂らして作ったんだよ」

成程、確かにコーン油はクセがなくてドレッシングに向いてるからな。

ジョニーさんは揚げ物にしか使わないけど。

「あら?ウメオさんのコンロが白銀色に輝いてるわよ?」

「ゑ……うわマジだ!?」

そういやすっかり忘れてたが、シーバスを料理するのはこれが目的だった。

確かトゥール様が言うにはこれで掃除が楽になるとか言ってたっけ。

「ボーイ、そのコンロで何か適当に焼いてみろ……直火でな」

「何かって言われてもなぁ……とりあえずベーコンでも焼いてみるか」

って何だこりゃ!

直火だといつもなら炭に滴る脂が上に登って……ひっくり返したら中心に引っ込んだのか一向に垂れない?

「ボーイなら知ってるだろう、肉の旨味の元はコンロの汚れにもなる脂と肉汁だ……あのゴッデスの話の通りならコンロを汚さないって事は肉を美味く焼ける事に繋がるって訳だ」

成程、ピットマスターの苦心はいかに肉汁を無駄にせず焼くかに尽きる。

確かにこれなら網がちょっと焦げる程度で済むから掃除は楽になるだろうし、美味い肉を焼くなら最高のコンロだな。

「……焼けたのはキャリ、食べるか?」

「食べるー!」

……確かに美味く焼けるんだろうが、このコンロに頼るのはいけない気がするな。

これはいざって時の備えか野菜狂信者に食わせる肉を焼く時用にして、普段はあの魔鉄製のコンロを使う様にしよう。

何なら帰る前にもう1つ作るか。

コンロを作る分ぐらいの金ならあるし、予備は幾つあっても困らん。

「……ボーイも大分ダニエルに似て来たな、あいつもこうなったコンロは滅多に使う事がなかった」

「そうなのか?」

って俺とダニエルさんが似てるとか、マジか?

だとしたら凄く嬉しいんだが。

「ダニエルは【自らの腕で美味い肉を焼く】がモットーだったからな……そのコンロを使ったのは俺が知る限りボーイのバースデイ、あのチーズイン・ベーコン・エクスプロージョンを焼いたのが最後だ」

あの時のベーコン・エクスプロージョンか!

言われてみればチーズが爆発する様な溢れ方だったし、肉汁も凄かったなぁ。

何度か再現しようと思って作ってみた物の一向に上手く行かなかったんだが……成程、確かにこのコンロで焼いたならあのチーズや肉汁の溢れ方も納得がいく。

「ボーイがそのコンロをどう使おうと自由だ……だが自分の腕を磨くのを怠るなよ」

「……ああ」

だが話を聞いてチーズイン・ベーコン・エクスプロージョンが食いたくなってしまった……

帰ったらタープとマリアにシーバスを料理してやって、その後でコンロの説明をしながら作るか。

その後は……ベーコンの貯蔵庫にでも仕舞っておこう。
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