あたし、料理をする為に転生した訳ではないのですが?

ウサクマ

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首都で生活と資金稼ぎ

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デストさんが失恋した直後ですが……今日はコカちゃんと2人きりで居る日です。

人気のない所でジッとしてると襲われそうだから町をうろついていますけど。

ナクアちゃんに乱入される可能性はありましたが、未然にロウとトウカが防いでくれました。

トウカには後でチーズを、ロウにはキスをあげましょう。

「キュアちゃんと、2人きりでデート……エヘヘ」

嬉しそうですねコカちゃん……確かに2人きりになる時はあれどデートはした事なかったんですが。

何せロウとですらつい最近が初デートでしたから。

「それじゃ……まずは、宿屋?」

「いきなり過ぎませんかね?それと今回は宿屋には行きませんからね?」

ロウとした事すらないんですから、それだけは断固として却下します。

初めての意味深専用の宿屋はロウと2人きり、これだけは何があろうと譲れません。

「………残念」

コカちゃんがこうなってしまったのは……やはりあたしのせいなのでしょうか?

最初から本心で向かい合っていれば違う結末になっていたのですかね?

考えても答えが出る訳じゃないのですが……うん、止めましょう。

あくまでも今日の目的はあたしの本心の確認と、コカちゃんの覚悟を知る事です。



まあ、買い物はその道のプロであるコカちゃんですからね……あの村ならもう少し高く売れるとか、この町ならもっと安く買える等々。

勉強にはなりますが2人きりでする事ではありませんね。

食事も……色んな店を回ってみた物の自分で作った方が美味しくなる、とか考えてしまってますし。

これなら家に居た方が良かったでしょうか?

「何でかな……デートというより、市場調査……してるみたい」

「ですね……あたしもそう思いました」

まあ、楽しくないかと聞かれたら……楽しいとは思っています。

認めましょう、あたしはいつの間にかコカちゃんも好きになってしまっていた様です。

1番がロウなのは代わりませんが、これであたしの気持ちは固まりました。

後は……




夕方……あえて人気のない郊外で2人きりになりました。


告白は人の目がない場所で、が定番ですからね。


襲われないかが心配ですが……流石に野外ではしないと信じます。

「キュアちゃん……どうして郊外に?」

「コカちゃんに聞きたい事があったのですよ」

うん、凄くドキドキします……

このドキドキは6歳の時にロウに告白した時と同じ物ですね……ファーストキスもその時にしました。

「コカちゃんの……というよりハーフエルフの寿命は人間の5倍はあると聞きましたが、合ってますか?」

「う、うん……長くても、300年ぐらいだよ」

この世界だと人間の寿命が平均して60前後と聞きましたから……大体合っていましたね。

「あたしは……色々言われてはいますけど普通の人間です、間違いなくコカちゃんより早く死んでしまうでしょう」

コカちゃんが唖然としてしまいましたが……ここで話を止める訳にはいきません。

寿命の違いによる死別……こればかりは種族の壁という物です、例えトゥグア様であろうと覆す事は出来ません。

いずれ当たる問題ならば先に問い質してしまいましょう。

「仮にあたしが60まで生きたとして……コカちゃんは残った240年をどうするつもりですか?」

気付いたのはアプさんに話を聞いた時でした。

アプさんだって色んな事を覚悟した上で人間の男性を愛し、結ばれた筈……

でもその時が来たら残ったのは深い悲しみとコカちゃんだったと言いました……

もしコカちゃんが居なかったら間違いなく後を追ってしまっていたとも。

「もしあたしの後を追うつもりだと言うなら……受け入れる訳にはいきません」

あたしが先に死んだとしても、あたしの愛した人には最後まで生き続けて欲しい……

これは単なるエゴかもしれませんが、あたしは一緒に死ぬのが愛だと思えないし、思いたくもありません。

因みに同じ様な内容をロウに言ったら「逆に俺が先に死んでも最後まで生きてくれ」って即答してくれました。

「……ズルいよキュアちゃん、そんな事言われたら……答え、1つしか……言えないよ」

「やっぱり……アプさんから聞いていたのですね?」

「うん、これはキュアちゃんに聞かれるだろうって……だから、先に考えておけ……って」

やはりアプさんの母親力は半端ないですね……いっそ明日からママと呼んでみましょうか。

……殴られる未来が容易に想像出来るので止めましょう。

精々お義母さん、ですね。

「ボク、キュアちゃんが死んでも……最後まで、生きるから……だから」

「……コカちゃんの覚悟、しかと聞きました」

コカちゃんの頬に触れながらゆっくりと顔を近付けて……

「流石に恥ずかしいので……目を、閉じて下さい」

「……うん」

この世界に来た時はまさかロウ以外にするとは夢にも思わなかったのですが……

このあたしが、自分の意思で……コカちゃんとキス、してしまいました。

流石に舌を入れるのは止めておきましたけど。

「……コカちゃんの覚悟が本物なら、あたしもコカちゃんを愛すると誓いましょう」

「キュアちゃん……あ、ありがとう!」

今度はコカちゃんからキスを……って何気に舌を入れる気満々ですし!

ですが甘いですね、あたしだって伊達にロウとキスをし続けていた訳ではありませんよ。

今のコカちゃんが、キスであたしからリードを奪えるとは思わない事です。




文字通りの舌戦を制した時には既に辺りが暗くなっていましたが……家は郊外の近くなので問題なく帰れました。

キスで腰の砕けたコカちゃんを背負いながら戦闘は出来ませんからね……

コカちゃんにはお姫様抱っこを希望されましたがそこは却下しました。

あたしだってされた事がないんですから。

まあ、帰りが遅いとアプさんに怒られましたけど。

それと見覚えのない人が居ましたが?

「あいつは翡翠っていうアルケミストで、あたいのちょっとした知り合いでねぇ……暫く暇だっていうからロウを鍛えて貰おうと思って呼んだんだよ」

成程……アプさんの知り合いなら信用出来ますね。

「という訳で暫く宜しくね……あ、これつまらない物だけど私の作った健康薬、水で200倍に薄めて飲むといいよ、凄く苦いけど体にはいいから」

水で200倍に薄めて……しかも苦い?

何処かで聞いた事がある様な……

「因みに原材料は何ですか?」

「海水、塩を取り除いて残った水分から作ったんだよ」

海水から作った苦い液体……間違いなくニガリじゃないですか!

これで豆腐が作れます!

更にデストさんは昆布とワカメを入手してくれていましたから味噌汁も作れますね。

とはいえ今からダイズ豆を水に漬けても昼まで豆乳には出来ませんし……豆腐の味噌汁は明後日までお預けです。
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