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菜食主義者と炭酸水
ムリアに到着しました
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アプさんの本気を拝ませて貰って3日……
あたしの背中とアプさんの腕も完治したので、残念様におにぎりを差し入れして次の目的地へ向かいます。
あ、ちゃんと出立前にトゥグア様達にも玉子焼きをお供えしましたよ……タコはムーでなければ釣れないし、次は少なくとも来年まで行かないですから。
次はボリアに並ぶ都市のムリア……ムーから4日程の距離で確かアーチさんが向かった所でしたね。
以前デストさんがラビオリに似てる料理があると言っていましたし、行ける時が楽しみだったんですよ。
そういえば以前遭遇したタクァもムリアで氷屋をしてるとか言ってましたっけ。
「ムリアって他に何があるんだ?」
「えっと……図書館の他は、農業に力を入れてて……豆汁の生産とか……してるね」
豆汁……ロウとアトラさんにデストさんも好んで飲んでるコーヒーみたいなアレですね。
確か木の実の種を焙煎して挽いた物をお湯に溶かして飲む……うん、完全にコーヒーです。
「そういやムリアにはデストが拠点にしてる空き家があった筈だねぇ……」
ほほう、そこが使えれば宿代が浮きますね。
ってボリアに並ぶ都市なら土地代も馬鹿にならない額でしょうに……どんだけ稼いだのでしょうか?
何にせよ無断で使う訳にもいきませんし……ちょっと確認しましょう。
デストさんは返事を返せないから姉さんを経由させて頂きます。
【デストサンニムリアノキョテンヲツカッテイイカキイテクダサイ】……っと。
ってもう返事が……
【ワタシトデストモムリアニムカッテイマス、ゲンチデアイマショウ】?
「……今デストさんと姉さんもムリアに向かっているとテレパスが」
「そういやミラさんから聞いた事があるな……確かムリアはジェネさんが元居た神殿がある町だとか」
つまりムリアで崇めているのはトゥグア様と……よし、何時も以上に気合いを入れて視察しましょう。
後は……特にやりたい事もないしラビオリみたいな物とやらを食べて屋台で稼ぎます。
何せンガイからずっと屋台が出せませんでしたからね……セラエは宿の厨房に篭ってたしムーもほぼ釣りと干物作りばかりでしたし。
干物は商品でもあるのでやむを得なかったのですが。
指輪に使う銀の代金とドレスを仕立てる代金、更に4人で式を挙げる為の必要な資金の合計がおよそ7万ハウト……そして手持ちは10500ハウト。
後5年で59500ハウト……長い道のりですね。
スルメと干しダコが売れてくれれば良いのですが、その辺りはアプさんに任せるしかありません。
スルメはドワーフの方々には売れた様ですけど。
「母さん……翡翠さんも……売り物、食べながら歩くの……止めよ?」
「このスルメってのが美味くてねぇ……つい」
「これ食べてると無性にお酒が欲しくなっちゃうんだけど……止められないんだよねぇ」
まあスルメはお酒のオツマミとして優秀だそうですし……
因みにあたしのポケットの中でサーグァ様(分体)もスルメを囓っております。
普通なら食べカスを警戒する所ですがサーグァ様ですからね……出る筈がありません。
「ナクアも、干しダコ噛みながら歩くのは止めような?」
「むー……じゃあおんぶ!」
「はいはい」
……大丈夫なんですかね?
いや別に食べるなとは言いませんけど売る分は残して下さいよ。
そんなこんなで到着……道中は何も起こらなかったので割愛します。
やたらと日差しが強くて、アチコチからコーヒーの香りが充満していますね。
それにチラホラと見える屋台で売られている野菜が安い。
おっと、野菜も見て廻りたい所ですがまずは……
【トウチャクシマシタ】っと。
後は合流するのを待つだけですが……先に神殿の視察を済ませてしまいましょう。
今回はロウとナクアちゃん、コカちゃんも同行します。
そういえば炎の神殿に入るのはボリア以来ですね……
「あ、キュアちゃん……久しぶりね」
おや、姉さんも神殿にいらしたのですね。
「いらした、というか……ここが私の実家なの」
まさかの実家……姉さんって実はお嬢様だった?
となると以前ミラさんに聞いた老害を追い出そうとしていたという話は……実家を救う為だったのですね。
まあ動機としては充分過ぎる理由ではありますけど。
「って姉さんは中に入らないのですか?」
「今はデストとパパが話をしてるから……」
ああ、お話(物理)ですね、解ります。
いわゆる【娘を下さい】的なイベント……あたしは既に済ませた様な物ですが、ロウは母親(?)のクティの部下であるザトーとの一騎討ちが残っています。
話の通りなら後15日……
戦う前に立ち寄れるのはこの町が最後になりますね。
「やっと終わった……って嬢ちゃん達も着いたか」
「お疲れ様です、今しがた到着したばかりですよ」
「デスト、怪我はない?」
「ないぞ……ポーカーやってただけだし」
神官がギャンブルって……しかも賭けるのが自分の娘!
え、これ粛清対象になっちゃいます?
「嬢ちゃん、ギャンブルってのは人生を狂わせる程の大金を賭けた時に初めてギャンブルになるんだ……つまり金が絡まないならただのゲーム、今回の場合は真剣勝負、解るな?」
……そういう事にしておきます。
とはいえお金を賭けないならただのゲームという意見には同意しますが、娘の結婚を賭けたら立派なギャンブルでは?
「ボク達のお昼、2食……それで、手を打つよ」
「厳しいなお嬢……まあいいか」
とりあえず視察はしましたが特に問題はなさそうで安心しました。
一応「賭け事は程々に」と釘を刺しておきましたけど。
「因みにこの町にはツァトゥ様の神殿もあるぞ、飯の後で良ければ案内するぜ」
……何でデストさんは土地代が高いであろうムリアを拠点にしたのかが謎でしたが、そういう事でしたか。
となればそっちの視察もしなくてはなりませんね。
残念様にも一応お世話になりましたし。
「キュアお姉ちゃん、ナクアもお腹空いたー!」
……先にあたし達も昼食を済ませておきましょう。
流石に今から作るんじゃ視察が出来ないのでデストさんのオススメの店まで案内して貰いました。
たまには外食でもいいですよね。
お客さんが少ないのがちょっと引っ掛かりますが。
「お、良かった……まだ潰れてなかったな」
「ん?何だスミスの兄ちゃんか……まだ生きてたのか?」
「……相変わらず口の減らねぇ爺さんだな、いい加減あの世で奥さんが手招きしてんじゃないか?」
「へっ、つい最近バアさんに雲の上から蹴り出されたばかりよ……まだ死ぬのは早い、ってなぁ」
なんて会話をしているんですか……
とはいえ憎まれ口なのにお互い笑顔だし、仲は良いみたいですね。
「そういや兄ちゃん、この前アーチの奴から聞いたがようやく嫁を捕まえたそうじゃないか、しかも3人も……まあおめでとうと言ってやる」
「何やってんだアーチの兄貴……まあ、ありがとよ」
料理を運ぶ時にまで憎まれ口……
ってまだ注文してないんですが?
「この店のメニューはこいつと豆汁、酒しかないからな……」
成程……いわゆる拘りのメニューという奴ですね。
そういうお店の料理は威張り散らしてる割に大して美味しくないか、態度が気にならなくなる程に美味しいかのどちらかですが……
まあ、デストさんのオススメなら間違いなく後者でしょう。
それで出てきたのは……ワンタンをホワイトソースで煮込んだ様な見た目ですが?
「まあ食ってみな、爺さんの性格は悪いが料理の味はいいぞ」
「一言余計だ」
むむ、確かにこれは美味しいですね。
皮は讃岐うどんみたいにしこしこしていて、中には色んな野菜のペーストと、それからこれは……
「これにはビフーの骨髄が入ってるんだよ」
骨髄……旨味の塊ではないですか!
骨のスープの美味しさも骨髄の旨味ですからね……そりゃ美味しい訳です。
ソースもほぼホワイトソースですがチーズを溶かし入れている様で……このままオーブンで焼けばグラタンになりますね。
見た目はワンタンなのですが味や食感はパスタに近い……確かにこれはラビオリに似た料理です。
「これ美味しー!」
ナクアちゃんにロウとコカちゃんも気に入った様ですね。
「こんなに美味しいのに……何でお客さんが少ないのでしょうか?」
「まあ爺さんの性格がアレだし、この町に住んでるのはほぼ草食主義者だからな……それに爺さんの性格がアレだし」
「何で2回も言った?」
「大事な事だからだ」
お爺さんの性格はともかく、草食主義者だらけというのは先に聞けて良かったですね……
何も知らずにいつも通りのラーメンを出してたら大赤字になる所でした。
「一応言っとくと野菜狂信者と違って丸っきり食わない訳じゃないんだけどな……さもなきゃこの店はとっくに潰れてる」
「やかましい」
成程、今までヴィーガンとベジタリアンを一緒くたにしてましたが考えを改めなければいけませんね。
とはいえ屋台を出さない訳には行かないですし……どうしましょうか?
とりあえず先に視察を済ませてから考えましょう。
あたしの背中とアプさんの腕も完治したので、残念様におにぎりを差し入れして次の目的地へ向かいます。
あ、ちゃんと出立前にトゥグア様達にも玉子焼きをお供えしましたよ……タコはムーでなければ釣れないし、次は少なくとも来年まで行かないですから。
次はボリアに並ぶ都市のムリア……ムーから4日程の距離で確かアーチさんが向かった所でしたね。
以前デストさんがラビオリに似てる料理があると言っていましたし、行ける時が楽しみだったんですよ。
そういえば以前遭遇したタクァもムリアで氷屋をしてるとか言ってましたっけ。
「ムリアって他に何があるんだ?」
「えっと……図書館の他は、農業に力を入れてて……豆汁の生産とか……してるね」
豆汁……ロウとアトラさんにデストさんも好んで飲んでるコーヒーみたいなアレですね。
確か木の実の種を焙煎して挽いた物をお湯に溶かして飲む……うん、完全にコーヒーです。
「そういやムリアにはデストが拠点にしてる空き家があった筈だねぇ……」
ほほう、そこが使えれば宿代が浮きますね。
ってボリアに並ぶ都市なら土地代も馬鹿にならない額でしょうに……どんだけ稼いだのでしょうか?
何にせよ無断で使う訳にもいきませんし……ちょっと確認しましょう。
デストさんは返事を返せないから姉さんを経由させて頂きます。
【デストサンニムリアノキョテンヲツカッテイイカキイテクダサイ】……っと。
ってもう返事が……
【ワタシトデストモムリアニムカッテイマス、ゲンチデアイマショウ】?
「……今デストさんと姉さんもムリアに向かっているとテレパスが」
「そういやミラさんから聞いた事があるな……確かムリアはジェネさんが元居た神殿がある町だとか」
つまりムリアで崇めているのはトゥグア様と……よし、何時も以上に気合いを入れて視察しましょう。
後は……特にやりたい事もないしラビオリみたいな物とやらを食べて屋台で稼ぎます。
何せンガイからずっと屋台が出せませんでしたからね……セラエは宿の厨房に篭ってたしムーもほぼ釣りと干物作りばかりでしたし。
干物は商品でもあるのでやむを得なかったのですが。
指輪に使う銀の代金とドレスを仕立てる代金、更に4人で式を挙げる為の必要な資金の合計がおよそ7万ハウト……そして手持ちは10500ハウト。
後5年で59500ハウト……長い道のりですね。
スルメと干しダコが売れてくれれば良いのですが、その辺りはアプさんに任せるしかありません。
スルメはドワーフの方々には売れた様ですけど。
「母さん……翡翠さんも……売り物、食べながら歩くの……止めよ?」
「このスルメってのが美味くてねぇ……つい」
「これ食べてると無性にお酒が欲しくなっちゃうんだけど……止められないんだよねぇ」
まあスルメはお酒のオツマミとして優秀だそうですし……
因みにあたしのポケットの中でサーグァ様(分体)もスルメを囓っております。
普通なら食べカスを警戒する所ですがサーグァ様ですからね……出る筈がありません。
「ナクアも、干しダコ噛みながら歩くのは止めような?」
「むー……じゃあおんぶ!」
「はいはい」
……大丈夫なんですかね?
いや別に食べるなとは言いませんけど売る分は残して下さいよ。
そんなこんなで到着……道中は何も起こらなかったので割愛します。
やたらと日差しが強くて、アチコチからコーヒーの香りが充満していますね。
それにチラホラと見える屋台で売られている野菜が安い。
おっと、野菜も見て廻りたい所ですがまずは……
【トウチャクシマシタ】っと。
後は合流するのを待つだけですが……先に神殿の視察を済ませてしまいましょう。
今回はロウとナクアちゃん、コカちゃんも同行します。
そういえば炎の神殿に入るのはボリア以来ですね……
「あ、キュアちゃん……久しぶりね」
おや、姉さんも神殿にいらしたのですね。
「いらした、というか……ここが私の実家なの」
まさかの実家……姉さんって実はお嬢様だった?
となると以前ミラさんに聞いた老害を追い出そうとしていたという話は……実家を救う為だったのですね。
まあ動機としては充分過ぎる理由ではありますけど。
「って姉さんは中に入らないのですか?」
「今はデストとパパが話をしてるから……」
ああ、お話(物理)ですね、解ります。
いわゆる【娘を下さい】的なイベント……あたしは既に済ませた様な物ですが、ロウは母親(?)のクティの部下であるザトーとの一騎討ちが残っています。
話の通りなら後15日……
戦う前に立ち寄れるのはこの町が最後になりますね。
「やっと終わった……って嬢ちゃん達も着いたか」
「お疲れ様です、今しがた到着したばかりですよ」
「デスト、怪我はない?」
「ないぞ……ポーカーやってただけだし」
神官がギャンブルって……しかも賭けるのが自分の娘!
え、これ粛清対象になっちゃいます?
「嬢ちゃん、ギャンブルってのは人生を狂わせる程の大金を賭けた時に初めてギャンブルになるんだ……つまり金が絡まないならただのゲーム、今回の場合は真剣勝負、解るな?」
……そういう事にしておきます。
とはいえお金を賭けないならただのゲームという意見には同意しますが、娘の結婚を賭けたら立派なギャンブルでは?
「ボク達のお昼、2食……それで、手を打つよ」
「厳しいなお嬢……まあいいか」
とりあえず視察はしましたが特に問題はなさそうで安心しました。
一応「賭け事は程々に」と釘を刺しておきましたけど。
「因みにこの町にはツァトゥ様の神殿もあるぞ、飯の後で良ければ案内するぜ」
……何でデストさんは土地代が高いであろうムリアを拠点にしたのかが謎でしたが、そういう事でしたか。
となればそっちの視察もしなくてはなりませんね。
残念様にも一応お世話になりましたし。
「キュアお姉ちゃん、ナクアもお腹空いたー!」
……先にあたし達も昼食を済ませておきましょう。
流石に今から作るんじゃ視察が出来ないのでデストさんのオススメの店まで案内して貰いました。
たまには外食でもいいですよね。
お客さんが少ないのがちょっと引っ掛かりますが。
「お、良かった……まだ潰れてなかったな」
「ん?何だスミスの兄ちゃんか……まだ生きてたのか?」
「……相変わらず口の減らねぇ爺さんだな、いい加減あの世で奥さんが手招きしてんじゃないか?」
「へっ、つい最近バアさんに雲の上から蹴り出されたばかりよ……まだ死ぬのは早い、ってなぁ」
なんて会話をしているんですか……
とはいえ憎まれ口なのにお互い笑顔だし、仲は良いみたいですね。
「そういや兄ちゃん、この前アーチの奴から聞いたがようやく嫁を捕まえたそうじゃないか、しかも3人も……まあおめでとうと言ってやる」
「何やってんだアーチの兄貴……まあ、ありがとよ」
料理を運ぶ時にまで憎まれ口……
ってまだ注文してないんですが?
「この店のメニューはこいつと豆汁、酒しかないからな……」
成程……いわゆる拘りのメニューという奴ですね。
そういうお店の料理は威張り散らしてる割に大して美味しくないか、態度が気にならなくなる程に美味しいかのどちらかですが……
まあ、デストさんのオススメなら間違いなく後者でしょう。
それで出てきたのは……ワンタンをホワイトソースで煮込んだ様な見た目ですが?
「まあ食ってみな、爺さんの性格は悪いが料理の味はいいぞ」
「一言余計だ」
むむ、確かにこれは美味しいですね。
皮は讃岐うどんみたいにしこしこしていて、中には色んな野菜のペーストと、それからこれは……
「これにはビフーの骨髄が入ってるんだよ」
骨髄……旨味の塊ではないですか!
骨のスープの美味しさも骨髄の旨味ですからね……そりゃ美味しい訳です。
ソースもほぼホワイトソースですがチーズを溶かし入れている様で……このままオーブンで焼けばグラタンになりますね。
見た目はワンタンなのですが味や食感はパスタに近い……確かにこれはラビオリに似た料理です。
「これ美味しー!」
ナクアちゃんにロウとコカちゃんも気に入った様ですね。
「こんなに美味しいのに……何でお客さんが少ないのでしょうか?」
「まあ爺さんの性格がアレだし、この町に住んでるのはほぼ草食主義者だからな……それに爺さんの性格がアレだし」
「何で2回も言った?」
「大事な事だからだ」
お爺さんの性格はともかく、草食主義者だらけというのは先に聞けて良かったですね……
何も知らずにいつも通りのラーメンを出してたら大赤字になる所でした。
「一応言っとくと野菜狂信者と違って丸っきり食わない訳じゃないんだけどな……さもなきゃこの店はとっくに潰れてる」
「やかましい」
成程、今までヴィーガンとベジタリアンを一緒くたにしてましたが考えを改めなければいけませんね。
とはいえ屋台を出さない訳には行かないですし……どうしましょうか?
とりあえず先に視察を済ませてから考えましょう。
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