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ナナミの知らない世界
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ドアが勢いよく開かれた。帰って来た少年は勢いよく奈々美の元へと駆けて来た。それから少年の厄介な話が始まるのであった。
「奈々美はマンガとかあまり知らないよね。あのバトルマンガが面白いんだよ、主人公が大切なことを忘れててさ」
奈々美の知らない世界の話を喜々とした表情で語る十也。隣りにいる人より詳しくありたい、何でも知っている。そんな願望を持つ純粋なお年頃の十也。例えホムンクルスであれどもこの時期が普通に来てもおかしくない。それは奈々美も押さえておくべきだった事実。十也は得意げな表情のまま話を続ける。
「凄いんだよ、北の方にいる錬金術士のアリサ・セヴェロディヌスカ、あだ名がアーシャって子が可愛くて」
「アリサ……マリアかしら。セヴェロディヌスカっていうのもまたロシアの方の名前に雰囲気を似せて……特徴だけで言えばマリア・スクロドフスカ、ポーランド出身の科学者のマリーキュリーに似ているわね。それと錬金術っていうのは」
「ひぃ! ごめんなさい、参ったよ降参だ」
「ふふふ……そういう素直で気取らず心に何も着飾らないアナタがス・テ・キ」
そうして奈々美の知らない世界は奈々美の目の前で開かれることなく閉じられたのであった。
「奈々美はマンガとかあまり知らないよね。あのバトルマンガが面白いんだよ、主人公が大切なことを忘れててさ」
奈々美の知らない世界の話を喜々とした表情で語る十也。隣りにいる人より詳しくありたい、何でも知っている。そんな願望を持つ純粋なお年頃の十也。例えホムンクルスであれどもこの時期が普通に来てもおかしくない。それは奈々美も押さえておくべきだった事実。十也は得意げな表情のまま話を続ける。
「凄いんだよ、北の方にいる錬金術士のアリサ・セヴェロディヌスカ、あだ名がアーシャって子が可愛くて」
「アリサ……マリアかしら。セヴェロディヌスカっていうのもまたロシアの方の名前に雰囲気を似せて……特徴だけで言えばマリア・スクロドフスカ、ポーランド出身の科学者のマリーキュリーに似ているわね。それと錬金術っていうのは」
「ひぃ! ごめんなさい、参ったよ降参だ」
「ふふふ……そういう素直で気取らず心に何も着飾らないアナタがス・テ・キ」
そうして奈々美の知らない世界は奈々美の目の前で開かれることなく閉じられたのであった。
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