あたし、料理をする為に転生した訳ではないのですが?

ウサクマ

文字の大きさ
上 下
12 / 122
首都に向かって

子爵は行方不明になりました

しおりを挟む
アバズレメイドもどきとの遭遇で情報を得た翌朝……思い出すだけでムカムカします!

じっとしてるのも落ち着かないし、何故かロウとコカちゃんがあたしを見て怯えてしまっているのでアプさんと手合わせしています。

それにしてもアプさんはタンクなだけあって物凄く防御が上手いですね。

耐えて、受け流して、絶妙なタイミングで仕掛けるカウンターはどう崩せばいいのやら……

「ったく、段々動きが雑になってるよっ!」

「わっ、ぐひゅっ!」

ヤケクソ気味に出したパンチを受け止めたかと思いきやそのまま270度回転……

はい、顔面から地面に叩きつけられました……鼻が痛い。

「ふぅ、そろそろ昼だ……ここまでにするよ」

「ふぁい……ありがとうございました」

ぐぬぬ……結局有効打を当てられませんでした。

大分冷静になれたし手合わせをお願いして正解でした…鼻が痛いけど。

それにしてもアプさんは防御も凄いけど攻撃もかなりの物ですね……ボクシングと合気道を複合した様な攻めでした。

っていうか耐えて避ける、しかも攻撃までするタンクとかどうやって戦えばいいんですか?

組手はしても敵対だけは絶対にしてはなりませんね、うん。

そんなこんなでお昼です、今回もあたしが作れる状態でなかったのでコカちゃん作です。

「えっとね、ロウくんに聞いて……クックーと、ビフーを……ミンチにして……混ぜてみたの」

うん、つまりハンバーグですね。

本来ならポクーを混ぜる所ですが……この世界じゃ高級過ぎて手が出せませんからね。

「ウフフ、2種類の肉を混ぜるという発想も面白いですがこの柔らかさに肉汁……美味しいですね」

サーグァ様もお気に召した様で何よりです。

それにしてもロウの説明だけでここまで再現してみせるとは……実はコカちゃんって優良物件なのでは?

旦那になる人はかなりの幸せ者でしょうね……あたしではなくて。

「因みにこの料理、ハンバーグというのですが魚で作っても美味しいのですよ」

「へぇ、魚って塩塗って丸焼きにするだけじゃないんだねぇ」

いや塩は振りましょうよ……塗ったら塩辛くて食べれませんからね?




「さて、それでは今後の予定なのですが……」

そうでした、あのアバズレメイドもどきの作ったモンスターが何処に居るのか分からない以上、当座の目的であるボリアまでサーグァ様を護衛せねばなりません。

元々ボリアを目指していたあたしとロウの目的とも一致してますし、報酬が貰えるなら言う事なしです。

「地図だと後2つ村に入る必要があるんだよな……ここからだと海辺のルイエか、山沿いのグヌットのどっちかになるけど」

「距離はどちらも変わりませんし、美味しい物さえあれば文句は言いませんよ」

ブレませんねサーグァ様、どれだけ美味しい物が好きなんですか。

「あのね、グヌットは止めた方がいいよ……というか……ボク、グヌットにだけは、行きたくない」

おや?コカちゃんが反対するのは珍しいですが何かあったんでしょうか?

「ああ、そういやグヌットは女性上位主義者の村だったねぇ……男を連れてったらミイラになるまで絞られちまうよ」

何ですかそのアマゾネス的な村は……でもそうなるとロウを連れて行く訳にはいきませんね。

ロウもそれを想像したのか震えてますし……

「それに、コカの自称がボクだろう?それで勘違いした奴等がねぇ……まあ残らず叩きのめしてやったけど」

アプさんは強いし怒らせると怖い……キュア、覚えた。

「うん、ルイエに行こう、そうしよう」




そんなこんなで旅立ち前の買い物です。

ここからはアプさんとコカちゃんが一緒ですし、行商人だけあって立派な荷車をお持ちでした……まあ人力なんですけどね。

アプさんの値切り術も学ばせて貰えましたし、お陰で食料も余分に、しかも安く買えました。

「今回はキュア達の持ってる鞄のお陰で酒と食料のスペースを考えなくていいからねぇ……商品を余分に買えたよ」

お役に立てた様で何よりですが……お酒は売らないって言ってたのできっとアプさんが飲む分なのでしょう。

余り飲み過ぎないで下さいね?

「やけにビフーの皮が多いんだけど……これ何に使うんだ?」

「ビフーの皮はね、靴や、鞄になるから……特にこの村のは品質が良くて、他の村や町で……凄く売れるんだよ」

ふむ、この世界でも皮製品はあるんですね……ってそういえばロウの胸当ても皮製でした。

「後は、クックーの羽毛かな……枕に詰めると、グッスリ寝れるって……聞いた事があるよ」

食肉として評価が低い割にやけに多く育ててると思ったらそういう事ですか……

そういえば昔は日本でも羊が同じ扱いだったと聞いた事がありますね。

「よし、仕入れはこんなもんでいいな……そしたら少し早いが飯食って寝るぞ」

明日はいよいよ出発ですからね、早めに休んだ方がいいでしょうし反対意見もありませんでした。

因みに夕飯はサーグァ様のリクエストで再びハンバーグになりましたが……

「追加で5個お願いします、後ライスも」

「あの……既に16個、ご飯も7杯食べてまだ食べるんですか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダークナイトはやめました

天宮暁
ファンタジー
七剣の都セブンスソード。魔剣士たちの集うその街で、最強にして最凶と恐れられるダークナイトがいた。 その名を、ナイン。畏怖とともにその名を呼ばれる青年は、しかし、ダークナイトをやめようとしていた。 「本当に……いいんですね?」 そう慰留するダークナイト拝剣殿の代表リィンに、ナインは固い決意とともにうなずきを返す。 「守るものができたからな」 闇の魔剣は守るには不向きだ。 自らが討った聖竜ハルディヤ。彼女から託された彼女の「仔」。竜の仔として育てられた少女ルディアを守るため、ナインは闇の魔剣を手放した。 新たに握るのは、誰かを守るのに適した光の魔剣。 ナインは、ホーリーナイトに転職しようとしていた。 「でも、ナインさんはダークナイトの適正がSSSです。その分ホーリーナイトの適正は低いんじゃ?」 そう尋ねるリィンに、ナインは平然と答えた。 「Cだな」 「し、C!? そんな、もったいなさすぎます!」 「だよな。適正SSSを捨ててCなんてどうかしてる」 だが、ナインの決意は変わらない。 ――最強と謳われたダークナイトは、いかにして「守る強さ」を手に入れるのか? 強さのみを求めてきた青年と、竜の仔として育てられた娘の、奇妙な共同生活が始まった。 (※ この作品はスマホでの表示に最適化しています。文中で改行が生じるかたは、ピンチインで表示を若干小さくしていただくと型崩れしないと思います。)

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

処理中です...