あたし、料理をする為に転生した訳ではないのですが?

ウサクマ

文字の大きさ
上 下
16 / 122
首都に向かって

信仰が奇跡を喚びました

しおりを挟む
コカちゃんに色々聞いた翌日……正直眠いです。

うん、今夜からはちょっと見張りのローテーション変えて貰いましょう。

それはそうと一大事です、死よりも辛い危険が……貞操の危機が迫ってます。

あたし達は現在盗賊に絡まれてしまっているのですが……

それも全員が豚野郎……もとい豚の顔をしている人、いわゆるオークな盗賊が3人です。

「おいおい、今回はアタリじゃねぇか?」

「ああ……性的に喰ってよし、売ってよし、しかも全員見た目がいい」

「よし、俺はあのちっこいエルフを貰うぜ」

「なら俺はあの赤い髪の女だ」

「そこの少年……俺とやらないか?」

うん、キモい!

オークというモンスターは何処の世界でも変わらないのでしょうか?

後最後のはあたしではなくロウを見てますが……そういう趣味なんですか?

雰囲気も何故か青いツナギが似合いそうですし……うん、同性愛者のオークとか想像もしてませんでしたが居ても不思議じゃないですね。

間違ってもあたしが女の子に見えないとかじゃないですよね……ないですよね?

「一応言っておきますけど、この世界はオークにも人権がありますからね?倒しても水晶にはなりませんよ?」

「え、マジですか……あれ人間扱いですか?」

「あいつ等が落ちる所まで落ちてるだけで、真面目に働くオークだっているんだよ」

「うん、色んな町で……荷運びとか……建築みたいな、力仕事をしてるの……見かけるよ」

成程……オークというだけの理由でモンスター扱いしたのは早計でしたね。

考えてみれば神や女神が邪神の名前なこの世界ですし……これからは注意しましょう。

「ま、コカを狙う奴は叩きのめしておかないとねぇ……ロウも男なら自分のケツは自分で守りな!」

「わ、解った!?」

ふむ、ならばあたしはサーグァ様を狙う不埒者を殴りましょうかね。

とか考えていたのですが……

「大丈夫、今回は……ボクがやるから」

そういえば今までコカちゃんの戦い方は見ていませんでしたね……

ある意味いい機会ですから見せて頂きましょう。

「……【バーストレイン】!」

はい、コカちゃんの魔法ですね……文字通り炎の弾が雨の様に降り注いでます。

しかも一発一発が非常に強力らしく、オーク達は当たっては悶絶を繰り返していますね。

なのに近くに居た筈のあたし達にはかすりもしないという……

「何でかな……さっきから炎の弾が俺の頬とか肩を掠めてくんだけど?」

訂正します、ロウにだけかすりはしている様です。

「えっと、ワザとじゃ……ないよ?」

「いや、そんなの疑ったりはしてないんだが……」

もしかしてコカちゃんはあたしの好意を一身に受け取っているロウに内心嫉妬していたのでしょうか?

それが魔法に影響を及ぼしたと……

もうあたしへの愛情を消せないのなら適度に構ってあげた方がいいですね。

ロウの安全の為にも!




「「「ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと うがあ ぐああ なふる たぐん…… ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと うがあ ぐああ なふる たぐん……」」」

あの後あっさり改心したオーク達は必死な命乞いをしてたのでトゥグア様の信者になって頂きました。

ルイエじゃ信者を得られなかった上に干物も味が薄いと一蹴しやがりましたからね……あの塩の塊より美味しいでしょうに!

幸いツナギが似合いそうなオークは元料理人だったそうですから、この人達にレシピを渡してルイエで干物を作り続けて頂きましょう。

これで一々ルイエに行かずとも干物を供給出来ますね。

「段々この光景に違和感を感じなくなった自分が嫌だ……」

「いつもこうなのかい?」

「大丈夫、キュアちゃんは……変わらずに可愛いよ」

「コカさんはもう少し回りに目を向けた方がいいですよ?」

うん、あたしもそう思います。

具体的にはあたし以外の誰かに惚れてくれると助かります。

「「「ふんぐるい むぐるうなふ……あれ?」」」

おや、何かあったのでしょうか?




「……そろそろ神託を贈れるかと思っていたら我が身ごと降れてしまうとは思いませんでした」

「ね、姉さん!?」

祈りを捧げていたらトゥグア様が現れた!?

というか御光臨なさったのは嬉しいですが昇神試験はいいのでしょうか?

「ああ、今回の事は信者の起こした奇跡ですから試験には影響しませんよ」

ナチュラルにあたしの思考を読むトゥグア様……流石です。

「それはそうと久しぶりですねキュアさん……あ、先日は水晶と一緒に干物をありがとうございます、美味しかったですよ」

「いえいえ、大した物でなくて申し訳ありませんです」

「水晶ってあの黒いのか……いつの間に送ったんだ?」

「ルイエを立つ前にサーグァ様が仮の祭壇を建てて下さいましたので、その時に」

「え……それこそ、いつの間に?」

「それにしてもあれが女神ねぇ、確かにサーグァ様ソックリだ……もっと禍々しいの想像してたよ」

アプさんそれは失礼ですよ!

「と、そうでした……折角の機会ですし、コカさんに祝福と、サーグァの能力を一部解放しておきましょう」

そんな近所の子供に飴ちゃん配るみたいなノリでいいのでしょうか……

あたし達にないのは……まあ1度生き返らせて貰いましたし、これ以上を望むのは贅沢ですよね。

コカちゃんもトゥグア様がいいなら喜んで頂くでしょう……多分。

でも何でアプさんには何もないんでしょうか?



「まずサーグァ、私が黒の水晶から聞いた情報の共有を可能にしておきましょう」

「解りました、って姉さん、これ……酷くないですか?」

「私もそう思いました……ですが、これが現実です」

一体何を聞いたのか……後で説明して貰いましょう。

「そしてコカさん……キュアさんとの仲は応援しています、もし結ばれたなら子供は最低でも5人授けるとお約束しましょう」

「あ、ありがとう……ございます!」

流石ラブコメ大好きなトゥグア様……女の子同士もイケるんですね!

知ってましたけど!知ってましたけれど!

「そんな貴女には是非とも頑張って頂きたいので……【エンド】という魔法を」

「ちょっと姉さん!それ神界でも上位神でなければおいそれと使えない禁呪ですよ!」

コカちゃんに何を授けようとしてるんですかトゥグア様!?

「やはり駄目ですか?これでモンスターと一緒にアルラごと消して貰おうと思ったのですが……」

どんだけアバズレの上司が嫌いなんですかトゥグア様……気持ちは非常に良く解りますけど。

ですが先程の様子からするとロウにまで当たりかねないのでそれは諦めて下さい。

「ではそうですね……私の魔力の一部を貴女の杖に込めておきましょう、これで炎の魔法は威力が上がる筈ですから」

おお、炎の女神様の魔力なら確かに威力は上がりそうです。

「炎の魔法は……得意だから、嬉しいです」



祝福が終わった途端にトゥグア様の身体が光って薄くなって?

「あら……丁度時間の様ですね」

あ、やっぱり制限時間があったんですね。

「それではまたお会いしましょう、次はキュアさんの結婚式だと嬉しいですが」

確約は出来ませんが努力します、はい。

「あ、最後にキュアさん……あの詠」

(シュン)

何か言いかけてましたが……えい?

エイ……鱝……もしかしてエイを食べたい、というリクエストだったのでしょうか?

ならば次に海辺へ行った際に探すか釣るかしてお送りしましょう。

それが信者の務めですからね。

やはり煮付けか……それとも干したヒレをお酒と一緒に……トゥグア様はお酒飲めるんでしょうか?

「絶対に違う事考えてる気がする」

「ですね……まあ言わなかった姉さんが悪いって事にしておきましょう」

尚、この思考はオークの皆さんが正気に戻るまで続きました……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダークナイトはやめました

天宮暁
ファンタジー
七剣の都セブンスソード。魔剣士たちの集うその街で、最強にして最凶と恐れられるダークナイトがいた。 その名を、ナイン。畏怖とともにその名を呼ばれる青年は、しかし、ダークナイトをやめようとしていた。 「本当に……いいんですね?」 そう慰留するダークナイト拝剣殿の代表リィンに、ナインは固い決意とともにうなずきを返す。 「守るものができたからな」 闇の魔剣は守るには不向きだ。 自らが討った聖竜ハルディヤ。彼女から託された彼女の「仔」。竜の仔として育てられた少女ルディアを守るため、ナインは闇の魔剣を手放した。 新たに握るのは、誰かを守るのに適した光の魔剣。 ナインは、ホーリーナイトに転職しようとしていた。 「でも、ナインさんはダークナイトの適正がSSSです。その分ホーリーナイトの適正は低いんじゃ?」 そう尋ねるリィンに、ナインは平然と答えた。 「Cだな」 「し、C!? そんな、もったいなさすぎます!」 「だよな。適正SSSを捨ててCなんてどうかしてる」 だが、ナインの決意は変わらない。 ――最強と謳われたダークナイトは、いかにして「守る強さ」を手に入れるのか? 強さのみを求めてきた青年と、竜の仔として育てられた娘の、奇妙な共同生活が始まった。 (※ この作品はスマホでの表示に最適化しています。文中で改行が生じるかたは、ピンチインで表示を若干小さくしていただくと型崩れしないと思います。)

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

処理中です...