エルフの森をキャンプ地とする!

ウサクマ

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(野菜狂信者は)何とか肉食できんのか?

旧友の肉料理・ローズマリー添え

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「よし、まずは梅干しの種を取り除いてから叩いて、と」

ほう、梅干しを肉の味付けに使うのか。

どちらかと言えば魚向きじゃないかとは思うが美味そうではある。

「話を聞いた限りじゃお前の味覚はアメリカ寄りなんだろうが、これはあくまでも妊婦向けの肉料理だからな?」

「そういやそうだった」

って俺の味覚がアメリカ寄りなのは認めるが日本食も普通に好きだぞ。

ただし納豆、貴様だけは駄目だ。

「叩いた梅干しはアルコールを跳ばした酒で溶いて、ほんの少しだけ味噌を加えるんだ」

成程、味噌でトロミを出すのか。

「因みにこの味噌もキュアの嬢ちゃんの手作りだぜ」

「あいつ、本当に器用だな」

まあ、あの世界なら普通に味噌を売ってるし問題はないな。

いざとなればトゥール様に買い出しを頼めば済むし。

「さて、肉は赤身なら何でもいいんだが牛肉と豚肉ならどっちがいい?」

「そうだな……なら牛肉で頼む」

何故か知らんけどタープは食う量が僅かに減った程度の変化しかないんだが、マリアは豚肉より牛肉を好む様になったんだよな。

ベーコンならどっちでも沢山食うんだが……

って、牛の赤身は薄切りから脂肪や端を切り落として四角にするのか?

「薄切りにした牛肉にこの梅干しを塗って、割いたキノコかアスパラを巻いて、後はこのまま焼くだけだ……切り落とした端は勿体ないと思うならキノコと一緒に巻いてもいい」

成程、それなら無駄を出さずに料理が出来る。

だがあの世界にアスパラはないし、キノコはペスカタでしかもエリンギしか売ってないからなぁ……サーマに頼むか買いに走るしかない。

もしくはこれもトゥール様に頼むか?

「……世界広しと言えど女神をパシリにするのはお前ぐらいじゃないか?」

「元を正せば俺が日本で稼いだ金なんだから問題はないだろ」

「あ、そういう……ならいいか」




「よし、次は……鶏肉と水煮の大豆を使おう」

「こっちの世界には大豆がないんだか」

「安心しろ、これはひよこ豆やグリーンピースでも作れる」

なら大丈夫だな。

だがグリーンピースを使う気はないぞ、苦手だから。

「まあ作り方は簡単だよ、皮を炒めて出した脂で豆に火を入れつつ鶏肉と一緒にトマトソースで煮込むだけだ」

ほう、豆の仕込みさえ済ませれば手軽に作れるな。

なんなら予め大量に作って常備菜にするって手もある。

これを食った後の反応次第だが好きそうなら帰った後すぐに仕込もう。

「ついでだし豚肉も使うか……水4酒2酢1で合わせて沸騰させて、と」

豚肉は極薄切り……いわゆる豚しゃぶか。

それだけを食っても美味いしサラダの具にしてもいい、ある意味万能な奴だ。

「今回はこの豚しゃぶと水気を切った豆腐を千切って、と……ハーブを漬け込んどいた醤油をレモン果汁で割った特製のポン酢で食おう」

「そのハーブって何だ?」

「ああ、ウチの周りじゃ雑草並に生えてるセージを漬け込んだんだが肉に使うと中々美味くてな……他にもローズマリーを漬けた醤油もあるが結構イケるぞ」

どうしても欲しかったマスタードとローズマリーが、まさかこの世界で見付かるとは!

だがローズマリーと交換する為の物が何もねぇ……

「いや、雑草並にって言っただろ……引き取ってくれるなら幾らでもやるよ」

「そんなにあるのか?」

「ローズマリーの匂いは好き嫌いが別れるし、正直ウチだけじゃ消費しきれねぇんだよ……キュアの嬢ちゃんもこの匂いは苦手らしいしな」

まあ、香りが強いのは間違いないからな。

羊肉の料理に使うといい匂いに化けてくれるんだが……

「ふと気になったんだがこの世界じゃ羊肉は食わないのか?」

「羊自体は存在してるがこの世界だと寿命を迎えた家畜の肉か害獣の肉しか食えないからな、あの臭みはどう料理しても消し切れん」

……まあ、肉屋の息子であるこいつなら居れば確実に料理してるよな。

その辺こっちの世界は美味ければ何でも許されるし、あのロリババアやグリルなら話ぐらいは聞いてくれるだろ。

「次回の物々交換はこっちの世界だろうし、その時は美味いラム肉を食わせてやろう」

「マジか、ありがてぇ!」

帰ったらこのからし菜の種とローズマリーを植えとかないとなぁ。

……ローズマリーは雑草並に繁殖力が凄いらしいから鉢植えに留めておくか。

それなら適度に伐採してやれば増え過ぎる事だけはないだろ、多分。

それにローズマリーは製菓材料でもあるから余る事だけはないだろう。



「……よし、焼けたぜ」

丸めた牛肉もちゃんと中心まで火が通っているし、トマト煮も見事な出来映えだな。

こいつ、本当にこのバーベキューコンロを初めて使ったのか?

「この丸めた肉と豆腐に乗った肉が美味いやん、酸っぱいけど幾らでも食えるで」

「トマトで煮たっぽい肉と豆も美味しい、けどこの丸めた肉が一番」

ふむ、トマト煮は常備菜にしても問題なさそうだ。

しかし食ってから気付くのも変な話だが、梅干しにトマトやレモンと酸味の強い料理ばかりだな?

「体質にもよるんだろうが妊娠すると酸味の強いサッパリした味付けが好きになるらしくてな、イチゴやオレンジ等の果物を活かせば何とかなる」

酸味とサッパリ系の味付けか、成程。

「柑橘類のソースで食う肉は多分お前の得意分野だろ?」

「まあな」

何ならハチミツ味の肉だって出来るぞ。

作ったら可愛い妹が怒るからやらんけど。

とはいえ一度ジョニーさんの所でしごかれた方が良さそうだな……拳骨は痛いから嫌だが嫁の為だ。

「そういや今なら色々と聞けるんだな……他に無性に食いたい物があるなら言ってくれ」

「せやなぁ……ウチは甘い物が恋しいんやけどイチゴがおるから問題あらへんで」

成程、明日からは可愛い妹に頑張って貰おう。

キャリの豆腐にタープの甘味と苦労ばかり掛けるが……纏まった金が入ったらハチミツで払うか。

「私も、お酒は我慢するしかないけど、コメが食べたいぐらい」

米か……そういや最近はパンばかりだったなぁ。

マリアが生まれたカーニズの主食は米だし……買い出しに行くしかないな。

ついでだしマリアの両親に挨拶がてら妊娠の報告も済ませるかな。
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