あたし、料理をする為に転生した訳ではないのですが?

ウサクマ

文字の大きさ
上 下
35 / 122
首都で生活と資金稼ぎ

信仰心にツッコミされました

しおりを挟む
カチコミまで後4日となりました……

今日はジェネさんがヒーラーの魔力を増やす方法を教えてくれると言っていたのでお言葉に甘えようと神殿へ向かいます。

というのも……魔力を増やすには知識を増やすのが1番と聞いたから暇を見つけてはコカちゃんと一緒に本を読んだりしてましたが、あたしの魔力は大して増えなかったのです。

具体的には初歩的な回復魔法であるヒールがギリギリで1回使えるぐらいしか増えませんでした。

……決してカタカナしかない書面が読み辛くて眠ってしまうからではありませんよ。

コカちゃんはマジシャンとヒーラーでは必要な事が違うのかもしれない、と言ってましたし……本職に聞けるなら願ってもないです。

まあ条件としてデストさんを一緒に連れて行く事になりましたがね。

「はぁ……まさかこんな形でジェネの居る神殿に行く羽目になるとは思わなかったぜ」

「巻き込んだのは申し訳ありませんが、あたしも出来る限り強くなりたいのです」

肉体的な強さは日々の修練を積むしかない以上、後は魔力を鍛えるしかありませんからね。

特に最近は組手の他は料理しかしてませんし。

「ま、料理に関しては俺にも原因があるし……ジェネが来いと言ったんなら最悪の展開はないだろ」

出来ればロウも連れて来たかったのですが……ロウはミラさんに連れられて修行に行ってしまったので無理でした。

ってミラさん、護衛はどうしたんですか?

「でも何でミラはロウを連れてったんだろうな?」

「ロウはデストさんを兄貴と呼んでますから、実の弟だと思ったのでは?」

「あ、そういう……」

意中の人を墜とすならまず外堀を埋めるという考えは解らなくはないです。

あたしも相手が双子の兄でなければそうしていたでしょう。

最近忘れられがちですがあたしとロウは双子ですからね?



「お待ちしておりました、ようこそ炎の神殿へ」

到着すると同時にジェネさんが迎えてくれました……炎の神なら間違いなくトゥグア様の事でしょうからまずは一安心です。

「おいジェネ、何で俺まで呼んだんだ?」

「私が会いたかったからよ?」

うん、神殿の中でイチャイチャするなと言いたい所ですが……崇めてる神がトゥグア様ならもっとやらねば逆に失礼ですね。

何せラブコメが大好物と公言なさってましたから。

「では早速抗議から始めましょう、聖堂へ案内しますね」

抗議……余り長いと眠くならないかが心配ですが【ウェイク】で乗りきれれば何とか。

「因みに聖堂ではいかなる魔法も使えなくなりますよ?」

……気合で乗り切るしかなさそうですね。




流石に聖堂というだけあって神聖な力が満ちている気がします……

奥に見える女神の像はトゥグア様ソックリだし……そりゃトゥグア様を崇めているなら当然ですよね。

「これは基本的な事ですが、ヒーラーは修行僧とも呼ばれています……私達は神の声を聞き、神の力を借りる事で始めて魔法が使えるのです」

成程、つまりあたしの魔法はトゥグア様の力を借りて使っているのですね。

「勿論自分自身に魔力がなければ幾ら力を借りようと使えません……キュアちゃんは確かマジシャンの仲間が居ましたね?」

「はい、それで本などで知識を増やしてはいましたが」

「それはそれで必要な事ですから今後も継続して下さいね?ただヒーラーの場合もう1つ大事な物があります」

大事な物……それは一体?

「ヒーラーに必要な物は魔力、そして信仰心です……とはいえただ崇めるだけなら誰にでも出来ますが、そこに感謝や尊敬といった想いを強く込める必要があります」

あたしはトゥグア様に感謝と尊敬はしていますが……まだまだ足りない、という事ですか。

「でも魔力だけが高くても信仰だけが高くてもいけません、この2つのバランスが大事なんです」

それで継続しろと仰ったのですね。

「とはいえキュアちゃんの信仰心は問題なさそうですけど……ミラに聞いた話だとサンクチュアリを発動しても支援魔法が使えて、しかも普通に動いてたみたいだし」

「え?普通に出来るのではないですか?」

「私も発動中に動けなくはないけど、出来る様になったのはプリーストになってからですよ……ですが発動中に支援魔法なんて、私はおろか大神官様でも不可能です」

「因みにモンクになった場合、ヒーラーである間に覚えた魔法は使えるが上達する事はないからな……発動中に動くなんて不可能だぞ」

どうやらあたしは知らない内にとんでもない事をやらかしていた様ですね……

「後問題があるとすれば何らかの理由でキュアちゃんには神の力が充分に伝わっていない、でしょうか?」

何らかの理由……あのアバズレの仕業でしょうか?

今度会ったら一撃入れてやりましょう。

「もしくは祈り方に問題があるのかも……ここでいつもの様に祈ってみて貰えますか?」

「解りました」

あたしの祈りに問題があるとは思えませんが……まあやってみましょう。





「ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと うがあ ぐああ なふる たぐん…… ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと うがあ ぐああ なふる たぐん……」

「な、何て冒涜的な詠唱……って、問題しかないじゃないですか!?」

「ロウから話には聞いてたが……これは酷い」

ふぅ……今一ピンと来ませんがこれでいい筈です。

「おい嬢ちゃん……その詠唱は何だ?」

「詠唱……とは?」

「あ、無自覚なんですね……ですがこれで魔力が増えにくい原因は大体解りました」

「アレで解ったのか?」

「たまに居るんですよね、信仰心が強過ぎるせいで狂気に達してしまう人が……そういった方々は何をしても神に感謝してしまうから、結果的に信仰心が増え続けて逆効果になるんです」

「あー……いわゆる狂信者って奴か」

さっきから聞いていれば……まるであたしが狂信者みたいな言い方ですね。

「キュアちゃん、私が今から言う事は必ず毎日実行する様に……いいですね?」

「あ、はい……解りました」

何という凄み……これは従うしかありませんね。




「………ふぅ」

ジェネさんに言われた魔力を増やす為にするべき事として……

・祈りを声に出してはいけない

・終わるまで口を開けてはいけない

・終わるまで動いてはいけない

以上を意識しながら祈れとの事でしたが、本当に効果があるのでしょうか?

まあ先達のお言葉だし駄目で元々って奴です、今は信じてみましょう。




「おかしい……キュアが女神様に祈る時間なのに、いつものあの詠唱が聞こえなかったぞ?」

「う、うん……キュアちゃん……一体、どうしちゃったの?」

「何か変な物食った……訳ないよねぇ?」

「何で嬢ちゃんは今の方が異常みたいな扱いをされてんだ?」




~その頃の女神~

『ふぅ、何とかなりましたか……強引な手段を使ってまでジェネさんに神託を出した甲斐がありました』

ああ……これであの冒涜的な詠唱から解放されればいいのですが。

確かに私の女神力めがみぢからは急激に増えましたがアレはちょっと……ねぇ?

でもこれでキュアさんの魔力は増えてくれるでしょう。

それにしてもキュアさんには本来ならばウォリアーかファイターになって貰って、私の加護を込めた剣を使って貰いたかったのに……

どういう訳かキュアさんは私への信仰心だけでプリーストの適性を限界以上に高めてしまって……どうしてこうなったのでしょうか?

幸か不幸か上位職は自分で選べますし、本人はモンクになるつもりみたいだから専用の武器をデストさんに作って貰えばいいですね。

そうと決まれば早速デストさんに……そうだ、いっそツァトゥからデストさんに神託を下して貰いましょう。

勝手に私の世界に転生させたんだし、それぐらいはやって貰わないといけませんよね?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダークナイトはやめました

天宮暁
ファンタジー
七剣の都セブンスソード。魔剣士たちの集うその街で、最強にして最凶と恐れられるダークナイトがいた。 その名を、ナイン。畏怖とともにその名を呼ばれる青年は、しかし、ダークナイトをやめようとしていた。 「本当に……いいんですね?」 そう慰留するダークナイト拝剣殿の代表リィンに、ナインは固い決意とともにうなずきを返す。 「守るものができたからな」 闇の魔剣は守るには不向きだ。 自らが討った聖竜ハルディヤ。彼女から託された彼女の「仔」。竜の仔として育てられた少女ルディアを守るため、ナインは闇の魔剣を手放した。 新たに握るのは、誰かを守るのに適した光の魔剣。 ナインは、ホーリーナイトに転職しようとしていた。 「でも、ナインさんはダークナイトの適正がSSSです。その分ホーリーナイトの適正は低いんじゃ?」 そう尋ねるリィンに、ナインは平然と答えた。 「Cだな」 「し、C!? そんな、もったいなさすぎます!」 「だよな。適正SSSを捨ててCなんてどうかしてる」 だが、ナインの決意は変わらない。 ――最強と謳われたダークナイトは、いかにして「守る強さ」を手に入れるのか? 強さのみを求めてきた青年と、竜の仔として育てられた娘の、奇妙な共同生活が始まった。 (※ この作品はスマホでの表示に最適化しています。文中で改行が生じるかたは、ピンチインで表示を若干小さくしていただくと型崩れしないと思います。)

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

処理中です...