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首都で生活と資金稼ぎ
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転職まで後3日……流石に料理して遊んでるだけではいけないだろうと思いジェネさんに魔法を教えて貰おうと神殿に向かいます。
ロウは翡翠さんと特訓に向かい、コカちゃんはアプさんと荷物の受け取りに向かってしまい、デストさんは鍛冶をしているのであたし1人ですけどね。
それにコカちゃんはプロフェッサーになると決まっていて……
ロウは動物に好かれない筈なのにテイマーになると先を見据えていますが……
肝心のあたしはモンクになるつもりではいますが、何故かモヤモヤした物があるのです。
その辺の相談に乗ってくれると有難いのですが……
「ああ、キュアちゃんですか……いらっしゃい」
「ジェネさん……滅茶苦茶疲れてますね?」
目元の隈が凄い事になっています……何日徹夜したんですか?
「ええ、まあ……前任者の老害共がロクに仕事しなかったせいでそのしわ寄せが来て……ほんの5日ほど」
「……少しは寝た方が良いのでは?」
というか今すぐ寝て下さい!
「そうもいかないんですよ……この書類の山を一刻も早くエリナ様へ渡さなければ……半分以上は去年の内に提出しなきゃいけない案件だったんですけど」
どんだけサボってたんですか前任者共は!
エリナ様という事は教育か介護に関連する事なんでしょうが……
まあ神殿が学校や孤児院を兼任するのは珍しくないでしょうし、1人ではまともに動けなくなってしまった老人を介護するのは大事ですからね。
莫大な費用が掛かるのは確かでしょうから、前任者共はそれを先伸ばしにしつつ資金を掠めていたんでしょう……多分。
今日は魔法を教えて貰いつつ相談に乗って貰うつもりでしたがそうは言ってられませんね、それにあたしはこの状況を見過ごせる程白状じゃありません。
「解りました……お城にはあたしが持って行きますのでジェネさんは休んで下さい、というかすぐ寝て下さい」
「キュアちゃんなら安心できますね……では、お願いします」
速攻で寝てしまいましたね……そのままでは風邪を引いてしまいますから何か羽織らせておきましょう。
さて、帰りに買い物するつもりだったからトゥグア様に貰った無限収納鞄を持っていて正解でした。
およそ半年分の新聞とチラシ並に積まれた書類も難なく入れられましたよ。
神殿を出た辺りでこっそり【ブレス】を使いつつ急ぎお城へ……そういえばエリナ様に渡せばいいとは聞きましたがお城の何処に居るのでしょうか?
まあ誰かに聞けば済む話ですし、それはいいでしょう。
それよりも今は……入口から感じる不穏な気配を片付けますか。
お城へ向かう途中、人気のない場所で立ち止まりつつ……背後の気配に向かいましょう。
「……さっきからコソコソと、鬱陶しいんで出てきてくれませんか?」
ゆっくりと現れたのはいかにもなチンピラが3人……
それとマッチョなオークに蒼白で不気味なお爺さん……ストーカーですか?
「あの小娘に何を頼まれたかは知らんが、その鞄の中身をこちらに渡して貰おうか」
あの小娘……ジェネさんの事でしょうか?
となるとあのお爺さんは老害として追い出された元神官でしょうか?
まあ、元より素直に渡すつもりはありませんけど。
「お断りします」
「ならば仕方ない……お前達、あの小娘を可愛がってやれ」
さて、鞄を庇いながら5人をぶちのめさなくてはならないのは少しキツいのですが……
まずはいかにもな欲望を顔に浮かべていたチンピラその1の顎に掌底を当てて脳を揺さぶって、チンピラその2は鳩尾に正拳突き、その3は股関に蹴りを入れてやって無力化に成功しました。
急所を狙うのは気が引けましたが……相手の方が頭数多いし、別に構いませんよね。
「どういう事だ!たかがヒーラーの小娘が、何故あんなに戦えるのだ!」
ふむ、あたしがヒーラーだと見抜いていましたか……まさか薄い本みたいな展開を望んでいたのですか?
あのお爺さんは変態と解ったので手加減無しでぶん殴りましょう。
何故戦えるかと言われたら空手のお陰と返してやりたいのですが……この世界に空手はないから通じませんね。
「フン、少しは手応えがありそうだな」
おっと、あの中で1番強いであろうマッチョなオークが来ましたか。
「俺の名はデュロック、そこの元神官のジジイに雇われたファイターだ」
闘士……確か接近戦に強い職業でしたね。
「【魔拳・雷】」
デュロックとかいうオークの両拳に電流が!?
「正直言って気乗りのしない依頼だが、俺も金がなけりゃ生きていけないんでな……例えこんなクズの汚れた金でも金には違いない」
そんなに生活が危ないんですか?
というか仮にも雇い主の目の前でクズ呼ばわりはどうかと思いますよ?
当の本人も血管浮き出る程怒ってますし……そのまま倒れてくれれば楽なんですが。
って本当に倒れた?
「デストに会いに行こうと思ってたら……何やら面倒な事に巻き込まれていますねキュアさん」
「ミラさん!」
まさかのミラさんが変態爺を倒してくれました……殴れなかったのは残念ですが手間が省けたので良しとします。
「フゥ、嬢ちゃんと戦う理由が無くなっちまったな……本音を言えば久しぶりに全力で戦えそうな気がしていたんだが」
あ、電流が消えましたね……
どうやら本当に戦う意志はなくなった様で。
「まあ、組手で良ければこの町に居る間なら相手になりますよ」
中々に紳士なオークですね……チンピラから潰したのは正解だったかもしれません。
「ふむ、とりあえず何があったのかを聞きたいのですが?」
とりあえずあたしからのざっくりとした説明に、デュロックさんが捕捉を入れてくれて解ったのは……
・変態爺は老害として追い出された元神官で
・逆怨みからジェネさんを失脚させる機会を伺っていて
・あたしがジェネさんから預かった書類に目を付けて
・それを奪って復職するつもりだった
馬鹿なんですかこの変態は。
「愚かですね、そんな事をしても意味がないというのに」
少し考えれば王様に目を付けられた時点で終わってると解りそうな物ですが…
「何にせよ俺がこのクズに手を貸したのは事実だ、抵抗はしない」
黙って両手を差し出すデュロックさんですが……この人は別に何もしてないんですよね。
「私の一存では何とも……お手数ですがこのまま王様に謁見を願えますか?」
「……解った」
「あ、ならあたしも……ジェネさんに預かった書類をエリナ様に渡したいので」
「エリナ様でしたら今は食堂でマナー教室を開いていますよ」
ミラさんに会えたのは幸運でしたね……探し回る必要がなくなりました。
まあ、食堂の場所が解らず聞き回る羽目になりましたけど……丁度暇だったというヴァレンさんが案内してくれました。
「あら、丁度良い所に……申し訳ありませんがキュアさんにお願いがありますの」
エリナ様にお願いされるのは初めてですね、サーグァ様にならしょっちゅうされていますけど。
「実は城のデザート担当の料理人が熱を出してしまいまして」
解っていましたよ……お願いが料理関係だという事は。
だってそれ以外の依頼はマリー様にしかされた事ないんですから!
「1時間で20人分、頼めますか?甘くて美味しければ品は問いません」
メニューは何でもいいなら何とかなりますね。
「引き受けましょう」
さて、お城の厨房だけあって食材は中々の品揃えですね。
って料理人達に囲まれた?
「貴女がキュアさんですね、頂いたレシピにあったタルタルソースには感動しました」
「あのクックー肉を柔らかくする方法に目から鱗が落ちる思いでした」
本職に褒められるのは中々に恥ずかしい思いですね……その辺はあたしが思い付いた訳ではないので申し訳なくもありますが。
「スミマセンが自分に罵声を浴びせては貰えませんか?」
「無駄口叩く暇があったら働きなさい!」
「ありがとうございます!」
……ちょっとこの変態はレベルが高くないですか?
とにかく今はエリナ様の依頼です。
甘くて美味しい、かつ手早くという条件ですからホットケーキにしますか。
「小麦粉と牛乳、卵とリンゴにアマミズ……それとレモンはありますか?」
「用意出来ました!」
早っ!
流石本職の料理人、手際が素晴らしいですね……用意したこの人は変態ですけど。
「まず貴方はリンゴの皮を剥いてみじん切りにしたらアマミズの水で煮込んで下さい、沸騰しない様に注意して、香りが出たらレモンの果汁を加えて混ぜるんです」
「ハッ!」
「そこの人はリンゴの皮を水から煮出して、お湯になったらそれで紅茶を淹れて下さい」
「解りました!」
「そこの変態、氷水の上に牛乳を入れたボウルを置いて、アマミズの水を少しだけ加えて、角が立つまで撹拌しなさい、今すぐに!」
「はひぃ!」
さて、その間にあたしは小麦粉と牛乳とアマミズの水、卵の黄身を混ぜて、と。
流石に重曹やベーキングパウダーはないので、代わりに卵白だけを撹拌して作ったメレンゲを使います。
これならふんわり感が出ると思いますが初めて作るので自信はありません。
日本に居た頃はホットケーキミックスで簡単に作れましたからね……
まあ、少なくとも不味くなる事はないでしょう。
後はこれを人数分焼いて、リンゴのジャムを塗って生クリームを盛れば出来上がりです。
「美味しいですわ!」
「このふんわり感にリンゴの甘味が合いますわね」
「この白いのは牛乳の味がしますわ」
「紅茶からもリンゴの味がしますわね」
フフフ、好評ですね。
個人的にホットケーキはメープルシロップとバターで食べるのが1番美味しいと思いますが……どちらもなかったのが残念です。
まあホットケーキのレシピを書いて渡しておきますので、色々と工夫して下さい。
「本日は助かりましたわ……所でキュアさんはどうしてここに?」
「あ、そうでした……ジェネさんから書類を預かっていたのです」
危うく本来の目的を忘れてしまう所でした。
何とか書類を渡して、神殿に戻ったらもう夕方になってますし……結局今日も料理しただけで終わってしまいましたね。
因みにデュロックさんは特に何もしてなかったので無罪に、そのまま騎士団に所属する事になったそうです。
魔拳という技能を初めて見て、モンクになるなら1度手合わせして貰いたかったのですが……
「キュアちゃん、どうかしましたか?」
「ジェネさん……あたし、プリーストになろうと思うのですが」
「ええっ!た、確かにキュアちゃんがここに入ってくれれば嬉しいし頼もしいんだけど……キュアちゃんの適正ならモンクの方がいいんじゃ?」
「自覚はあります、ですが……ジェネさん以外の神官がトゥグア様を侮辱している様で、それが我慢ならないのです」
「そう……解ったわ、なら私が色々教えてあげるわね」
「宜しくお願いします」
いつの間にかあたしの中にあったモヤモヤが無くなっていましたし、悪くない1日でしたね。
余談ですが夕飯を作るのが遅れてアプさんに怒られそうになりましたけど、エリナ様が事情を説明してくれたので助かりました。
あたしがプリーストになると知って熱があるのかと言われたのが解せませんけどね!
『キュアさんがプリーストに……という事はあの詠唱が更に広まる!な、何とか阻止出来ないでしょうか!?』
『……諦めなさい』
ロウは翡翠さんと特訓に向かい、コカちゃんはアプさんと荷物の受け取りに向かってしまい、デストさんは鍛冶をしているのであたし1人ですけどね。
それにコカちゃんはプロフェッサーになると決まっていて……
ロウは動物に好かれない筈なのにテイマーになると先を見据えていますが……
肝心のあたしはモンクになるつもりではいますが、何故かモヤモヤした物があるのです。
その辺の相談に乗ってくれると有難いのですが……
「ああ、キュアちゃんですか……いらっしゃい」
「ジェネさん……滅茶苦茶疲れてますね?」
目元の隈が凄い事になっています……何日徹夜したんですか?
「ええ、まあ……前任者の老害共がロクに仕事しなかったせいでそのしわ寄せが来て……ほんの5日ほど」
「……少しは寝た方が良いのでは?」
というか今すぐ寝て下さい!
「そうもいかないんですよ……この書類の山を一刻も早くエリナ様へ渡さなければ……半分以上は去年の内に提出しなきゃいけない案件だったんですけど」
どんだけサボってたんですか前任者共は!
エリナ様という事は教育か介護に関連する事なんでしょうが……
まあ神殿が学校や孤児院を兼任するのは珍しくないでしょうし、1人ではまともに動けなくなってしまった老人を介護するのは大事ですからね。
莫大な費用が掛かるのは確かでしょうから、前任者共はそれを先伸ばしにしつつ資金を掠めていたんでしょう……多分。
今日は魔法を教えて貰いつつ相談に乗って貰うつもりでしたがそうは言ってられませんね、それにあたしはこの状況を見過ごせる程白状じゃありません。
「解りました……お城にはあたしが持って行きますのでジェネさんは休んで下さい、というかすぐ寝て下さい」
「キュアちゃんなら安心できますね……では、お願いします」
速攻で寝てしまいましたね……そのままでは風邪を引いてしまいますから何か羽織らせておきましょう。
さて、帰りに買い物するつもりだったからトゥグア様に貰った無限収納鞄を持っていて正解でした。
およそ半年分の新聞とチラシ並に積まれた書類も難なく入れられましたよ。
神殿を出た辺りでこっそり【ブレス】を使いつつ急ぎお城へ……そういえばエリナ様に渡せばいいとは聞きましたがお城の何処に居るのでしょうか?
まあ誰かに聞けば済む話ですし、それはいいでしょう。
それよりも今は……入口から感じる不穏な気配を片付けますか。
お城へ向かう途中、人気のない場所で立ち止まりつつ……背後の気配に向かいましょう。
「……さっきからコソコソと、鬱陶しいんで出てきてくれませんか?」
ゆっくりと現れたのはいかにもなチンピラが3人……
それとマッチョなオークに蒼白で不気味なお爺さん……ストーカーですか?
「あの小娘に何を頼まれたかは知らんが、その鞄の中身をこちらに渡して貰おうか」
あの小娘……ジェネさんの事でしょうか?
となるとあのお爺さんは老害として追い出された元神官でしょうか?
まあ、元より素直に渡すつもりはありませんけど。
「お断りします」
「ならば仕方ない……お前達、あの小娘を可愛がってやれ」
さて、鞄を庇いながら5人をぶちのめさなくてはならないのは少しキツいのですが……
まずはいかにもな欲望を顔に浮かべていたチンピラその1の顎に掌底を当てて脳を揺さぶって、チンピラその2は鳩尾に正拳突き、その3は股関に蹴りを入れてやって無力化に成功しました。
急所を狙うのは気が引けましたが……相手の方が頭数多いし、別に構いませんよね。
「どういう事だ!たかがヒーラーの小娘が、何故あんなに戦えるのだ!」
ふむ、あたしがヒーラーだと見抜いていましたか……まさか薄い本みたいな展開を望んでいたのですか?
あのお爺さんは変態と解ったので手加減無しでぶん殴りましょう。
何故戦えるかと言われたら空手のお陰と返してやりたいのですが……この世界に空手はないから通じませんね。
「フン、少しは手応えがありそうだな」
おっと、あの中で1番強いであろうマッチョなオークが来ましたか。
「俺の名はデュロック、そこの元神官のジジイに雇われたファイターだ」
闘士……確か接近戦に強い職業でしたね。
「【魔拳・雷】」
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「正直言って気乗りのしない依頼だが、俺も金がなけりゃ生きていけないんでな……例えこんなクズの汚れた金でも金には違いない」
そんなに生活が危ないんですか?
というか仮にも雇い主の目の前でクズ呼ばわりはどうかと思いますよ?
当の本人も血管浮き出る程怒ってますし……そのまま倒れてくれれば楽なんですが。
って本当に倒れた?
「デストに会いに行こうと思ってたら……何やら面倒な事に巻き込まれていますねキュアさん」
「ミラさん!」
まさかのミラさんが変態爺を倒してくれました……殴れなかったのは残念ですが手間が省けたので良しとします。
「フゥ、嬢ちゃんと戦う理由が無くなっちまったな……本音を言えば久しぶりに全力で戦えそうな気がしていたんだが」
あ、電流が消えましたね……
どうやら本当に戦う意志はなくなった様で。
「まあ、組手で良ければこの町に居る間なら相手になりますよ」
中々に紳士なオークですね……チンピラから潰したのは正解だったかもしれません。
「ふむ、とりあえず何があったのかを聞きたいのですが?」
とりあえずあたしからのざっくりとした説明に、デュロックさんが捕捉を入れてくれて解ったのは……
・変態爺は老害として追い出された元神官で
・逆怨みからジェネさんを失脚させる機会を伺っていて
・あたしがジェネさんから預かった書類に目を付けて
・それを奪って復職するつもりだった
馬鹿なんですかこの変態は。
「愚かですね、そんな事をしても意味がないというのに」
少し考えれば王様に目を付けられた時点で終わってると解りそうな物ですが…
「何にせよ俺がこのクズに手を貸したのは事実だ、抵抗はしない」
黙って両手を差し出すデュロックさんですが……この人は別に何もしてないんですよね。
「私の一存では何とも……お手数ですがこのまま王様に謁見を願えますか?」
「……解った」
「あ、ならあたしも……ジェネさんに預かった書類をエリナ様に渡したいので」
「エリナ様でしたら今は食堂でマナー教室を開いていますよ」
ミラさんに会えたのは幸運でしたね……探し回る必要がなくなりました。
まあ、食堂の場所が解らず聞き回る羽目になりましたけど……丁度暇だったというヴァレンさんが案内してくれました。
「あら、丁度良い所に……申し訳ありませんがキュアさんにお願いがありますの」
エリナ様にお願いされるのは初めてですね、サーグァ様にならしょっちゅうされていますけど。
「実は城のデザート担当の料理人が熱を出してしまいまして」
解っていましたよ……お願いが料理関係だという事は。
だってそれ以外の依頼はマリー様にしかされた事ないんですから!
「1時間で20人分、頼めますか?甘くて美味しければ品は問いません」
メニューは何でもいいなら何とかなりますね。
「引き受けましょう」
さて、お城の厨房だけあって食材は中々の品揃えですね。
って料理人達に囲まれた?
「貴女がキュアさんですね、頂いたレシピにあったタルタルソースには感動しました」
「あのクックー肉を柔らかくする方法に目から鱗が落ちる思いでした」
本職に褒められるのは中々に恥ずかしい思いですね……その辺はあたしが思い付いた訳ではないので申し訳なくもありますが。
「スミマセンが自分に罵声を浴びせては貰えませんか?」
「無駄口叩く暇があったら働きなさい!」
「ありがとうございます!」
……ちょっとこの変態はレベルが高くないですか?
とにかく今はエリナ様の依頼です。
甘くて美味しい、かつ手早くという条件ですからホットケーキにしますか。
「小麦粉と牛乳、卵とリンゴにアマミズ……それとレモンはありますか?」
「用意出来ました!」
早っ!
流石本職の料理人、手際が素晴らしいですね……用意したこの人は変態ですけど。
「まず貴方はリンゴの皮を剥いてみじん切りにしたらアマミズの水で煮込んで下さい、沸騰しない様に注意して、香りが出たらレモンの果汁を加えて混ぜるんです」
「ハッ!」
「そこの人はリンゴの皮を水から煮出して、お湯になったらそれで紅茶を淹れて下さい」
「解りました!」
「そこの変態、氷水の上に牛乳を入れたボウルを置いて、アマミズの水を少しだけ加えて、角が立つまで撹拌しなさい、今すぐに!」
「はひぃ!」
さて、その間にあたしは小麦粉と牛乳とアマミズの水、卵の黄身を混ぜて、と。
流石に重曹やベーキングパウダーはないので、代わりに卵白だけを撹拌して作ったメレンゲを使います。
これならふんわり感が出ると思いますが初めて作るので自信はありません。
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まあ、少なくとも不味くなる事はないでしょう。
後はこれを人数分焼いて、リンゴのジャムを塗って生クリームを盛れば出来上がりです。
「美味しいですわ!」
「このふんわり感にリンゴの甘味が合いますわね」
「この白いのは牛乳の味がしますわ」
「紅茶からもリンゴの味がしますわね」
フフフ、好評ですね。
個人的にホットケーキはメープルシロップとバターで食べるのが1番美味しいと思いますが……どちらもなかったのが残念です。
まあホットケーキのレシピを書いて渡しておきますので、色々と工夫して下さい。
「本日は助かりましたわ……所でキュアさんはどうしてここに?」
「あ、そうでした……ジェネさんから書類を預かっていたのです」
危うく本来の目的を忘れてしまう所でした。
何とか書類を渡して、神殿に戻ったらもう夕方になってますし……結局今日も料理しただけで終わってしまいましたね。
因みにデュロックさんは特に何もしてなかったので無罪に、そのまま騎士団に所属する事になったそうです。
魔拳という技能を初めて見て、モンクになるなら1度手合わせして貰いたかったのですが……
「キュアちゃん、どうかしましたか?」
「ジェネさん……あたし、プリーストになろうと思うのですが」
「ええっ!た、確かにキュアちゃんがここに入ってくれれば嬉しいし頼もしいんだけど……キュアちゃんの適正ならモンクの方がいいんじゃ?」
「自覚はあります、ですが……ジェネさん以外の神官がトゥグア様を侮辱している様で、それが我慢ならないのです」
「そう……解ったわ、なら私が色々教えてあげるわね」
「宜しくお願いします」
いつの間にかあたしの中にあったモヤモヤが無くなっていましたし、悪くない1日でしたね。
余談ですが夕飯を作るのが遅れてアプさんに怒られそうになりましたけど、エリナ様が事情を説明してくれたので助かりました。
あたしがプリーストになると知って熱があるのかと言われたのが解せませんけどね!
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