エルフの森をキャンプ地とする!

ウサクマ

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どーも野菜狂信者さん、知ってるでしょ?ピットマスターでございます

揚げたて惣菜パン・たっぷり和辛子添え

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女神様や可愛い妹から気になる事を言われたが今は置いておこう……と決めた翌朝、起きたらタープとマリアが横に居た。

え、どうなってんの?

というか身動き取れないんだけど、まさかこれは夢?

「んっ……スゥ」

「ンン……スゥ」

ああああ2人の寝息が胸元に掛かって何かいい匂いで脇腹に柔らかい感触と温もりがぁーっ!

これ間違いなく現実じゃねーか!?

ってか2人共はよ起きろ!

朝飯が作れないだろうがぁ!?




ふぅ……危うく朝飯がいつぞやのストロベリーパイみたいなグリーンピースパイになる所だった。

俺はグリーンピースと納豆だけは食えないから阻止できて良かった。

まあ、あれはグリーンピースが好きでもキツいと思うけどな……重量的な意味で。

起こす際にタープとマリアの、肩バラと外バラの中間……普通なら膨らんでいてしかるべき部位を触ってしまったがこれは不可抗力だ、うん。

大変素晴らしい、鼻血が出そうな感触でした。

「さて、メンチカツでも作るか」

コンロに火を入れたらいつぞやの小麦粉酵母で作ったパン生地を薄く伸ばして焼いておいて、と。

昨夜作ったハンバーグの種に小麦粉、溶き卵、パン粉を纏わせて熱したラード、つまり豚の脂肪でカラッと揚げる。

メンチカツはラードで揚げなきゃ美味くならんからな……俺が尊敬するピットマスター(故人)も肉は肉の脂で火を通せと言っている。

そして揚げた端からソースに浸して、焼きたてのパンで粒マスタードとレタスを一緒に半分に折る様に挟んでやればメンチカツパンだ。

このパンはヨーグルトを使わないナンの様なパンを想像してくれればそれで合っている。

本当ならレタスではなくキャベツの千切りがいいんだがまだ植えたばっかりだからな。

因みに粒マスタードの代わりにマヨネーズを挟んでも美味いし、何なら両方使ったっていい。

そういやマヨネーズも残り少なくなってたんだったな……女神様に貰った変換って技能も試してみたが、何故かマヨネーズだけは上手くいかなかった。

やはり日本の酢や卵とこの世界の酢と卵じゃ何かが違うのだろうか……それにこの世界の卵は1個で12バラン、約1200円と値段が高いからなぁ。

まあ今回は粒マスタードだけでいいか。

おっと、どうせタープとマリアも食うからベーコンを焼いておかないといかん。

薄切りのベーコンを炙った物と、厚切りのベーコンをじっくりと焼いた物をレタスの代わりにメンチカツと一緒に挟んでやればあいつ等も満足するだろ……

炙ったベーコンとレタスを一緒に挟むとパンと中身がズレちまうからな、食い辛い事この上ない。

栄養バランス?野菜が足りない?知らんな、そんな物。

メンチカツの中にはタマネギが入っているしパンも麦から作る、しかも牛肉は草を食って育つんだから充分だろ。

「「じー……」」

背後から……だと!

揚げ物をしている最中に抱き付かれなかったのは良かった……やられたら最悪大火傷を負ってしまうからな。

「あー……まだ揚げたての焼きたてだから熱いが、食うか?」

「「食べる!」」

食いたいのは解ってるから耳元で叫ぶな。

それとタープは俺の手ごと食おうとするな!



とりあえず炊き出し代わりのメンチカツサンドを配り終わって、可愛い妹にはレタス、タマネギ、トマトなんかを挟んだ野菜サンドを出したからいいとして……

「このジュワッと汁が溢れる肉が美味いなぁ」

「ソースの味がこの肉にピッタリだ」

「レタの葉が邪魔だが肉は美味いな」

「一緒に挟んである粒々もピリッと酸っぱくていいな」

「イチゴちゃんに踏まれたい」

反応も上々だな。

やはり揚げ物の中でもメンチカツは人気が高い……しかもソース味ならば美味いに決まっている。

レタスが邪魔だという意見は同意するがキャベツがないから仕方ない。

次はキャベツの収穫が出来た時にカツサンドでも出してやるかな。

って最後の奴……この前も可愛い妹の下僕になりたいとか言ってなかったか?

というか何でここに居る!?



全員に配ったからそろそろ俺自身の昼飯を作るか……

では大量のラードを改めて熱しておいて、と。

1掴みのパン生地をミカンぐらいの大きさに丸めて薄く伸ばして、ソースに浸けたメンチカツを2つ乗せて、潰さない様に注意しつつしっかりと包む。

このまま全体に溶き卵を塗って、パン粉をまぶしたらカラッと揚げてやろう。

……同じ物をもう2つ用意しておくか、見たら絶対に食うだろうし。

「一度はやってみたかった手作り惣菜パンの、自家製メンチカツパン……遂に実現する時が来た」

市販のと違ってソースを増やしたり、逆に減らせるのもいいし……何よりメンチカツそのものも増やせる。

市販のを2つ重ねて食っても総量と厚さは変わらないが、2つを重ねるのと1つを分厚くするのは大きく違う。

何より市販のメンチカツパンは中のメンチカツまでショートニング……植物由来の油で揚げてるから肉の風味が死んでいるし、酷い物は挽肉よりタマネギやパン粉の方が多い場合もあるからな。

まあ分厚い分だけ揚げるのに時間が掛かるし、カロリーも凄まじい事になるが作るのも食うのも俺自身だ、文句はあるまい。

自分の好きな様に作って食えるのがピットマスターの特権という奴だ。

それにこれは日本で、しかも家でやろう物ならガス代がとんでもない事になるからな……バーベキューでなきゃやろうとは思えん。

全体が狐色になったら引き上げて油を切って、少し冷めるのを待てば完成だ。

あの2人ならどうせ直ぐに来るだろうし、残り2つも揚げておこう。



「ん、表面はサクッと、中はふんわり、メンチカツもジューシーに出来たな……ソースも丁度いい感じだしラードで揚げたのも正解だった」

おっと、忘れる所だった。

俺はソースたっぷりの揚げたてメンチカツやホカホカの豚まんに和辛子を塗って食うのが好きなんだ。

当然このメンチカツパンにも付けて、と……やはり和辛子があった方が美味いな。

この鼻の奥にツーンと来る刺激が肉の脂を流してくれて幾らでも食える。

「ウメオ、何や美味そうなん食っとるなぁ?」

「ウメオ、私も食べる」

やはり来たか……こいつ等はさっきメンチカツサンドを他の奴の3倍は食った筈なんだがなぁ。

しかもレタスなしでベーコン入りの奴を。

何にせよ同じ物を作っておいて良かったよ。

「そこに揚げたてのがあるからそれを食え、これは俺の昼飯だ」

「解った、それとその黄色い調味料も気になる」

「やけにたっぷり付けとるけど、それ付けたら美味いんか?ウチも付けてええか?」

この和辛子は好き嫌いが分かれるんだが……まあいいか。

ってチューブを受け取った途端に俺と同じ様に塗って食ったな……

食い意地の張った2人だし、粒マスタードも平気だったが……まあ大丈夫だろ。




この時、2人は和辛子の刺激が苦手だと判明した。

口にした瞬間の、女性である事を捨てかねない奇声は本人達の名誉の為に割愛する。

そういやさっきのメンチカツサンドに使った粒マスタードは刺激より酸味の方が強いタイプだったな……うっかりしてた。

「鼻が!鼻がぁ!」

「鼻が痺れる、むしろ痛い!涙が止まらない!」

それは叫びながら転がったって治まらんぞ……っておい、2人のスカートの中が見えているぞ!

タープの薄紫色の布や、マリアの薄いベージュ色の布が見えたりしているんですが見ちゃっていいのかな?

こういう時にどう声を掛ければいいのかが解らん……それに目を離す事が出来ん!

悲しきはDTである自分……か。

それでも1カケラすら残さず食ったのは凄いんだが……次からは2人の分に辛子を使うのは止めておいてやろう。

言われずとも自分から避けるとは思うが。

まあ、後で聞かれてもスカートの中については気付かなかったフリをするのが優しさという奴か。

いい目の保養にもなったし、それぐらいしてやらなければバチが当たる。

あの女神様ならバチより飛び蹴りかグーパンが来そうではあるけどな。

「み、水!水や!」

「タープ、私にも水!」

ふぅ……しっかりと目に焼き付けた所で、お詫び代わりに厚切りのベーコンをオヤツとして食わせてやるか。
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