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(野菜狂信者の)口を割って食わそう

ハニーベーコン・チーズインハンバーグ添え

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「それじゃベーコン600の買取で265000バランね」

「毎度あり」

前回の倍なら26万バランじゃないかと思ったが、手数料は一律5千でいいらしい……いわゆる友人割引って奴だろうな。

これでまたベーコンを作りまくる日々が始まるが、今回の売り上げでもうすぐ完成する予定の新居に置く家具を揃えられるだろう。

そういえばサーマと一緒にマレスも来ていたが……

「はぁぁ……キャリちゃんが可愛い、お人形みたい」

「んー、マレスお姉ちゃん、スリスリくすぐったい!」

……マレスよ、まさかお前はロリコンだった、なんて事はないよな?

可愛い妹の友達にして俺の一番弟子?だから無下にはしないが、限度という物はあるんだぞ?

「すまないねぇ、マレスは昔から可愛い物に目がないのさ」

「成程な……確かにキャリは可愛いから仕方ない」

まあ度が過ぎたら引き剥がすが、まだ大丈夫だろ。

キャリも本気で嫌がってる訳ではなさそうだし。

「そうだ、どうせなら昼飯も食って行くか?この辺りじゃ魚は居ないから肉になるが」

「そいつは有難いねぇ、お言葉に甘えさせて貰うよ」

「ハッ!師匠の料理を食べられる!?」

おっと、マレスも食い付いて来たか……

さて何を作るかな?

「パパー、キャリはハチミツをいっぱいかけたベーコンが食べたい!」

「あー、あのベーコンエッグか……だがこの辺りの卵は高いからな」

あれを作るのに最低でも卵を1ダース……12個も使うからな。

畜産が盛んなカーニズ領で作るより倍以上の費用が掛かってしまう。

そんな事したらマリアに何を言われるか解った物じゃない……現に今も俺の背後から睨んでいるぐらいだ。

「お兄ちゃん、チーズが固くなってきたからそろそろ使い切らないと」

マジか……まあシェラフに呼ばれて売り物のサツマイモを優先していたからチーズを置いて行ったし、仕方ない。

夕飯にはまたチーズたっぷりのピザでも……

「あ、アレならキャリも満足するな……よし昼飯は決まった」




さて、毎度お馴染み片側寄せの間接焼きに炭火を起こして……と。

今回はマレスが助手を買って出てくれたので遠慮なく頼らせて貰おう。

用意するのはウシの挽肉とウシのベーコン、チーズにハチミツだ。

今回作る料理は可愛い妹が嫌がる物だが、キャリが食べたがっているから許してくれよ。

挽肉は塩コショウ、ガーリックパウダー、ジンジャーパウダー、みじん切りのタマネギを加えておいて……

「マレス、この挽肉に粘りが出るまで捏ねてくれ」

「はい!」

その間にベーコンを炙って脂を落として、ある程度焼けたらハチミツを塗っておく。

チーズは手頃な大きさにカットしておこう。

やはりこの切れ味は凄いな、固くなってきたチーズが豆腐の様に切れてしまった。

一度だけマリアと可愛い妹にも試して貰ったが、あの輝きが消えて普通の切れ味になっていたと言っていた。

どういう理屈なのかは解らんが聖剣ブッチャーナイフ聖剣エクスカリバーとなるには俺が使わねばならない……らしい。

キャリはまだ子供だし、タープは料理が出来ない上に刃物を握らせたら自分の手を切りそうで怖いから試していない。

おっと、いい具合の粘りが出た様だな。

チーズを捏ねた挽肉で包み俵型に形成して、炙ってハチミツを塗ったベーコンで巻いて、と。

後は火がない方に並べて蓋をして、時々ハチミツと醤油を塗りつつ焼けるのを待つだけだ。

焼けるまでに仕上げのソースも作っておかねばならん。

フライパンにミルクを入れて、削ったチーズをたっぷり入れて溶かして……

塩コショウとガーリックパウダー、ハチミツで味付けしつつ焦げない様に混ぜ続ける。

肉が焼けたら皿に盛って、このソースを上にたっぷり掛ければ出来上がりだ。

通常なら熱した鉄皿に盛り付ける所だが普通の皿でいい。

俺の金属加工で作れなくはないだろうが、そこまでして欲しい物でもないしな。

そもそもバーベキューなら冷める前に食えるし、何なら温め直すのも可能だ……何よりキャリが鉄皿にぶつかって火傷してしまうかもしれん。

付け合わせはファミレスなんかでよく出してるジャガイモをスライスして、チーズを混ぜたホワイトソースを掛けて蒸し焼きした物にする。

……肉とチーズばかりじゃ可愛い妹が文句を言うだろうからトマトサラダも作っておくか。




「はぁぁ……チーズを埋めてベーコン巻いたハンバーグが美味いわぁ」

「ハチミツ味のハンバーグ、アリかもしれない」

そういやマリアはハンバーグが好きだったな……

「タマゴがないけど美味ひい!」

「ほれキャリ、口の周りがベタベタだぞ」

ここにマナーを強要するクソ野郎が居たら大変な目に合ってしまうぞ。

俺は別に気にしないし、タープとマリアは成人するまでに覚えればいいってスタンスで……可愛い妹は自然に覚えるから大丈夫と言っているけどな。

「キャリ、その料理をもっと美味しく食べる方法……知りたくないかい?」

「知りたい!」

サーマ、一体何をする気だ?

何やらヒソヒソと話をしているが……

って、キャリがハンバーグを小さく切って少しずつ食べてる!

しかも合間にパンを食べてる……いつもなら肉を食い尽くした後じゃないと食べないのに!?

「ああいう食いしん坊には美味しい食べ方で釣るのが一番だよ、マレスもそうやってマナーを覚えたから有効性はバッチリさ」

「ふぇっ!?」

成程、そうやって教えればいいのか……これは是非とも参考にさせて貰おう。

やはり園児に対して教鞭で叩きながら教えるのは間違っているんだな。

一生怨むぞクソ両親め……まあ二度と会う事はないが。

「お兄ちゃんも、ダニエルさんに会わなきゃそんな感じになっていたんじゃないかな?」

「……全く否定出来ないのが悲しいな」

あの頃の俺にとって食事は苦しい物だったが……ダニエルさんのお陰で救われた。

可愛い妹が産まれた頃にはすっかりバーベキューの魅力に夢中で、マナーなんざクソ食らえと開き直っていた気がする。

流石に中学に入った辺りから周りの目を気にする様になったが。

因みに可愛い妹はダニエルさんの友人達から簡単に実践出来るマナーを習っていた。

確かあの時に悩みをぶちまけながら食わせて貰ったのは……久しぶりに食いたくなってきたな。

「サーマとマレスはこのまま戻るんか?」

「いや、一晩休んでからにするよ……私一人ならともかく、マレスもイチゴと話したい事があるだろうしね」

つまり夕飯も作る必要がある、と。

マレスは取引中ずっと可愛い妹やキャリと遊んでいたが……まあいいか。

「……マリア、夕飯用にニワのモモ肉を骨付きで人数分頼む」

「解った」

あ、そういや水の魔物についても聞いておかんとな……

それに全くヒントがない異界の祭壇についても調べないと……やる事が多過ぎる。
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