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(野菜狂信者の)口を割って食わそう
恩師との再会・宿題添え
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色々あってマレスを連れながら無事に帰宅……見たら可愛い妹とヒュドラさんが稽古をしていた。
最初はほぼ一方的にやられてたのを思えば随分と腕を上げたなぁ。
「今度こそ……ってうわぁ!?」
今……可愛い妹の右拳から風が出た様に見えたのは気のせいだろうか?
その勢いで自分が後ろにふっ跳んだのは足を滑らせたから……な訳がないか。
「お見事です、想定より遅かったけど無事に魔拳を収得しましたね」
「ま、魔拳?」
あ、もしかして桃花の拳から電流とか鉄みたいに……とか言ってたのはその魔拳とやらか?
「魔拳はデュロックというオークのファイターが編み出した技で、それをキュアさんが受け継いで妻にも教えたのですよ……因みにこれで使えるのはイチゴさんを含めて6人になりました」
全員が出来る訳じゃなかったのか……思ったよりは平和な世界らしい。
ってか何で可愛い妹にそれを教えた?
「キュアさんから頼まれたから、ですね」
おい桃花……可愛い妹を嫁に貰う奴が居なくなったらどう責任を取るつもりだ?
人間離れした実力を持っていてもドン引きしないピットマスターとか、条件が更に厳しくなってしまったぞ。
「……ピットマスターに限定する必要はあるのですか?」
「最重要項目って奴です」
これに関しては例えトゥール様であろうと異論は認めん。
「あらあなた、戻ったのね……って事は」
「ああ、明日には帰ろう……準備は朝までに終わらせておくよ」
そうか……セバスさんと奥さんは桃花の居る世界での仕事もあるからな。
余り引き留める訳にもいかんか。
「因みに魔拳は1人につき3つの属性がありますからね、イチゴさんはちゃんと残り2つを身に付ける様に」
「はぁい……」
「あ、ウメオさん……夕飯はあのびーえるさんど?とやらを作ってくれません?」
「BLTサンドな、作るのは構わんが名前は正しく覚えてくれよ」
ってかBLTサンドは朝飯に食う物なんだがな……別にいいけど。
翌日、セバスさんとヒュドラさんを見送って次の予定を報告した。
土産に渡した塊のベーコンは大層喜んでたが、物々交換の件は頼みますよ?
「……という訳で次は来月、湖のある街に行く」
「あー、あのモロコシとネコウオがよー獲れる所やね……こっからなら昼食ってから歩いてもオヤツの時間までには着くで」
随分と近いな、まあ同じ領内だし納得だが。
「ほうか、そういや来月はアリゲの出る季節やったなぁ……毎年アリゲを倒しては丸焼きにしてどんちゃん騒ぎをするんがケンタン領の楽しみなんや」
丸焼きか……今後の参考になるかもしれんから俺も手伝わせて貰おう。
「ちゅーてもその祭りが始まったんはほんの18年前からやけどなぁ」
割と新しい祭りだったんだな……
「アリゲはワニの事とは聞いたけど、ネコウオって何?」
「ネコウオは湖に近い川、もしくは清んでいる沼にしか生息していない、跳ねると地震が起こると言われている珍しい魚……この世界では切り身に味噌を塗り焼いて食べられている」
地震を起こす魚……ああ、鯰の事か。
ナマズはキャットフィッシュとも呼ばれているからな……それでネコウオか。
安直だなぁとは思ったが口には出すまい。
「モロコシがあるそうだからマリアは留守番で、案内の都合でタープには同行して貰うんだが……苺心はどうする?」
「私は行くよ、ワニは美味しいしトウモロコシも食べたい」
大抵のトウモロコシは甘味があるからな……まあ想定内だ。
「ネコウオ怖い!キャリは留守番する!」
「ほうか……せやけど今回はワイも責任者として行かなアカンのやが」
「あー、じゃあ私がキャリちゃんと留守番しますね」
キャリはナマズが苦手だったか……まあ仕方ない。
日本でもナマズに限らず生きてる魚を怖がる子供は多いからな……キャリは生きてるクルエビは平気で見てたし、カニは素手で捌いていたが。
まあマレスが居れば食事の心配もないだろうし、マリアが居るなら大丈夫だろう。
「しかしワニ……アリゲはどう解体すればいいんだろうな?」
「そういえばあのレシピ本にもワニはなかったっけ……あの人が作ってた唐揚げが一番美味しいと思うけど?」
「確かに唐揚げでも美味いが、例の水の魔物である可能性がある以上コンロで焼く料理の方がいいと思ってな……それに丸焼きが定番らしいし」
「あ、話に出てたタコは違ったんだね……」
ワニも水辺で生きる生物だから条件は満たしている筈だ。
だがワニは一度も料理した事がないし、そもそも解体のやり方が解らん。
他の動物ならまだしもワニの皮は硬すぎて食えんからな。
「お兄ちゃん、鹿や熊にダチョウも捌けるのにワニは出来ないの?」
「日本じゃ捌く機会がないからな……それにあの人やダニエルさんもワニだけは教えてくれなかった」
「普通ならダチョウも機会がないと思うんだけど……」
そこはまあ、バイト先が良かったとしか言えんな。
高校生の頃は平日にコンビニ、土曜は牧場でバイトをしていて牛や豚、羊にダチョウを食肉に加工する事もあった。
牧場長はダニエルさんの元ピットメンバーというのもあって面接の必要がなかったのが有難かったな。
因みに日曜にバイトがなかったのは牧場長のピットが開かれて、それに参加していたからだ。
鹿や熊、イノシシその他諸々はダニエルさんの友人がハントした獲物を捌くのを手伝って覚えたけど。
「……今更だが普通の女の子は熊肉やワニ肉を嫌がるよな?しかも苺心は蛇まで平気で食うし」
「本当に今更だね、そりゃ最初は抵抗があったけどあんなに美味しそうに食べてたら興味も出るよ」
……あのブラック企業に就職してからご無沙汰になっちまったけど、全員元気にやってるかな?
全員が殺したって死なない様な連中ではあるが。
「おーい神父はん、湖の街の人が来たで!」
「おお、噂をすれば来月の打ち合わせかいな……今行くわ」
打ち合わせか……何かしらのヒントがあるかもしれんし、俺も行くか。
「ハァイレクタ、腰をヤっちまったと聞いたが元気そうじゃないか!」
「嘗めたらアカンで、まだ若いモンに負けへんわ」
「オゥ、そんだけ言えりゃ後300年は長生きするな」
「当然やろが、こちとら孫が出来たばかりやで」
随分な会話だなおい……って何処かで聞いた事がある様な声だな?
それに金髪青眼でいかにもなアメリカ人っぽい?
「噂には聞いていたがあの堅物お嬢ちゃんが結婚したのか……旦那はどんな奴なんだい?」
「あ、ども……って、あんたはまさか!」
「ん?どっかで見た様なツラだが……まさか!」
多少ヒゲが濃くなって頬に古傷が出来ているがあの肩に見える銃跡、首筋の爪痕……間違いない!
この人こそ俺に肉の解体や聖剣の使い方、手入れのやり方を、ついでに英語を教えてくれた……
「ダニエルさんの友人の……ジョニーさんじゃないか!?」
「ジャパンでダニエルが可愛がってたボーイ……ボーイじゃないか!?」
まさかなぁ……この世界でダニエルさんの友人と再会出来るとは思わなかったよ。
だが会えたのは純粋に嬉しい限りだ。
「ハハハ、まさかあの堅物お嬢ちゃんを落としたのがボーイだったとはな!おお、あんなに小さかったストロベリーも美人になったじゃないか!」
「ジョニーさんこそ、突然連絡が途絶えたと思ったらこの世界に来ていたとは思わなかったぞ」
「でも本当に久しぶりだなぁ」
ジョニー・デイビット……ダニエルさんの親友で、主にジビエ料理が得意なアメリカの出版社に勤めていた人だ。
鹿や熊、イノシシに蛇の解体なんかを教えてくれた恩師でもある。
ただ、俺をボーイ扱いするのはいい加減に止めて欲しい。
「まあ、元の世界に未練がないと言えば嘘になるが……心残りはたった今なくなったぜ」
「心残り?」
「……ダニエルはもちろん他のピットメンバーもボーイに教えられそうな事は全て教えてやったが、俺には3つだけ教えられなかった物があった」
え……3つもあったのか?
「1つ目は女の口説き方、2つ目は夜のピストルの扱い方だな」
「女の口説き方は興味があるけどピストルは犯罪になっちまうだろうが!」
「正直だね、お兄ちゃん」
日本じゃ無許可での銃の所持は禁止されてるし、資格を取るのは面倒くさいんだぞ。
この世界なら問題ないだろうがピストルそのものがない。
ってか然り気無く下ネタぶっ混むんじゃねぇ!
気付かない振りして流せたからいいけど!
「ま、ピストルはともかくワイフが居る今じゃ無用だろう?しかも相手が2人とはボーイも中々やるじゃないか」
知りたかったが活かせる場面がなくなったのは確かだな。
だから可愛い妹はタープやマリアと一緒に睨むのを止めてくれ。
「話を戻して最後の3つ目、それがアリゲーターの解体だ……元の世界、特にジャパンじゃなんたら条約とやらで生きたアリゲーターを捌く機会がなかったろう?」
ワニの捌き方……今の俺が最も知りたい物か。
勤めているのがブラック企業でなければアメリカまで乗り込んで習いたかったぐらいだったし、有り難く習わせて貰おう。
「おっと、基本的な事は教えてやるが俺のやり方は解ってるだろう?実践あるのみ、だぜ」
相変わらず厳しいなジョニーさん……
お陰で熊の解体を覚えられた訳だし感謝はしてるが。
「それに合格したならダニエルが最後に残した、本に載せてやれなかったレシピをくれてやる……ストロベリーも読める様にちゃんと日本語にしてあるぜ」
ダニエルさんの、レシピ本に入れられなかったレシピ……だと!
つまり野菜狂信者、ヴィーガンの連中に妨害されたせいで陽の目を見れなかったレシピって事か。
あのピットメンバーは全員がそうだったけど、ダニエルさんは特に野菜狂信者から目の敵にされていたしな。
「弾かれた分は俺の権限で何とか製本してピットメンバーに配っていたんだが、最後にボーイとストロベリーに贈ろうと思ったらこの世界に来ちまってな……」
そうか……突然連絡が途絶えたのは転移のせいだったんだな。
でも確かトゥール様に言えばすぐに戻れたよな?
ケンタンならタープが呼べるし帰ろうと思えばすぐだった筈だけど……
「まあそのお陰で最高のワイフに出会えたんだがな」
やっぱり女性絡みかよ!?
俺がジョニーさんを今一つ尊敬出来なかった唯一の理由……それが女性に目がなさ過ぎる節操なしだからだ。
しかも守備範囲が18歳から60歳までというとてつもない広さ!
「ジョニーさんの奥さんってどんな人なの?」
「いい女だよ、俺には勿体ない程のな」
まあジョニーさんの事だ、間違いなく奥さんの尻に敷かれているだろうな。
昔から【男の人生は女の尻に敷かれるぐらいで丁度いい】って言っていやがったし。
……おかしいな、昔からそうはなるまいと思っていた筈なのに今の俺はタープやマリアの尻に敷かれている様な気がするぞ?
逆転する気は一切ないからいいんだけど。
最初はほぼ一方的にやられてたのを思えば随分と腕を上げたなぁ。
「今度こそ……ってうわぁ!?」
今……可愛い妹の右拳から風が出た様に見えたのは気のせいだろうか?
その勢いで自分が後ろにふっ跳んだのは足を滑らせたから……な訳がないか。
「お見事です、想定より遅かったけど無事に魔拳を収得しましたね」
「ま、魔拳?」
あ、もしかして桃花の拳から電流とか鉄みたいに……とか言ってたのはその魔拳とやらか?
「魔拳はデュロックというオークのファイターが編み出した技で、それをキュアさんが受け継いで妻にも教えたのですよ……因みにこれで使えるのはイチゴさんを含めて6人になりました」
全員が出来る訳じゃなかったのか……思ったよりは平和な世界らしい。
ってか何で可愛い妹にそれを教えた?
「キュアさんから頼まれたから、ですね」
おい桃花……可愛い妹を嫁に貰う奴が居なくなったらどう責任を取るつもりだ?
人間離れした実力を持っていてもドン引きしないピットマスターとか、条件が更に厳しくなってしまったぞ。
「……ピットマスターに限定する必要はあるのですか?」
「最重要項目って奴です」
これに関しては例えトゥール様であろうと異論は認めん。
「あらあなた、戻ったのね……って事は」
「ああ、明日には帰ろう……準備は朝までに終わらせておくよ」
そうか……セバスさんと奥さんは桃花の居る世界での仕事もあるからな。
余り引き留める訳にもいかんか。
「因みに魔拳は1人につき3つの属性がありますからね、イチゴさんはちゃんと残り2つを身に付ける様に」
「はぁい……」
「あ、ウメオさん……夕飯はあのびーえるさんど?とやらを作ってくれません?」
「BLTサンドな、作るのは構わんが名前は正しく覚えてくれよ」
ってかBLTサンドは朝飯に食う物なんだがな……別にいいけど。
翌日、セバスさんとヒュドラさんを見送って次の予定を報告した。
土産に渡した塊のベーコンは大層喜んでたが、物々交換の件は頼みますよ?
「……という訳で次は来月、湖のある街に行く」
「あー、あのモロコシとネコウオがよー獲れる所やね……こっからなら昼食ってから歩いてもオヤツの時間までには着くで」
随分と近いな、まあ同じ領内だし納得だが。
「ほうか、そういや来月はアリゲの出る季節やったなぁ……毎年アリゲを倒しては丸焼きにしてどんちゃん騒ぎをするんがケンタン領の楽しみなんや」
丸焼きか……今後の参考になるかもしれんから俺も手伝わせて貰おう。
「ちゅーてもその祭りが始まったんはほんの18年前からやけどなぁ」
割と新しい祭りだったんだな……
「アリゲはワニの事とは聞いたけど、ネコウオって何?」
「ネコウオは湖に近い川、もしくは清んでいる沼にしか生息していない、跳ねると地震が起こると言われている珍しい魚……この世界では切り身に味噌を塗り焼いて食べられている」
地震を起こす魚……ああ、鯰の事か。
ナマズはキャットフィッシュとも呼ばれているからな……それでネコウオか。
安直だなぁとは思ったが口には出すまい。
「モロコシがあるそうだからマリアは留守番で、案内の都合でタープには同行して貰うんだが……苺心はどうする?」
「私は行くよ、ワニは美味しいしトウモロコシも食べたい」
大抵のトウモロコシは甘味があるからな……まあ想定内だ。
「ネコウオ怖い!キャリは留守番する!」
「ほうか……せやけど今回はワイも責任者として行かなアカンのやが」
「あー、じゃあ私がキャリちゃんと留守番しますね」
キャリはナマズが苦手だったか……まあ仕方ない。
日本でもナマズに限らず生きてる魚を怖がる子供は多いからな……キャリは生きてるクルエビは平気で見てたし、カニは素手で捌いていたが。
まあマレスが居れば食事の心配もないだろうし、マリアが居るなら大丈夫だろう。
「しかしワニ……アリゲはどう解体すればいいんだろうな?」
「そういえばあのレシピ本にもワニはなかったっけ……あの人が作ってた唐揚げが一番美味しいと思うけど?」
「確かに唐揚げでも美味いが、例の水の魔物である可能性がある以上コンロで焼く料理の方がいいと思ってな……それに丸焼きが定番らしいし」
「あ、話に出てたタコは違ったんだね……」
ワニも水辺で生きる生物だから条件は満たしている筈だ。
だがワニは一度も料理した事がないし、そもそも解体のやり方が解らん。
他の動物ならまだしもワニの皮は硬すぎて食えんからな。
「お兄ちゃん、鹿や熊にダチョウも捌けるのにワニは出来ないの?」
「日本じゃ捌く機会がないからな……それにあの人やダニエルさんもワニだけは教えてくれなかった」
「普通ならダチョウも機会がないと思うんだけど……」
そこはまあ、バイト先が良かったとしか言えんな。
高校生の頃は平日にコンビニ、土曜は牧場でバイトをしていて牛や豚、羊にダチョウを食肉に加工する事もあった。
牧場長はダニエルさんの元ピットメンバーというのもあって面接の必要がなかったのが有難かったな。
因みに日曜にバイトがなかったのは牧場長のピットが開かれて、それに参加していたからだ。
鹿や熊、イノシシその他諸々はダニエルさんの友人がハントした獲物を捌くのを手伝って覚えたけど。
「……今更だが普通の女の子は熊肉やワニ肉を嫌がるよな?しかも苺心は蛇まで平気で食うし」
「本当に今更だね、そりゃ最初は抵抗があったけどあんなに美味しそうに食べてたら興味も出るよ」
……あのブラック企業に就職してからご無沙汰になっちまったけど、全員元気にやってるかな?
全員が殺したって死なない様な連中ではあるが。
「おーい神父はん、湖の街の人が来たで!」
「おお、噂をすれば来月の打ち合わせかいな……今行くわ」
打ち合わせか……何かしらのヒントがあるかもしれんし、俺も行くか。
「ハァイレクタ、腰をヤっちまったと聞いたが元気そうじゃないか!」
「嘗めたらアカンで、まだ若いモンに負けへんわ」
「オゥ、そんだけ言えりゃ後300年は長生きするな」
「当然やろが、こちとら孫が出来たばかりやで」
随分な会話だなおい……って何処かで聞いた事がある様な声だな?
それに金髪青眼でいかにもなアメリカ人っぽい?
「噂には聞いていたがあの堅物お嬢ちゃんが結婚したのか……旦那はどんな奴なんだい?」
「あ、ども……って、あんたはまさか!」
「ん?どっかで見た様なツラだが……まさか!」
多少ヒゲが濃くなって頬に古傷が出来ているがあの肩に見える銃跡、首筋の爪痕……間違いない!
この人こそ俺に肉の解体や聖剣の使い方、手入れのやり方を、ついでに英語を教えてくれた……
「ダニエルさんの友人の……ジョニーさんじゃないか!?」
「ジャパンでダニエルが可愛がってたボーイ……ボーイじゃないか!?」
まさかなぁ……この世界でダニエルさんの友人と再会出来るとは思わなかったよ。
だが会えたのは純粋に嬉しい限りだ。
「ハハハ、まさかあの堅物お嬢ちゃんを落としたのがボーイだったとはな!おお、あんなに小さかったストロベリーも美人になったじゃないか!」
「ジョニーさんこそ、突然連絡が途絶えたと思ったらこの世界に来ていたとは思わなかったぞ」
「でも本当に久しぶりだなぁ」
ジョニー・デイビット……ダニエルさんの親友で、主にジビエ料理が得意なアメリカの出版社に勤めていた人だ。
鹿や熊、イノシシに蛇の解体なんかを教えてくれた恩師でもある。
ただ、俺をボーイ扱いするのはいい加減に止めて欲しい。
「まあ、元の世界に未練がないと言えば嘘になるが……心残りはたった今なくなったぜ」
「心残り?」
「……ダニエルはもちろん他のピットメンバーもボーイに教えられそうな事は全て教えてやったが、俺には3つだけ教えられなかった物があった」
え……3つもあったのか?
「1つ目は女の口説き方、2つ目は夜のピストルの扱い方だな」
「女の口説き方は興味があるけどピストルは犯罪になっちまうだろうが!」
「正直だね、お兄ちゃん」
日本じゃ無許可での銃の所持は禁止されてるし、資格を取るのは面倒くさいんだぞ。
この世界なら問題ないだろうがピストルそのものがない。
ってか然り気無く下ネタぶっ混むんじゃねぇ!
気付かない振りして流せたからいいけど!
「ま、ピストルはともかくワイフが居る今じゃ無用だろう?しかも相手が2人とはボーイも中々やるじゃないか」
知りたかったが活かせる場面がなくなったのは確かだな。
だから可愛い妹はタープやマリアと一緒に睨むのを止めてくれ。
「話を戻して最後の3つ目、それがアリゲーターの解体だ……元の世界、特にジャパンじゃなんたら条約とやらで生きたアリゲーターを捌く機会がなかったろう?」
ワニの捌き方……今の俺が最も知りたい物か。
勤めているのがブラック企業でなければアメリカまで乗り込んで習いたかったぐらいだったし、有り難く習わせて貰おう。
「おっと、基本的な事は教えてやるが俺のやり方は解ってるだろう?実践あるのみ、だぜ」
相変わらず厳しいなジョニーさん……
お陰で熊の解体を覚えられた訳だし感謝はしてるが。
「それに合格したならダニエルが最後に残した、本に載せてやれなかったレシピをくれてやる……ストロベリーも読める様にちゃんと日本語にしてあるぜ」
ダニエルさんの、レシピ本に入れられなかったレシピ……だと!
つまり野菜狂信者、ヴィーガンの連中に妨害されたせいで陽の目を見れなかったレシピって事か。
あのピットメンバーは全員がそうだったけど、ダニエルさんは特に野菜狂信者から目の敵にされていたしな。
「弾かれた分は俺の権限で何とか製本してピットメンバーに配っていたんだが、最後にボーイとストロベリーに贈ろうと思ったらこの世界に来ちまってな……」
そうか……突然連絡が途絶えたのは転移のせいだったんだな。
でも確かトゥール様に言えばすぐに戻れたよな?
ケンタンならタープが呼べるし帰ろうと思えばすぐだった筈だけど……
「まあそのお陰で最高のワイフに出会えたんだがな」
やっぱり女性絡みかよ!?
俺がジョニーさんを今一つ尊敬出来なかった唯一の理由……それが女性に目がなさ過ぎる節操なしだからだ。
しかも守備範囲が18歳から60歳までというとてつもない広さ!
「ジョニーさんの奥さんってどんな人なの?」
「いい女だよ、俺には勿体ない程のな」
まあジョニーさんの事だ、間違いなく奥さんの尻に敷かれているだろうな。
昔から【男の人生は女の尻に敷かれるぐらいで丁度いい】って言っていやがったし。
……おかしいな、昔からそうはなるまいと思っていた筈なのに今の俺はタープやマリアの尻に敷かれている様な気がするぞ?
逆転する気は一切ないからいいんだけど。
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