あたし、料理をする為に転生した訳ではないのですが?

ウサクマ

文字の大きさ
上 下
41 / 122
首都で生活と資金稼ぎ

一緒に料理して徹夜でした

しおりを挟む
カチコミが終わりクティの酒場に戻って来ましたが……

中では騎士の2人とメイドさん達が貴族の館で番人してた人達にお酒を振る舞っておりました。

……あの館に居た皆さんが何故ここに居るのですか?

というか何で騎士の2人はカチコミに来なかったのでしょうか?

「グヌット伯爵には奴隷商と繋がっている疑いがありましたから、あの2人にはメイドの護衛をして貰っていたのです」

成程……非戦闘要員の護衛は大事ですね。

「お、お帰りなさいませ!」

「あら、いい時に戻りましたわね……ちょっとキュアさん、こっちを手伝って下さいまし!」

言われるがままに厨房でオツマミを作ってはメイドさんに……

って何であたしは素直に手伝ってしまっているのでしょうか?

まあバイト代の代わりに無料タダで宿泊させて貰いますけど。

「所で、何で皆さんここに集まっているのですか?」

「だって酒場はここにしかないし、商店は閉まってるし」

そりゃ夜中ですからね……この世界にコンビニがある筈ないですから。

だからってこんな時間に来店しなくてもいいでしょうに。

「あのババア貴族が失脚してくれたお陰で仕事が増えそうだから前祝いを兼ねて」

捕らぬ狸のなんとやら、にならない事を祈っておきますね。

「というかクティ、こういう時は臨時休業にする物では?」

「仕方ないではありませんか、ウチには大喰らいが3人も居ますのよ!」

大喰らい……育成中のモンスターがスライムの他に2匹居るのですね。

今の内に倒してしまいたい所ではありますが、今回は見逃しておきましょう。

「なら代金は私が出しましょう、皆さん好きなだけ飲んじゃって下さいね」

「「「「「おおーっ!」」」」」

ちゃっかりマリー様やアプさんまで参加してしまっていますが……まあいいです。

精々美味しいオツマミを作らせて頂きましょう。

「って、ミラさんは飲まないのですか?」

「その……私は下戸ですので」

ああ、お酒が飲めない人でしたか。




翌朝……ようやく番人やってた人達が帰ってくれました。

マリー様とアプさんはまだ飲んでますけど……

「スミマセン、もうお酒も食材もないのでお開きに……」

「まあ結構飲んだし、あんな人数に出せばなくなるのも無理はないねぇ」

「では私達も帰りましょう……あ、お会計お願いしますね」

それにしてもこの2人……お酒に強過ぎですね。

苦手な物も同じでしたし、非常に良く似ています。

「えっと……あれとこれとそれの合計と、あのお酒の値段を合わせて、端数切り捨てで合計6800ハウトになりますわ」

日本だとこの50倍の代金になりますから……飲み過ぎですよ!?

「というかマリー様の私財から出しちゃっていいのですか?」

「お金は使ってこそ意味があるんですよ?」

それ……説明になっていないのですが?

「真面目な話、グヌット伯爵から押収した私財はハウトや美術品、水晶に宝石等を含めて総額を計算してからでなければ使えませんからね」

ミラさんの説明でようやく理解出来ました。

確かに貯めてるだけじゃ経済は回りませんよね……難しい理屈はサッパリですが。




「さて、帰ると言った物の2人は徹夜させてしまいましたし……少し寝ておきなさい」

「「ハッ!」」

徹夜明けの運転は危険だといいますからね……馬車も車には違いありませんし。

あたしのウェイクで誤魔化すのは可能ですが、反動が怖いですし止めておきましょう。

因みにメイドさん達とミラさんはしっかり眠っておりました……あたしだって寝てないのに。

「ならその間は……少し市場でも見てみるかねぇ」

「いいですね、ご一緒します」

アプさんとマリー様は市場を回るみたいですね、あたしも一緒に行ってみますか。

「キュアも少し寝ておきな、また一睡もしてないんだろう?」

今回の寝れなかった原因に言われるのは釈然としませんが……眠いのは確かですしお言葉に甘えましょう。

「ミラさんは寝ている皆さんの護衛を」

「解りました」

仮にも王様の夫人を放っていいのかと思いましたが……アプさんが近くに居るならまあ大丈夫でしょうね。

というかあのコンビに勝てるのはレイスかゴーストぐらいでしょうし、ってこれじゃフラグっぽくなってしまいますね。

うん、余計な事は考えずにさっさと寝てしまいましょう。




まあ、気が付いたら既に出発していましたけれど……やけに荷物が増えてますし。

アプさんとマリー様は馬車の中で酔い潰れていましたし。

どんだけ飲んだんですか!

「起きましたか?」

「ええ、起きました……頭痛い」

一体あたしはどれだけ寝ていたのでしょうか?

太陽が真上にあったのでそんなに長くはないと思いますけど。

「そういえばキュアさん、今回の件で転職も出来るそうですが……その後の予定はどうなっていますか?」

「予定ですか?全員が転職したらまた旅に出るつもりでしたが、デストさんはボリアに残る事になっています」

これは前から決まってた事ですが……

アプさんがデストさんの商品を売り尽くしてしまったのもあって、暫くはボリアの家で鍛治をしつつ情報収集をして貰い、何か解ればサーグァ様の分体を通して知らせて貰う事になりました。

ロウが物凄く淋しそうに、アトラさんは物凄く嬉しそうにしてましたよ。

「そうですか……デストはボリアに残るのですね」

あ、ミラさんも嬉しそうですね?

この分だとジェネさんもでしょうけど。

「前から聞きたかったのですが、ミラさんはデストさんの何処に惚れたのですか?」

「……ふぇっ!?」

「ギョウザの下りは聞きましたけど、それだけで結婚したがるとは考え難いので」

餃子が作れるだけで結婚するなら、あたしともしなくてはなりませんよ?

これ以上は勘弁して下さい、あたしはコカちゃんだけで手一杯ですから。

ロウは生まれた瞬間からあたしとの結婚が決まっていたのでいいんです。

「……デストには内緒にしておいて下さいね?恥ずかしいので」

「安心して下さい、その話は墓の下まで持っていきますから」






~女神視点~

「「「「「「「ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと……  ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと……」」」」」」」


なぜ……何でキュアさんを通して私の信者になった人達は、例外なくあの詠唱を唱えるのですか!?

女神力めがみぢからが増えるのは確かですけど、それと引き換えに私の正気度が下がっている気がするんですが!

元凶であるキュアさんをどうにかすれば解決すると思っていたのに……私が甘かったのでしょうか?

……はて、冒涜的な信仰の背後からアルラの気配が?

ああ、アルラの眷属……ハイドラの娘はそこを拠点にしていたのですか。

何をしているのかまでは解りませんね……おそらくアルラが張った結界でしょう。

現に今回の事がなければずっと気付けなかったでしょうし、暫くは様子を見るしかないですね。

『……久しぶりですね、トゥグア』

『ハイドラ?何で貴方がここに?』

というかいきなり背後から現れないで、ビックリするから。

『そういえばハイドラは先日私の世界で顕現した様ですが……昇神試験はどうしたのですか?』

『娘がトゥグアの世界で迷惑を掛けているし、辞退しました……これで残ったのは貴方とトゥールだけですよ』

トゥール……風と喜の女神。

とにかく動いてないと落ち着けない性格だけど、仕事が出来ない訳じゃないんですよね。

個神的こじんてきな意見だと私が不合格だった場合に備えてハイドラにこそ残っていて欲しかったのですが……

『身内の不祥事に巻き込んでしまったお詫びというつもりではないけれど、貴方の世界に居たロウという少年に少し力を貸そうと思いまして』

ああ、キュアさんのお兄さん……確かに彼の才能はハイドラの力と相性がいいですね。

『先日の顕現はその為でしたか』

『それで迷惑を承知でもう1つだけ、期限付きで私の眷属を貴方の世界に送りたいのですが』

『ハイドラの眷属……彼女を私の世界に?』

『ええ、幻獣使いについて教えるなら……幻獣使いに任せるのが1番でしょう?』

ふむ……少なくとも私に害はないし、ロウさんも強くなれるでしょうから断る理由がないですね。

アルラが何を仕掛けるか解らない以上、実力を上げておいて損はないでしょうし。

『解りました、幸い私の転生枠は後2つ余っていますし、問題はありません』

『ありがとう、せめて必要な魔力や神力は私が出します』

それは助かるのでお言葉に甘えちゃいましょう。

あ、でもこれだけは聞いておかないと。

『所でハイドラ……今回の件についての本音を隠していますよね?』

『本音なんて……トゥールの下に着くぐらいなら無に還った方がマシです!よって、私はトゥグアをサポートする事にしました……これでいいですか?』

やっぱり……ハイドラとトゥールはとにかく仲が悪いですからね。

まあ、私とアルラも他神事ひとごとじゃないんですけれど。

となるとアルラも今頃はトゥールに接触している可能性がありますね……唐突に負けたくなくなりました。

『そういえばトゥグア、私がサポートするからには貴方に合格して貰いたいのですが……アルラの妨害以外の問題はありますか?』

『そうですね……見て貰った方が早いでしょう』



「「「「「「「ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと……  ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと……」」」」」」」

『どうすればいいと思います?』

『……笑えばいいと思います』

つまり解決策はないって事ですね……グスン。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダークナイトはやめました

天宮暁
ファンタジー
七剣の都セブンスソード。魔剣士たちの集うその街で、最強にして最凶と恐れられるダークナイトがいた。 その名を、ナイン。畏怖とともにその名を呼ばれる青年は、しかし、ダークナイトをやめようとしていた。 「本当に……いいんですね?」 そう慰留するダークナイト拝剣殿の代表リィンに、ナインは固い決意とともにうなずきを返す。 「守るものができたからな」 闇の魔剣は守るには不向きだ。 自らが討った聖竜ハルディヤ。彼女から託された彼女の「仔」。竜の仔として育てられた少女ルディアを守るため、ナインは闇の魔剣を手放した。 新たに握るのは、誰かを守るのに適した光の魔剣。 ナインは、ホーリーナイトに転職しようとしていた。 「でも、ナインさんはダークナイトの適正がSSSです。その分ホーリーナイトの適正は低いんじゃ?」 そう尋ねるリィンに、ナインは平然と答えた。 「Cだな」 「し、C!? そんな、もったいなさすぎます!」 「だよな。適正SSSを捨ててCなんてどうかしてる」 だが、ナインの決意は変わらない。 ――最強と謳われたダークナイトは、いかにして「守る強さ」を手に入れるのか? 強さのみを求めてきた青年と、竜の仔として育てられた娘の、奇妙な共同生活が始まった。 (※ この作品はスマホでの表示に最適化しています。文中で改行が生じるかたは、ピンチインで表示を若干小さくしていただくと型崩れしないと思います。)

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

処理中です...