エルフの森をキャンプ地とする!

ウサクマ

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どーも野菜狂信者さん、知ってるでしょ?ピットマスターでございます

新しいコンロ・巨大エビフライ添え

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マリアとの夜の営みは酒のせいでよく覚えていない……ちょっと飲み過ぎたか。

というか飲んだ後で激しく動くのはいかんな、うん。

何があったかは……まあアレだ、想像にお任せする。

それでもやる事はしっかりやったけどな。




さて、タープと一緒に鉄板を回収していくか。

一軒ずつ回って行ったらいつ終わるか解らんので、【使わなくなったたこ焼き鉄板買います、値段要相談】って看板を立ててみた。

文字はタープに書いて貰ったが。

いや、俺も苺心も覚えるつもりはあるが中々難しくてな……うん。

幸い言葉は通じているからそんなに困ってはいないけど。

話を戻して、俺の手持ち10200バランにタープの手持ち800バランでどれだけ買えるやら。

「おい兄ちゃん達、本当にこんなボロい鉄板を買ってくれるのか?」

「あ、ああ……」

早くも現れたよ……

「ふむ、確かに魔鉄製やな……」

「最初こそある程度の客が来たが段々来なくなってな……気が付いたら10000バランの借金だ」

俺の所持金とほぼ同じ借金……日本だと100万か、そりゃキツい。

たこ焼きは1船1バランだったから数が捌けなきゃ儲からないだろうし。

「幸い仕事はすぐ見つかって大分返せたが、それでもまだ1000バラン残っていてな……それで同じ金額で買ったこいつを売ろうと思ったんだが誰も買ってくれなくて、500でいいから買ってくれるか?」

タープを見ると頷いているな……嘘はついてないらしい。

新品は1000バラン……たこ焼き1000船分なのか、覚えておこう。

マリアがこうした方が安上がりと言った理由が解ったよ。

「解った、500で買い取る」

「おお、ありがとう!」

この大きさの鉄板をコンロと専用の網にするなら……大体12枚、同じ金額で買い取るとしたら6000バランって所か。

先に取り分を受け取っておいて良かった。

「お、本当に買い取りしてやがる」

「良かった、これで借金を返せる!」

「実家に帰ったカミさんを迎えに行ける!」

「俺、鉄板が売れたらイチゴちゃんにプロポーズするんだ」

次々と来るな……どんだけ金に困ってるんだ?

売りに出す理由の大半が借金だが……たこ焼きは美味いのにそんな売れないんだろうか?

タープが苦手だからまだ食ってないし何とも言えんけど。

って最後の奴、この前からよく見るがたこ焼き屋だったのかよ!

……まあ告白は自由だからな、止めはしないから盛大に玉砕するがいい。




思ったよりも早く必要な分が集まったな……もう夕方になってしまったが。

宿に戻った所で早速コンロに金属加工して、と。

普段から使い続けている、もはや俺の身体の一部と言っても過言ではない蓋付きのバーベキューコンロと網……図面ならバッチリだ。

後は組み立てて、よし。

「これでもう使えるんか?」

「ああ、一応晩飯の時に使い勝手は試すが問題なく使える筈だ」

さて、何を作るかね……

ベーコンは使うとして他はどうするか。

「タープ、ベーコン以外で何か食いたい物はあるか?」

「唐突やね……あ、それならこの街でよー採れるっちゅークルエビを食いたいわぁ」

クルエビ……車エビか?

バナメイとかブラックタイガーとかの可能性もあるが、まあ似た様な物だろ。

とりあえず市場を見に行くか。

「食材の仕入れをしてくるから留守番を頼む」

「りょーかいや!」




よし、魔鉄製のコンロに火を入れて……今回は焼きと一緒に揚げ物と味噌汁も作る。

お、あっという間に火が広がったな……魔鉄に付着してた油にでも引火したのか?

「多分やけどそれ、魔鉄が鉄板に使われとる理由と一緒やね……よー知らんけど熱が全体に、かつ均一に広がり易いとか聞いた事あるわ」

成程……話を聞いた時は何て勿体ない事をするんだ、とか思ったがそれなりに理由があったんだな。

だからってたこ焼き専用にするのはどうかと思うが。

おっと、ツッコミを入れる前に料理をしなくてはならんな。

用意するのは1尾で1バランの、まだ生きている鮮度抜群のクルエビ……名前的に車エビかと思ったがこれ、伊勢海老だわ。

イセエビが1尾で100円とか、日本だったら開店と同時に主婦達による争奪戦ラグナロクが発生してしまうわ!

という訳でこのクルエビを、誰もが憧れたであろう巨大エビフライにしようと思う。

しかも1人1尾でだ……他にも半分に割って焼いた塩焼きも作る。

日本だったら高過ぎて絶対に出来ない贅沢だな、この世界に来れて良かった。

出来れば刺身も食いたかったがクルエビは6尾しかなかったし、俺じゃ綺麗に捌けないからな……フライなら多少は誤魔化せるし塩焼きは半分に割るだけだから問題ないんだが。

まあいい、早速作るか。

ここまで大きいエビの殻は凄く硬いがこの聖剣ブッチャーナイフなら簡単に割れる、そしたら断面に塩を振って焼くだけだ。

エビフライは……まず頭を引っこ抜いて、刃を足に逸ってなぞらせる様にすれば簡単に剥けると聞いたんだが、かなり力がいるなこれ。

何かメキメキバキバキって音がしながらようやく剥けた……この頭と殻は味噌汁の出汁にするから鍋でじっくり煮込んでおく。

次にエビの身をよく洗って、水気を切っておいてっと。

小麦粉、溶き卵、パン粉の順にまぶしたら高温の油で一気に揚げる。

大きいから時間は掛かるが、揚がる頃には塩焼きも出来上がる筈だ。

後は出汁殻を取り出して、味噌で味付けして、盛り付けた後にタマネギのみじん切りを散らせばいい。

エビの旨味が濃いから味噌汁はこれで充分だろう。

豆腐かジャガイモがあれば解決するんだが今はどっちもないからな……仕方ない。

「ただいまー」

「イチゴの作ったタルトとパイは完売した」

お、帰って来たな……

フライも丁度よく揚がったし、早速食うか。




「こんな大きいフライとか私を太らせたいのかと思ったけど……エビがすっごく甘くて美味しい!」

「塩焼きも美味しい、これはコメ酒が欲しくなる」

「具がない味噌汁って侮っとった……メッチャ美味いやんこれ!」

やはりエビはデカい方が甘味が強くて美味いな。

このままでもいいがソースを浸けると更に美味い。

「なぁウメオ、このエビフライっちゅーのまだあるんか?」

「残念ながら6尾しか売っていなかった……よってお代わりはない」

「……残念」

本当に何でこんなデカくて美味いエビが1バランなんだろうな……個人的には有難いんだが。

後日サーマにでも聞いてみるか。

焼いたのも美味いし味噌汁もいい味だ、この街に居る間に後1回は必ず食っておこう。

ここまで甘味と旨味が強いと毎日食ってたら確実に飽きるからな……最終日かその手前ぐらいでいいか。

「ほれ、ベーコンのステーキもあるからこれ食っとけ」

「よっしゃ!」

「クルエビも美味しいけど、毎日食べるならやはりベーコンがいい」

毎日食う気かよ……そりゃ実際に食ってるしマリアが居れば毎日でも作れるけど。

「あ、お兄ちゃんパンの追加お願い……焼いた後にソース塗って」

「はいよ」

苺心の奴……ソース塗ったパンにエビフライ挟んで食ってやがる。

大きさ的にちょっと食い辛そうだが実に美味そうだな、最終日の夕飯はそれにしよう。




余談だがタープとの夜の営みは……6回戦までやらされた所で俺がバテて寝落ちした。

朝になってマリアに診て貰ったが特に異常はないそうで安心した……

「幾ら何でも6連続はやり過ぎ、ウメオも無理なら断った方がいい」

はい、仰る通りです……反省するよ。

「ホンマ、ごめんな……」

「今夜は休んで明日は私と……5回戦までなら行けるらしいから、それで」

俺にはそれを断るという選択肢が出なかったよ……

結局朝飯を作る余裕もないぐらい疲れていた俺は昼過ぎまで寝てた。

そして夕飯は可愛い妹のリクエストで再びエビフライを大量に作らされた……疲れた。
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