あたし、料理をする為に転生した訳ではないのですが?

ウサクマ

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首都で生活と資金稼ぎ

ロウの見た夢 ※ロウ視点

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「スゥ……」

「ミャー……」


……ん?

何だこの真っ白い空間は……

よく見たらこの世界に来る前に女神に会った時の場所によく似てる……ってか、そのまんまだな。

でもあの時と違って裸じゃないし、隣にキュアは居ない……つまりこれは夢か?

『夢ではありませんよ……どうしても話さなければならない事があり、貴方の精神だけを私の元へお呼びしたのです』

あの時と同じ様に女神様の登場……って誰だあんたは!

パッと見クティに似てる気がするんだけど、っていうかどうやって呼んだんだ?

『私はハイドラ、【水】と【怒】を司る女神……』

ああ、トゥグア様の同僚か……でも話って何なんだ?

何でいきなり正座してんだ?

『この度はクティが……私の娘が、皆様に大変ご迷惑をお掛けしました!』

おぅい!アンタはクティの母親だったのか!

道理で似てると思ったよ!

というか女神が人間に土下座するってのは不味くないか!




あー、あの時みたいに声が出せないって事は意識で会話する感じか……

えっと、落ち着きましたか?

『大変お見苦しい所をお見せしました』

別に俺は大した事されてないからいいんだが……

キュアの方が被害出てるし、謝るならキュアに……

『最初はあの娘の精神を呼ぼうと思ったのですが……予想以上の精神力と、トゥグアの加護が強過ぎて無理でした』

狂信者キュアだからな……まあ、俺が呼ばれた理由は納得した。

後日それとなく伝えておこう……

で、ふと気になったんですけど……何で水の女神の娘が地の女神の眷属をやっているんですか?

『人間にもよくある話でしょう……私と夫の厳し過ぎる教育に反発して家出してしまい、そのまま』

あー、大体解った。

その時のクティの気持ちは良く解ってしまうな……俺も親父には酷い目に合わされた挙げ句に殺されたから。

『今更あの子を連れ戻したいと言うつもりはありません……ですが、命だけは助けてあげて欲しいのです』

別に身内が殺された訳でもないしそれは構わないけど……

俺の実力じゃクティと戦った所で秒殺されるのがオチですよ?

……自分で言ってて悲しくなってきた。

『だからこそ少しでも力添えをしようと思い……私の世界から幻獣を貴方達の元へ向かわせました』

幻獣?

ゲームでいう召喚獣とかそんな感じの奴かな?

そんなの見た覚えはないんだが……

「貴方がトウカと名付けた猫の事で……正確に言うと猫ではなく聖霊の一種、シー・ケットシーという水魔法が得意な種族です」

え、トウカが幻獣だったのか!?

待てよ……動物に好かれない俺にトウカがなついたのは、動物じゃないからだったのか!

まあ可愛いからいいんだけど。

「ですが普通なら幻獣は契約していない者の頭に乗る程に心を開いたりはしないのですが……どうやらロウさんには幻獣使いの才能がある様ですね」

……その幻獣使いとやらについて詳しく教えて下さい。



「ふむ……もう少し教えたい事もありますがもう夜明けになりますね」

マジか……まだ聞きたい事があるんだが時間じゃ仕方ないか。

「私に話がある時に会える様にトウカを通せばいつでも応えられる様にしておきましたので安心して下さい……それとこれを」

成程、こうやってハイドラ様と面会しているのはトウカの能力か。

それでハイドラ様が差し出して来たのは……青い宝石が付いた指輪?

「それは契約の指輪という物で、幻獣との契約に必要となるマジックアイテムです……それ1つがあれば5体の幻獣と契約出来ますよ」

そりゃスゲェ……けど既にトウカが居るから後4体か。

この世界に幻獣が居るかどうかは知らないけど……

「最後にこれだけは教えておきましょう、幻獣とは白か黒の水晶を核にして生まれた存在の事を指します……つまりクティの作るモンスターは厳密にはモンスターではなく、幻獣に近い存在なのです」

成程……つまりクティの作ったモンスターとなら契約出来る可能性がある、と。

とはいえこれまでに見たのはタコと、喋るスライムだしなぁ……見た目に期待は出来ないか。

ん?でも何で近い存在?

「それは……あの子が未熟者だからです」

あー……家出したとか言ってたもんなぁ。

多分だけど必要な事は最小限にしか学んでないって事だろうな。

それでも充分強いと思うのは……俺だけだろうか?



「ん……朝か、ってやけに顔が蒸れるな?」

「ンミャー……」

トウカ……何で俺の顔の上で寝てるんだ?

息苦しいからせめて腹か胸辺りにしてくれ……っていつの間にかトウカに首輪が?

「これ、青い宝石が付いた首輪……って事は?」

慌てて右手の小指を見ればそこにはハイドラ様に貰った指輪……夢じゃなかったんだな。

「キュアを守れるぐらい強くなる為に……探してみるか、幻獣を」




余談だがトウカの首輪には誰も触れなかったにも関わらず……

俺の小指に嵌められた指輪を見たキュアから浮気を疑われた……解せぬ。

俺にはキュア以外の相手が居ないってのに!

「ナクアちゃんを膝に乗せながら言っても説得力がありませんし、犯罪に見えますが?」

「ロウお兄ちゃん、悪い事したの?」

「いやしてないからな?」
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