あたし、料理をする為に転生した訳ではないのですが?

ウサクマ

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首都で生活と資金稼ぎ

たまには何もない日常でも

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なんやかんやあってコカちゃんとも結ばれた翌日……転職まで後5日となりました。

まあ、受け入れはしましたが急激に何かが変わるといった変化はありませんでしたけど。

強いて言うならコカちゃんが暴走しなくなったぐらいでしょうか?

それはさておき、朝食の時間です。

メニューはご飯と干物、人参の塩揉み、そして念願の味噌汁です。

豆乳を作る余裕がなかったので具はワカメだけですがね。

「ああ、久しぶりの味噌汁……美味ぇ」

「ああ、これだよ……これを啜りたかったんだよ」

ロウも気に入った様で……デストさんに至っては涙まで流してますし。

とはいえ7年振りの故郷の味を味わったならそうもなる……んですかね?

「これがキュアの故郷の味って奴かい、酒を飲んだ後の締めに良さそうだねぇ」

シジミがあれば二日酔いの治療薬にもなりますよ……そういえばこの世界に来てから貝類を一切見掛けませんね。

まあ陸地のボリアにある訳がないし、ルイエじゃ魚を釣る事しか頭になかったし……迂闊でした。

「コカお姉ちゃん、人参食べないの?」

さっきから静かだと思ったらコカちゃんは人参を見て固まっていたのですね。

ナクアちゃんという前例もあってゼリーで改善出来たと思ってましたが、流石に人参そのものはまだ無理だった様ですね。

「仕方ありませんね……その人参を食べ切ったらキスしてあ」

「御馳走様……でした」

早っ!?

あっという間に人参が消えてしまいました……この手は暫く使えそうですね。

「キュアちゃん、キス……約束」

「約束は守りますが人前ではしませんよ」

あたしは出来ない約束はしませんし、約束は守る主義です。

だからって人前でする度胸はありませんよ……それにナクアちゃんが真似したら危ないですし。




「結局、キュアはコカを受け入れたんだねぇ……ありがとうよ」

「いえ、あたしも、っ何だかんだで、コカちゃんをっ、好きになって……しまいました、っし!」

コカちゃんにキスした後、アプさんと組手をしているのですが……話ながらってキツい!

何でアプさんは普通に話せて、って単純に実力の差ですよね!

一向に縮まる気がしないのですが、あたしとアプさんにどれだけの差があるというのですか?

「ほら、足元がお留守だよ!」

「うひゃっ!」

ぐぬぬ……足払いで転ばされてしまいました。

「今日はここまでにするよ」

「うう……はい」

やはり強い……流石はお義母さん。

「……受け入れておいて何ですが、本当に良かったのですか?その後の悲しみはアプさんが1番理解している筈ですが」

「コカにとってはキュアが初恋って奴だからねぇ……結果はどうあれ、悔いだけは残さない様にして貰いたかったんだよ」

コカちゃんはあたしが初恋だったんですね……

てっきりデストさん辺りかと思っていましたよ。

「それに、コカはあたいに似て1度決めた事は絶対に曲げたりはしないんだ」

何でそこだけはアプさんに似てしまったんですかね……

「その後の事は2人……いや、ロウも居るなら3人の問題か、悔いを残すか残さないかはあんた達次第だよ」

成程……見放す訳ではなく、かといって必要以上の干渉はしない、これがアプさん流の教育ですか。

参考にさせて頂きます。

「まあ、ロウにばかり構ってコカを疎かにしたらタダじゃおかないけどねぇ」

「安心して下さい、平等があたしのモットーです」

例外はありますけどね……クティとかクティとか、後はクティとか。




さて、昼食はコカちゃんが作る番でしたが……

メニューはパンにオムレツ、トマトじゃなくてレッドとチーズのサラダ、それに野菜のみじん切りをビフーの薄切りで巻いて焼いたのですね。

このビフー肉はいわゆるアスパラのベーコン巻きみたいな料理でしょうか?

「このサラダ……日本で食いたくても機会がなかった、あのサラダじゃないか?」

「ああ、確かにロウが好きだった漫画に出てきたあのサラダですね」

戦闘シーンや名言と妙に格好いいポーズ、それと途中から設定が加わった背後霊ばかり目立っていましたが……出てくる料理が全て美味しそうに描かれていたのはよく覚えています。

「あ、これはね……デストさんに習ったの」

「都合よくワカメが手に入ったからな……他の材料も揃っていたなら食うしかないだろ?」

「流石だぜ兄貴!」

デストさんもあの漫画を読んでいたのですね……確かに人気がありましたし、不思議でもないですが。

それにこれを食べてみたかったのは確かですし。

「そういえばこのサラダってアンチョビが必要では?」

「ああ、それは俺がサバの腹身で作ったアンチョビもどきで代用した」

成程、後でレシピを聞いて……次に海に行った時にでも作りましょう。

アンチョビは色々な料理に使えますし、覚えて損はないです。

「これは確か、チーズとトマトを一緒に……美味ぇ!」

「この世界じゃトマトじゃなくてレッドだけどな……ああ、美味ぇ」

こうして見ると本当の兄弟みたいですね……あ、美味しい。

「オムレツの中に緑色のお豆さんが入ってて美味しー!」

やりますねコカちゃん……枝豆は醤油で下味を付けてるからこのままで食べられます。

そしてビフーは……これも美味しいですね。

中身はタマネギとトウモロコシに味噌……他にも何か入っていますが、これは何でしょうか?

「これにはね……セローも、入ってるんだよ」

「デストさん……セローって何ですか?」

「ああ、セローは日本でいうセロリの事だ」

ゑっ……セロリ?

あたしが死ぬほど苦手なあのセロリですか?

「ちゃんと食べれたら……ボクとロウくんが……キス、してあげる」

成程、コカちゃんの目的はそれでしたか……誰ですかあたしの嫌いな物をコカちゃんに教えたのは!

って、日本での名前とこの世界での名前を知っていなければ不可能となれば……1人しか居ませんね。

しかしこれはトウモロコシのお陰かあの苦味を感じませんし、味噌のお陰で臭みもないです。

オマケにみじん切りだから固さも余り気にならないですし。

うん、こういう料理なら普通に食べれてしまいますね……だからって進んで食べようとは思いませんが。

とはいえロウとコカちゃんが同時にキスしてくれるチャンス……無駄にする訳にはいきませんから全部食べましたよ。



夕方……ロウとコカちゃんのキスを堪能したから後は夕飯の準備です。

クックー肉の皮を剥いだらくまなくフォークで刺して、リンゴ果汁に漬けて柔らかくして、水気を切ったら醤油とお酒で下味を付けて、と。

小麦粉をクックー肉に纏わせカラッと二度揚げすれば唐揚げの出来上がりです。

同時に縦長に切ったジャガイモも揚げてフライドポテトも作って、大量のタマネギの薄切りを炒め煮込んで作ったオニオンスープを添えればオカズの出来上がりです。

そして主食は……

「……よし、パスタが打てたぞ」

コカちゃんにあたしの嫌いな物をバラしたデストさんにパスタを作って貰いました。

あたしはうどんや中華麺は打てますが、パスタの打ち方は知らなかったので助かりましたよ……明日はピーマン使おうと思いましたが止めておきます。

こうなると蕎麦も食べたいのですが、肝心の蕎麦粉がないので諦めましょう。

パスタはシンプルに、クックーの皮を細切りにして炒めて油を出したらガリクのみじん切りとカプサイの輪切りを入れて……

茹でたパスタはガリクとカプサイを炒めた油にそのまま入れて、数種類のハーブのみじん切りを加えて塩で味付けしたら魚醤を少し垂らして混ぜれば出来上がりです。

一応ナクアちゃん用にカプサイ抜きのも作っておきます。

「鶏皮のペペロンチーノか……ベーコンがないのが悔やまれるな」

「個人的にミートソースにしたかったのですがひき肉を作る時間がなかったので……それに鶏皮を食べずに捨てるのは勿体ないではありませんか」

骨だってスープになるし、羽毛は布団や枕に、鶏冠だって素揚げすれば美味しく食べられますからね……どうせ食べるなら無駄を出したくないのです。

手に入るならモツだって食べたいのですが何故か何処にも売ってないんですよね。

「よし、それなら明日は俺が夕飯にミートソースを作ってやる」

「ならあたしは朝食に豆腐の味噌汁を作りましょう」

そうと決まれば豆乳を作る為にダイズ豆を水に漬けておきましょう。

明日は早めに起きなければいけませんね。




「このカラアゲとやらはかなり美味いな……いくらでも食べられそうだ」

王様は唐揚げを気に入った様で……日本じゃ嫌いな人を見付けるのが難しい料理なだけはあります。

戦争が起こる可能性があるからレモンは添えませんでしたが、マヨネーズとタルタルソースは用意しましたよ。

というかあたし、唐揚げにレモンを絞るのが嫌いなのです。

まあ、マヨネーズはアトラさん専用になってしまっていますがね。

「キュア、フライドポテトを追加してくれないかい?」

「アプさん、マリー様もオツマミなら後で用意しますから」

「タマネギだけでこんなに美味しいスープが出来るんだねぇ……」

翡翠さんはオニオンスープを気に入った様ですね。

厳密にはタマネギだけじゃないんですが……

「このパスタというのも美味しいですわ」

エリナ様ってこういうシンプルな料理の方が好きみたいですね……

まあ貴族や王族の食べる料理ってゴテゴテしてるイメージありますし……食べなれない料理が珍しいだけという気もしますけど。

それにしてもあたしが作るまで知らなかったとか言ってましたが、この世界には麺料理がないのでしょうか?

中力粉はあるのに……

「麺ならムリアって町にはラビオリに似てる料理があるぞ、それとレンの村では蕎麦の実を育ててたな」

「ラビオリも気になりますが蕎麦あったんですか!?」

「ああ、現地じゃクレープみたいにして食ってたぞ……蕎麦粉も売ってはいたがポクー並に高くて買えなかった」

そんなに高いのですか……まあ蕎麦粉があると解っただけでも収穫でしたね。

いざとなったら蕎麦の種だけでも手に入れてここで育てます。



夜……お風呂を済ませて後は寝るだけ、なのですが。

「キュアちゃん、一緒に寝よ?」

「それは構いませんが……寝てる時に頬や首筋をねぶるのは駄目ですよ?」

「じゃあ……子作り?」

「それこそ駄目ですよ!」

あたしの初めてをロウに捧げるのは決定事項です、例えコカちゃんのお願いでもそれだけは譲りません。

それに今ヤったら間違いなくトゥグア様の力で妊娠させてしまうでしょうし……

何せ子供は最低でも5人は授けるとか言ってましたから。

クティのモンスターはまだ6体も居ますし、戦力の低下は避けたいのです。

そもそもあたし達はまだ結婚出来る年齢じゃないですからね……そういう事は成人してからにしましょう。

ロウとなら今すぐでも構わないんですけど。

「じゃあ………キス、欲しいな」

「それくらいなら、まあいいでしょう」

今日は既に2回もしているのに……どんだけ欲しがりなんですか?

応えるのは吝かではありませんが。

明日は同じだけロウにキスして貰いましょう。




そして翌朝、目が覚めたらコカちゃんにキスされていたのですが……しかもガッツリと舌が絡んでますし。

「もう我慢……しなくて、いいんだよね?」

うん、首筋ねぶられるよりはマシですしそれはいいんですが……

心の準備とか色々ありますから、せめて許可を貰ってからにしましょうね?
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