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森とイノシシと奴隷商人
害獣駆除しました
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なんやかんやありましたがようやくレンの村を出立出来ました。
ンガイまでは早ければ3日で着きますが……
「そういえばイブ、やけに荷物が少ないですが……食料はあるんですか?」
「私は元々シチューしか作れなくて……干し肉とパンは持って来ましたけれど」
うん、まあ最低限の準備は出来ていた様ですね。
とはいえ年頃の女の子が干し肉とパンだけというのはアレですし……おかずぐらいは差し上げましょう。
「……ミャミャッ!」
「トウカ?どうしたんだ?」
「フシャーッ!」
普段は大人しいトウカが威嚇……久しぶりにモンスターが出たんですかね?
「あ……あっちから、イノシシが」
言われてそちらを見たら確かにイノシシですね……テレビとかで見たのより3倍程大きいですが。
「因みにイノシシはモンスターですか?」
「イノシシは……村の畑を荒らしたりする、害獣だよ……見つけ次第、狩って埋めるのが、マナーだね」
あの大きさのイノシシ埋めるって相当な重労働では……下手したらそれだけで1日が終わってしまいますよ。
ふむ……という事は?
「ならば……あのイノシシは食べてしまっても構わないのですね?」
「え……確かに、食べちゃいけないって、決まりは………ないけど」
「ロウ、明日の夕飯は牡丹鍋にしましょう……具はイノシシ肉しかないですが、シメの雑炊はさぞ美味しいでしょう」
「よし、狩るのは任せろ!」
狩りはアッサリ終わって、ピーニャが風魔法で首を切断しつつ、支援魔法で筋力を底上げしながら木に吊し上げて血抜きをして内臓を取り出し、トウカの技能で出した水で包み込んで冷やして……と。
いつか役に立つだろうと思ってデストさんに解体を習った甲斐がありました。
「ロウ、この内臓も水で包んでくれますか?」
「よしきた、トウカ、【水縛】」
「ミャ!」
「キュアちゃん……内臓なんて、何に使うの?」
「勿論、食べるのですよ」
「「ええっ!」」
ん?コカちゃんもイブも、何でそんなにビックリしているのでしょうか?
確かに好き嫌いが分かれる部位ではあるにしても、この反応は嫌いとは何か違う様な?
「もしかして……今まで内臓を食べた事がないのですか?」
「動物の内臓を食べるって……聞いた事、ないよ?」
「そ、それに……イノシシの肉は強烈な臭みがあって、食べられないというのは常識ですよ?」
イノシシは豚の先祖というだけあって美味しいんですが……あたしも1度しか食べた事ありませんけど。
ああ、そういえばデストさんも肉屋の加工技術の低さを指摘していましたっけ……つまり捌き方や下処理が悪かったのでしょう。
そう考えると肉屋が内臓を売っていないのは下拵えのやり方が解らないから不味いと誤解している、という事でしょうか?
「まあ安心して下さい、あたしは不味い物は作りませんから」
おっと、肉の処理も大事ですが今日のお昼の準備をしなくては。
イノシシ肉はあくまでも明日の夕飯ですからね。
「あ、ロウ達はこの食べられない部位を埋めておいて下さい」
埋めるのも可食部位を取ったからかなり楽になったと思いますよ。
「任された」
「ミャッ!」
「グルッヒャ!」
下処理とお昼を済ませたら食べられる部位と内臓、骨をあたしの屋台の付属品である寸胴鍋で水に浸けながら先に進みます。
小まめに水を張り代えるのも忘れずに。
「ん?ちょっと待って下さい、誰かからテレパスが来ました」
「ああ、あの頭に直接メッセージを植え込まれる魔法か……」
あ、そういう認識なんですね……受けてみれば納得の表現ですけど。
【ワタシトデストモンガイヘイクコトニナリマシタ、ジェネヨリ】
【バシャデムカウカラアシタニモゴウリュウデキルカモ?】
「どうやらンガイには姉さんとデストさんも来るそうです……早ければ明日にもあたし達と合流するみたいですよ」
「おお!兄貴も来るのか!」
……確かにミラさんとマリー様に加えて2人が来るのは嬉しいのですが。
デストさんは強いし姉さんが居れば心強いのですが、いささか過剰戦力な気がしますね。
あの王様の事だからマリー様を心配しての配慮と思えなくもないですが、それにしても……
「キュアちゃん……どうかしたの?」
「いえ、何でもないです……」
まあ、気にしても仕方ないですし……とりあえず置いておきましょう。
明日合流となればサーグァ様の食欲と合わせて骨以外を腐る前に食べきれそうです。
おっと、そろそろ水を変えないと……青の水晶だけは山ほどあって助かりました。
「キュアさm……じゃなかった、キュアさんのお姉様……一体どんなお方なんでしょうか?」
イブは何を想像しているのですか?
というかまた様って付けそうになってますし……
そんなこんなで翌日の夕方……夜営の準備中に合流出来ましたよ。
とりあえず寝床の確保中に協力者であるデストさんには現状の説明をしておきます。
「大体2ヶ月後に最後の戦いか……また面倒な事になってやがんな」
「ですが、やる事は解りやすいですよ」
「ロウを庇いながら鍛えればいいんだな……とは言っても俺がロウに教えられる事は筋トレぐらいしかないが」
「その辺りはミラさんと翡翠さんにお願いしましょう」
テイマーで幻獣使いなロウは中、遠距離の戦いが主なのに対してスミスのデストさんは斧か鈍器による接近戦しか出来ませんからね……
そういうのは専門家に任せますよ。
まあミラさんは弓も使えはしますが、もっぱらナイフを使っていますけどね。
そもそもロウには関節技しか教えていませんけど。
「とりあえずその話は置いて、今は夕飯の準備をしましょう」
「昨日嬢ちゃんが狩ったとかいうイノシシで牡丹鍋だったな、肉の下拵えは任せろ」
あ、そういえば……
「ふと気になったのですが、デストさんは肉屋に内臓の処理を教えなかったのですか?」
「俺は当時、内臓が苦手だったんだよ……実家が肉屋だって話はしたと思うが、その時は売れ残りの内臓ばっか食っててよ」
成程……食べ続けて苦手になったパターンでしたか。
「酒を飲める様になってからは普通に食える様になったけどな……たまに仲が良い肉屋から貰ったりしてるよ」
ボリアに行ったらあたしにも紹介して貰いましょう。
醤油ダレに漬け込んだホルモンは美味しいですからね。
「ってこれはイノシシの内臓か?流石の俺もイノシシの内臓は初めてなんだが」
「まあ豚の先祖って言うぐらいです、下拵えさえキチンとすれば美味しいと思いますよ」
「そりゃ違いないな」
といってもあたしが残したのは心臓、胃、脾臓、膵臓、大腸、小腸だけですけどね。
他の肉に骨まで加えて血抜きするとなると、手持ちの寸胴鍋ではこれで限界でした。
余談ですが昨日のお昼にはイノシシの舌と鮮度が命な肝臓を使いましたが、ロウ以外は気付かず美味しいと言っていました。
「あ、小腸と膵臓は明日モツ煮にするから残しておいて下さい」
「嬢ちゃんの味の好みが完全に飲み屋に居座るオッサンと一致してるんだが……味付けは味噌で頼む」
一言余計ですよ!
味噌味にはしますけど!
さあ、いよいよ牡丹鍋です。
イノシシの骨から取った出汁に醤油と味噌で味を付け、そこにイノシシの肉と胃袋、大腸、心臓の薄切りを山ほど入れて、豆腐も入れて煮込みます。
あれば大根、白菜、春菊辺りが欲しかった所ですが……たまには肉ばかりの鍋もいいでしょう。
煮えたら生卵を溶いたのを絡めて食べます。
因みにこの卵と豆腐は予めテレパスでデストさんに頼んでおきました。
「流石はイノシシの肉だな……かなり煮込んだが柔らかく、油もくどさがなくて美味い」
「まさか旅の途中でこんな肉だらけの鍋が食えるとは……美味ぇ」
「うん、やはり胃や大腸に心臓も美味しいですね……心臓はちょっと固いですが噛む程に味が出ます」
「ミャー……」
「グルッヒャー……」
おっと、イノシシを見つけたトウカと首を切断してくれたピーニャも食べたそうな目であたしを見ていますね。
ちゃんと分けますから冷まして食べるのですよ。
「この大腸というお肉は美味しいですね……お酒に合いそうです」
マリー様は大腸を気に入った様ですね。
大腸……つまりホルモンは煮ても焼いても美味しい所ですからね。
日本でもモツ煮とか、焼肉でも人気の部位でビールに合うそうですし。
まあ下処理は面倒ですが、それに見合う味があります。
「イノシシの胃袋、本当に……美味しい」
コカちゃんは胃袋ですか……
通称ガツと呼ばれる部位で、味噌味の煮物や炒め物にすると美味しいんですよね。
因みにこの胃袋を入れたモツ煮も美味しいですよ。
「マリー様と出会う前は何度も倒したイノシシがこんなに美味しかったとは……」
「デスト、知ってたら何で教えてくれなかったの?」
「何度も料理しようとしたのに、その前にミラが埋めちまってたんだが?」
「……本当にスミマセン」
行動が早過ぎるのも考え物なんですね……
旅を続けるなら何度も遭遇するでしょうし、あたし達は出来る限り食べる様にしましょう。
「それはそうとイブ、さっきから豆腐しか食べていないではないですか……肉はまだ沢山あるから遠慮はいりませんよ?」
「いえ、遠慮ではなくて……このダイズ豆の味がする豆腐という食べ物はどうやって作ったのか、気になってしまって」
ふむ……教えてもいいんですが肝心のニガリは翡翠さんでなければ作れませんからね。
クティの問題が片付いたら教えてくれるとは言っていましたけど。
まあ安易に教えてガッカリさせるのもアレですが、ヒントぐらいは出しますか。
「この豆腐はダイズ豆を潰して作るんですよ」
「ええっ!」
水に浸してすり潰して、濾してニガリを加えて、と手順はかなり面倒ですけどね。
でも味噌汁には豆腐が欠かせませんからね……頑張って作りましたよ。
「ダイズ豆で、醤油の他にこんなに美味しい物を作れるなんて……やっぱりキュア様は料理の神が遣わしたお方なのですね!」
「ちょっ、料理の神って何ですか!」
あたしはトゥグア様以外を信仰していませんよ!
後、あたしに様を付けるなと何度も言ったじゃないですか!
「でもキュアちゃん……女神様に、破壊僧って称号……貰ったよね?」
「コカちゃん、話をややこしくしないで!」
このままではイブが第2のコカちゃんになりかねない、って予感がするんですよ!
あたしはこれ以上嫁も婿も増やす気はありません!?
勿論ロウにも増やさせませんからね!
「今のイブちゃんって、女神様に祈ってる時の……キュアちゃんに、似てないかな?」
「あー……確かに、似てるな」
「似てますね」
「似てるな」
ちょっと、まるであたしが危険人物みたいに言わないでくれませんかね!
ンガイまでは早ければ3日で着きますが……
「そういえばイブ、やけに荷物が少ないですが……食料はあるんですか?」
「私は元々シチューしか作れなくて……干し肉とパンは持って来ましたけれど」
うん、まあ最低限の準備は出来ていた様ですね。
とはいえ年頃の女の子が干し肉とパンだけというのはアレですし……おかずぐらいは差し上げましょう。
「……ミャミャッ!」
「トウカ?どうしたんだ?」
「フシャーッ!」
普段は大人しいトウカが威嚇……久しぶりにモンスターが出たんですかね?
「あ……あっちから、イノシシが」
言われてそちらを見たら確かにイノシシですね……テレビとかで見たのより3倍程大きいですが。
「因みにイノシシはモンスターですか?」
「イノシシは……村の畑を荒らしたりする、害獣だよ……見つけ次第、狩って埋めるのが、マナーだね」
あの大きさのイノシシ埋めるって相当な重労働では……下手したらそれだけで1日が終わってしまいますよ。
ふむ……という事は?
「ならば……あのイノシシは食べてしまっても構わないのですね?」
「え……確かに、食べちゃいけないって、決まりは………ないけど」
「ロウ、明日の夕飯は牡丹鍋にしましょう……具はイノシシ肉しかないですが、シメの雑炊はさぞ美味しいでしょう」
「よし、狩るのは任せろ!」
狩りはアッサリ終わって、ピーニャが風魔法で首を切断しつつ、支援魔法で筋力を底上げしながら木に吊し上げて血抜きをして内臓を取り出し、トウカの技能で出した水で包み込んで冷やして……と。
いつか役に立つだろうと思ってデストさんに解体を習った甲斐がありました。
「ロウ、この内臓も水で包んでくれますか?」
「よしきた、トウカ、【水縛】」
「ミャ!」
「キュアちゃん……内臓なんて、何に使うの?」
「勿論、食べるのですよ」
「「ええっ!」」
ん?コカちゃんもイブも、何でそんなにビックリしているのでしょうか?
確かに好き嫌いが分かれる部位ではあるにしても、この反応は嫌いとは何か違う様な?
「もしかして……今まで内臓を食べた事がないのですか?」
「動物の内臓を食べるって……聞いた事、ないよ?」
「そ、それに……イノシシの肉は強烈な臭みがあって、食べられないというのは常識ですよ?」
イノシシは豚の先祖というだけあって美味しいんですが……あたしも1度しか食べた事ありませんけど。
ああ、そういえばデストさんも肉屋の加工技術の低さを指摘していましたっけ……つまり捌き方や下処理が悪かったのでしょう。
そう考えると肉屋が内臓を売っていないのは下拵えのやり方が解らないから不味いと誤解している、という事でしょうか?
「まあ安心して下さい、あたしは不味い物は作りませんから」
おっと、肉の処理も大事ですが今日のお昼の準備をしなくては。
イノシシ肉はあくまでも明日の夕飯ですからね。
「あ、ロウ達はこの食べられない部位を埋めておいて下さい」
埋めるのも可食部位を取ったからかなり楽になったと思いますよ。
「任された」
「ミャッ!」
「グルッヒャ!」
下処理とお昼を済ませたら食べられる部位と内臓、骨をあたしの屋台の付属品である寸胴鍋で水に浸けながら先に進みます。
小まめに水を張り代えるのも忘れずに。
「ん?ちょっと待って下さい、誰かからテレパスが来ました」
「ああ、あの頭に直接メッセージを植え込まれる魔法か……」
あ、そういう認識なんですね……受けてみれば納得の表現ですけど。
【ワタシトデストモンガイヘイクコトニナリマシタ、ジェネヨリ】
【バシャデムカウカラアシタニモゴウリュウデキルカモ?】
「どうやらンガイには姉さんとデストさんも来るそうです……早ければ明日にもあたし達と合流するみたいですよ」
「おお!兄貴も来るのか!」
……確かにミラさんとマリー様に加えて2人が来るのは嬉しいのですが。
デストさんは強いし姉さんが居れば心強いのですが、いささか過剰戦力な気がしますね。
あの王様の事だからマリー様を心配しての配慮と思えなくもないですが、それにしても……
「キュアちゃん……どうかしたの?」
「いえ、何でもないです……」
まあ、気にしても仕方ないですし……とりあえず置いておきましょう。
明日合流となればサーグァ様の食欲と合わせて骨以外を腐る前に食べきれそうです。
おっと、そろそろ水を変えないと……青の水晶だけは山ほどあって助かりました。
「キュアさm……じゃなかった、キュアさんのお姉様……一体どんなお方なんでしょうか?」
イブは何を想像しているのですか?
というかまた様って付けそうになってますし……
そんなこんなで翌日の夕方……夜営の準備中に合流出来ましたよ。
とりあえず寝床の確保中に協力者であるデストさんには現状の説明をしておきます。
「大体2ヶ月後に最後の戦いか……また面倒な事になってやがんな」
「ですが、やる事は解りやすいですよ」
「ロウを庇いながら鍛えればいいんだな……とは言っても俺がロウに教えられる事は筋トレぐらいしかないが」
「その辺りはミラさんと翡翠さんにお願いしましょう」
テイマーで幻獣使いなロウは中、遠距離の戦いが主なのに対してスミスのデストさんは斧か鈍器による接近戦しか出来ませんからね……
そういうのは専門家に任せますよ。
まあミラさんは弓も使えはしますが、もっぱらナイフを使っていますけどね。
そもそもロウには関節技しか教えていませんけど。
「とりあえずその話は置いて、今は夕飯の準備をしましょう」
「昨日嬢ちゃんが狩ったとかいうイノシシで牡丹鍋だったな、肉の下拵えは任せろ」
あ、そういえば……
「ふと気になったのですが、デストさんは肉屋に内臓の処理を教えなかったのですか?」
「俺は当時、内臓が苦手だったんだよ……実家が肉屋だって話はしたと思うが、その時は売れ残りの内臓ばっか食っててよ」
成程……食べ続けて苦手になったパターンでしたか。
「酒を飲める様になってからは普通に食える様になったけどな……たまに仲が良い肉屋から貰ったりしてるよ」
ボリアに行ったらあたしにも紹介して貰いましょう。
醤油ダレに漬け込んだホルモンは美味しいですからね。
「ってこれはイノシシの内臓か?流石の俺もイノシシの内臓は初めてなんだが」
「まあ豚の先祖って言うぐらいです、下拵えさえキチンとすれば美味しいと思いますよ」
「そりゃ違いないな」
といってもあたしが残したのは心臓、胃、脾臓、膵臓、大腸、小腸だけですけどね。
他の肉に骨まで加えて血抜きするとなると、手持ちの寸胴鍋ではこれで限界でした。
余談ですが昨日のお昼にはイノシシの舌と鮮度が命な肝臓を使いましたが、ロウ以外は気付かず美味しいと言っていました。
「あ、小腸と膵臓は明日モツ煮にするから残しておいて下さい」
「嬢ちゃんの味の好みが完全に飲み屋に居座るオッサンと一致してるんだが……味付けは味噌で頼む」
一言余計ですよ!
味噌味にはしますけど!
さあ、いよいよ牡丹鍋です。
イノシシの骨から取った出汁に醤油と味噌で味を付け、そこにイノシシの肉と胃袋、大腸、心臓の薄切りを山ほど入れて、豆腐も入れて煮込みます。
あれば大根、白菜、春菊辺りが欲しかった所ですが……たまには肉ばかりの鍋もいいでしょう。
煮えたら生卵を溶いたのを絡めて食べます。
因みにこの卵と豆腐は予めテレパスでデストさんに頼んでおきました。
「流石はイノシシの肉だな……かなり煮込んだが柔らかく、油もくどさがなくて美味い」
「まさか旅の途中でこんな肉だらけの鍋が食えるとは……美味ぇ」
「うん、やはり胃や大腸に心臓も美味しいですね……心臓はちょっと固いですが噛む程に味が出ます」
「ミャー……」
「グルッヒャー……」
おっと、イノシシを見つけたトウカと首を切断してくれたピーニャも食べたそうな目であたしを見ていますね。
ちゃんと分けますから冷まして食べるのですよ。
「この大腸というお肉は美味しいですね……お酒に合いそうです」
マリー様は大腸を気に入った様ですね。
大腸……つまりホルモンは煮ても焼いても美味しい所ですからね。
日本でもモツ煮とか、焼肉でも人気の部位でビールに合うそうですし。
まあ下処理は面倒ですが、それに見合う味があります。
「イノシシの胃袋、本当に……美味しい」
コカちゃんは胃袋ですか……
通称ガツと呼ばれる部位で、味噌味の煮物や炒め物にすると美味しいんですよね。
因みにこの胃袋を入れたモツ煮も美味しいですよ。
「マリー様と出会う前は何度も倒したイノシシがこんなに美味しかったとは……」
「デスト、知ってたら何で教えてくれなかったの?」
「何度も料理しようとしたのに、その前にミラが埋めちまってたんだが?」
「……本当にスミマセン」
行動が早過ぎるのも考え物なんですね……
旅を続けるなら何度も遭遇するでしょうし、あたし達は出来る限り食べる様にしましょう。
「それはそうとイブ、さっきから豆腐しか食べていないではないですか……肉はまだ沢山あるから遠慮はいりませんよ?」
「いえ、遠慮ではなくて……このダイズ豆の味がする豆腐という食べ物はどうやって作ったのか、気になってしまって」
ふむ……教えてもいいんですが肝心のニガリは翡翠さんでなければ作れませんからね。
クティの問題が片付いたら教えてくれるとは言っていましたけど。
まあ安易に教えてガッカリさせるのもアレですが、ヒントぐらいは出しますか。
「この豆腐はダイズ豆を潰して作るんですよ」
「ええっ!」
水に浸してすり潰して、濾してニガリを加えて、と手順はかなり面倒ですけどね。
でも味噌汁には豆腐が欠かせませんからね……頑張って作りましたよ。
「ダイズ豆で、醤油の他にこんなに美味しい物を作れるなんて……やっぱりキュア様は料理の神が遣わしたお方なのですね!」
「ちょっ、料理の神って何ですか!」
あたしはトゥグア様以外を信仰していませんよ!
後、あたしに様を付けるなと何度も言ったじゃないですか!
「でもキュアちゃん……女神様に、破壊僧って称号……貰ったよね?」
「コカちゃん、話をややこしくしないで!」
このままではイブが第2のコカちゃんになりかねない、って予感がするんですよ!
あたしはこれ以上嫁も婿も増やす気はありません!?
勿論ロウにも増やさせませんからね!
「今のイブちゃんって、女神様に祈ってる時の……キュアちゃんに、似てないかな?」
「あー……確かに、似てるな」
「似てますね」
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