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首都で生活と資金稼ぎ
おやつの時間です
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来週に王様達のカチコミに同行が決まったので、それまではゆっくりする事になりました。
とはいえただ待ってるだけなのは退屈ですし、留守番をしてくれるナクアちゃんを労う為に何かしようと思ってナクアちゃんの好物であるチーズ、それとトウモロコシを買って来ましたよ。
アトラさんの方は……デストさんと2人きりになれる時間を作れば満足してくれるでしょう。
後は牛乳と卵、それとデストさんにお願いした物が来ればナクアちゃんが喜びそうなオヤツを作れます。
「ふぅ……嬢ちゃん、パン屋の親父からバター貰って来たぞ」
「ありがとうございますデストさん」
この世界のバターはビフーを育てている農家が細々と作る物しかなく、ほぼ全てパン屋に卸されてしまうので中々手に入らないのです。
自前で作れなくもないですが時間が掛かりますし、デストさんは農家やパン屋にコネがあったので頼らせて頂きました。
「にしてもこの材料でデザートねぇ……何を作るんだ?」
「プディングです」
「プディングか……あれ結構手間が掛かるんじゃないのか?」
「そうでもないですよ、まあやって見せましょう」
作り方は簡単です、チーズは粉にしてそれ以外の材料をすり鉢と擂り粉木で潰し混ぜ、2つをよく混ぜたらバターを塗った型に流して……
後はオーブン……はないから熱した石窯で焦げ目が出来るまで焼けば出来上がりです。
ミキサーがあればより早く出来るんですけど、その内誰かが開発してくれませんかね?
「いや、俺を見るなよ……確かにミキサーは欲しいと何度も思ったが、流石に無理だ」
残念ですね……
よし、焼けました。
早速味見をしましょう。
「おお、確かにこれは甘いな」
「チーズの塩気を感じるけど間違いなくデザートだわ……美味ぇ」
よし、好評ですね……この世界のトウモロコシは日本のスイートコーンに近い様です。
ひょっとしてもぎたてなら生で食べられるんじゃないでしょうか?
うん、機会があったら試してみましょう。
何にせよこれならナクアちゃんも喜ぶでしょう……多分。
暫く留守にしますし、ご機嫌取りをしないとコッソリと付いて来かねませんからね。
「……すまん、久しぶりの甘味に夢中で全部食っちまった」
「構いませんよ、それを見越して材料は余分に買っておきましたから」
「作り方は見てて覚えたから手伝うぞ……半分は俺が食ったんだし」
デストさんのお陰で何とかオヤツの時間に人数分用意出来ました……
既に食べたロウとデストさんは本人達の希望で半分ですけども。
「美味いじゃないか、酒には合わなそうだが悪くないねぇ」
この前棒きなこもどきを作った時も思いましたけどアプさんって酒飲みにしては甘い物好きですよね……
今まで酒飲み=辛党ってイメージがあったのですが、それはあたしの偏見だった様ですね。
「姐さんは元々甘党だからな……酒は死んだ旦那に付き合ってる内に好きになったとか言ってぐふぉっ!」
「デスト、余計な事は言うんじゃないよ」
アプさん、照れ隠しで大盾を投げつけるのはどうかと思います。
「だ、大丈夫か兄貴?」
「あ、ああ……荷車投げつけられた時に比べりゃ何て事はないぜ」
荷車投げつけられるってどういう状況だったのでしょうか……怖いから聞きませんけど。
アプさんは絶対に怒らせない様にしましょう。
そういえば肝心のナクアちゃんは……
「おかわりー!」
気に入ってくれた様で何よりです。
とはいえおかわりは用意してないので……あたしのを半分あげましょう。
余談ですがお土産は何がいいかと尋ねたらプディングをまた食べたいと言われました……
帰ったら頑張って作らせて頂きます。
よし、調子に乗ってもう1つ作ってみましょう。
「今まで料理していて思ったのですが、この世界の野菜はやけに甘くないですか?」
「ああ、この世界は日本と違って全てが無農薬栽培だからな……アレが野菜本来の味って奴なんだろ」
となるとトウモロコシ以外にも使えそうな野菜があるかもしれませんね。
「ってか大半は緑の水晶で成長を早めてる筈だけど……あれって味に影響はないのか?」
「俺も気になって食べ比べてみたが全く同じ味だったぜ、無論体にも害はないぞ」
既に検証済とは、やはりデストさんは頼りになります。
甘い野菜……よし、ニンジンでデザートを作りましょう。
「ニンジンか……確かお嬢が唯一食えない野菜だった筈なんだが」
そういえば前にヤマンでそんな事を言ってましたね……美味しいのに。
「俺も何度か工夫してみたんだが一向に改善出来なかったんだよなぁ」
「そんな昔から食えなかったのか……まあ俺も小豆の餡子が苦手だし気持ちは解らなくもないんだけど」
「俺もピーマンが食えないから強く言えなかった、ってのも原因の1つかもしれん」
デストさんはピーマンが苦手だったのですか……意外な弱点を知ってしまいましたね。
今後もお世話になりますからピーマンは使わない様にしましょう。
「因みにキュアはセロリが食えない」
「ロウ、なんであたしを巻き込んだのですか?」
事実ではありますけども!
あんな固くて苦くて臭い葉っぱや茎を平気で食べられる方がどうかしてるんです。
「そういや姐さんもキノコがにがごふぅっ!」
どこからともなく酒瓶が飛んで来てデストさんに直撃した!?
……うん、この話題は止めましょう。
それとアプさんが居る時にキノコを使うのは止めておきます。
さて、やると決めたからには最後までやりましょう。
用意したのはニンジンとリンゴとオレンジ、何故かデストさんが持っていたゼラチンです。
「なあ兄貴……ゼラチンなんてどうやって作ったんだ?」
「俺の職業はスミスだって言ったろ?それで接着剤が欲しい時があったんだが……当然この世界にはなくて、それで授業で聞いた気がした膠ってのを作ろうとしたら偶然な」
デストさんは失敗まで役に立ってくれますね……
アトラさんが惚れたのも解る気がします。
それはともかく、調理を始めましょう。
ニンジンはすりおろして、リンゴとオレンジは握ってジュースにして、お湯でふやかしたゼラチンを混ぜて涼しい場所に放置して、固まれば完成です。
「成程、オレンジゼリーならニンジンの影も形も解らなくなるな……おまけに砂糖なしでも甘いし美味ぇ」
「何気にリンゴを握って絞ってたのが怖いんだが……嬢ちゃんは本当にヒーラーなのか?美味いけど」
失礼な、れっきとしたヒーラーですよ。
ちょっと前に出て殴る場面が多いだけです。
最近は殴るより料理してる方が多い気がしますが……きっと気のせいでしょう。
「これ……美味しい」
「キュアお姉ちゃん、これも美味しいよ!」
よし、ゼリーも好評ですね。
デストさんには余裕があった時にでもまたゼラチンを作って貰いましょう。
「別に作るのは構わないが手間がかかるし、次からは有料だぜ?」
流石に無料とは行きませんか……せめて割引はして下さいね?
「所でキュア、これ材料は何を使ったんだい?」
「オレンジとリンゴとニンジンで……あ、しまった!」
うっかり口を滑らせてしまったせいでコカちゃんが固まってしまいました……
「これ、ニンジン……なの?」
ああ、コカちゃんがニンジンと知ってガタガタと震えて……ってデストさんがコカちゃんに近づいた?
「……なあお嬢、それはキュアの嬢ちゃんがお嬢の為に作った物だ」
プディングはともかく、そのゼリーはコカちゃんの為ではなく単にあたしが甘い物を食べたくなったから作ったのですが?
まあ、言わないでおきましょう。
「さっきまでお嬢も美味いと言っていただろう?どうだ、ニンジンは……不味いか?」
「ううん、美味しい……よ」
ニンジンと知っても美味しいと再び食べだしましたが……何故かアプさんが泣き始めてしまいましたよ。
この世界の親は子供の好き嫌いが改善されたら泣かなきゃいけない決まりでもあるんでしょうか?
「キュアちゃん……ボクの為に……エヘヘ」
この誤解は……解かない方が良さそうですね。
なお、翌日の朝に目が覚めたら真横に真っ赤な顔をしながらモジモジしているコカちゃんが居たのですが……何もしてないですよね?
あたしの頬の一部と首筋に艶があるのは気のせいですよね?
気のせいだと言って下さい、お願いだから!
「うん、ちょっと抱き締めてた……だけだよ?」
せめてあたしの目を見て言ってくれませんかねぇ!?
とはいえただ待ってるだけなのは退屈ですし、留守番をしてくれるナクアちゃんを労う為に何かしようと思ってナクアちゃんの好物であるチーズ、それとトウモロコシを買って来ましたよ。
アトラさんの方は……デストさんと2人きりになれる時間を作れば満足してくれるでしょう。
後は牛乳と卵、それとデストさんにお願いした物が来ればナクアちゃんが喜びそうなオヤツを作れます。
「ふぅ……嬢ちゃん、パン屋の親父からバター貰って来たぞ」
「ありがとうございますデストさん」
この世界のバターはビフーを育てている農家が細々と作る物しかなく、ほぼ全てパン屋に卸されてしまうので中々手に入らないのです。
自前で作れなくもないですが時間が掛かりますし、デストさんは農家やパン屋にコネがあったので頼らせて頂きました。
「にしてもこの材料でデザートねぇ……何を作るんだ?」
「プディングです」
「プディングか……あれ結構手間が掛かるんじゃないのか?」
「そうでもないですよ、まあやって見せましょう」
作り方は簡単です、チーズは粉にしてそれ以外の材料をすり鉢と擂り粉木で潰し混ぜ、2つをよく混ぜたらバターを塗った型に流して……
後はオーブン……はないから熱した石窯で焦げ目が出来るまで焼けば出来上がりです。
ミキサーがあればより早く出来るんですけど、その内誰かが開発してくれませんかね?
「いや、俺を見るなよ……確かにミキサーは欲しいと何度も思ったが、流石に無理だ」
残念ですね……
よし、焼けました。
早速味見をしましょう。
「おお、確かにこれは甘いな」
「チーズの塩気を感じるけど間違いなくデザートだわ……美味ぇ」
よし、好評ですね……この世界のトウモロコシは日本のスイートコーンに近い様です。
ひょっとしてもぎたてなら生で食べられるんじゃないでしょうか?
うん、機会があったら試してみましょう。
何にせよこれならナクアちゃんも喜ぶでしょう……多分。
暫く留守にしますし、ご機嫌取りをしないとコッソリと付いて来かねませんからね。
「……すまん、久しぶりの甘味に夢中で全部食っちまった」
「構いませんよ、それを見越して材料は余分に買っておきましたから」
「作り方は見てて覚えたから手伝うぞ……半分は俺が食ったんだし」
デストさんのお陰で何とかオヤツの時間に人数分用意出来ました……
既に食べたロウとデストさんは本人達の希望で半分ですけども。
「美味いじゃないか、酒には合わなそうだが悪くないねぇ」
この前棒きなこもどきを作った時も思いましたけどアプさんって酒飲みにしては甘い物好きですよね……
今まで酒飲み=辛党ってイメージがあったのですが、それはあたしの偏見だった様ですね。
「姐さんは元々甘党だからな……酒は死んだ旦那に付き合ってる内に好きになったとか言ってぐふぉっ!」
「デスト、余計な事は言うんじゃないよ」
アプさん、照れ隠しで大盾を投げつけるのはどうかと思います。
「だ、大丈夫か兄貴?」
「あ、ああ……荷車投げつけられた時に比べりゃ何て事はないぜ」
荷車投げつけられるってどういう状況だったのでしょうか……怖いから聞きませんけど。
アプさんは絶対に怒らせない様にしましょう。
そういえば肝心のナクアちゃんは……
「おかわりー!」
気に入ってくれた様で何よりです。
とはいえおかわりは用意してないので……あたしのを半分あげましょう。
余談ですがお土産は何がいいかと尋ねたらプディングをまた食べたいと言われました……
帰ったら頑張って作らせて頂きます。
よし、調子に乗ってもう1つ作ってみましょう。
「今まで料理していて思ったのですが、この世界の野菜はやけに甘くないですか?」
「ああ、この世界は日本と違って全てが無農薬栽培だからな……アレが野菜本来の味って奴なんだろ」
となるとトウモロコシ以外にも使えそうな野菜があるかもしれませんね。
「ってか大半は緑の水晶で成長を早めてる筈だけど……あれって味に影響はないのか?」
「俺も気になって食べ比べてみたが全く同じ味だったぜ、無論体にも害はないぞ」
既に検証済とは、やはりデストさんは頼りになります。
甘い野菜……よし、ニンジンでデザートを作りましょう。
「ニンジンか……確かお嬢が唯一食えない野菜だった筈なんだが」
そういえば前にヤマンでそんな事を言ってましたね……美味しいのに。
「俺も何度か工夫してみたんだが一向に改善出来なかったんだよなぁ」
「そんな昔から食えなかったのか……まあ俺も小豆の餡子が苦手だし気持ちは解らなくもないんだけど」
「俺もピーマンが食えないから強く言えなかった、ってのも原因の1つかもしれん」
デストさんはピーマンが苦手だったのですか……意外な弱点を知ってしまいましたね。
今後もお世話になりますからピーマンは使わない様にしましょう。
「因みにキュアはセロリが食えない」
「ロウ、なんであたしを巻き込んだのですか?」
事実ではありますけども!
あんな固くて苦くて臭い葉っぱや茎を平気で食べられる方がどうかしてるんです。
「そういや姐さんもキノコがにがごふぅっ!」
どこからともなく酒瓶が飛んで来てデストさんに直撃した!?
……うん、この話題は止めましょう。
それとアプさんが居る時にキノコを使うのは止めておきます。
さて、やると決めたからには最後までやりましょう。
用意したのはニンジンとリンゴとオレンジ、何故かデストさんが持っていたゼラチンです。
「なあ兄貴……ゼラチンなんてどうやって作ったんだ?」
「俺の職業はスミスだって言ったろ?それで接着剤が欲しい時があったんだが……当然この世界にはなくて、それで授業で聞いた気がした膠ってのを作ろうとしたら偶然な」
デストさんは失敗まで役に立ってくれますね……
アトラさんが惚れたのも解る気がします。
それはともかく、調理を始めましょう。
ニンジンはすりおろして、リンゴとオレンジは握ってジュースにして、お湯でふやかしたゼラチンを混ぜて涼しい場所に放置して、固まれば完成です。
「成程、オレンジゼリーならニンジンの影も形も解らなくなるな……おまけに砂糖なしでも甘いし美味ぇ」
「何気にリンゴを握って絞ってたのが怖いんだが……嬢ちゃんは本当にヒーラーなのか?美味いけど」
失礼な、れっきとしたヒーラーですよ。
ちょっと前に出て殴る場面が多いだけです。
最近は殴るより料理してる方が多い気がしますが……きっと気のせいでしょう。
「これ……美味しい」
「キュアお姉ちゃん、これも美味しいよ!」
よし、ゼリーも好評ですね。
デストさんには余裕があった時にでもまたゼラチンを作って貰いましょう。
「別に作るのは構わないが手間がかかるし、次からは有料だぜ?」
流石に無料とは行きませんか……せめて割引はして下さいね?
「所でキュア、これ材料は何を使ったんだい?」
「オレンジとリンゴとニンジンで……あ、しまった!」
うっかり口を滑らせてしまったせいでコカちゃんが固まってしまいました……
「これ、ニンジン……なの?」
ああ、コカちゃんがニンジンと知ってガタガタと震えて……ってデストさんがコカちゃんに近づいた?
「……なあお嬢、それはキュアの嬢ちゃんがお嬢の為に作った物だ」
プディングはともかく、そのゼリーはコカちゃんの為ではなく単にあたしが甘い物を食べたくなったから作ったのですが?
まあ、言わないでおきましょう。
「さっきまでお嬢も美味いと言っていただろう?どうだ、ニンジンは……不味いか?」
「ううん、美味しい……よ」
ニンジンと知っても美味しいと再び食べだしましたが……何故かアプさんが泣き始めてしまいましたよ。
この世界の親は子供の好き嫌いが改善されたら泣かなきゃいけない決まりでもあるんでしょうか?
「キュアちゃん……ボクの為に……エヘヘ」
この誤解は……解かない方が良さそうですね。
なお、翌日の朝に目が覚めたら真横に真っ赤な顔をしながらモジモジしているコカちゃんが居たのですが……何もしてないですよね?
あたしの頬の一部と首筋に艶があるのは気のせいですよね?
気のせいだと言って下さい、お願いだから!
「うん、ちょっと抱き締めてた……だけだよ?」
せめてあたしの目を見て言ってくれませんかねぇ!?
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