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風使いと〈斬撃の巫女〉
父
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魔導教団の内部にて。
大きな建物の中、和服の少女、志乃は歩いていく。
長い廊下、様々な部屋、それは必要なものであった。
歩いて子どもたちの育成を行う教室や、魔法関係で家を失った人々を住まわせる部屋を通りたどり着いたのは大勢の人々が立っている巨大なコルクボードの前。
人々はそのコルクボードに貼られた紙を眺めて、番号を書き留めて受付嬢に提出する。そうやって依頼を受けるのだ。
その群衆の中から眼鏡をかけたある男を見付け、肩をつかむ。
「ねえ、唐津さん、あなたの娘さんの名前、そんなに難しかったでしょうか?」
男は振り返る。
「なにが?」
「あなた、真雪と仰ってましたよね?あの子は小雪と名乗りましたが」
男は少しの間の空白、目を開いた驚愕の表情ののちに答えた。
「すみません、あの子が魔法に関わると思っていなくて偽名を使ってしまいまして」
「そう……安全上のことですから致し方ありませんね」
男は俯いた。
-那雪、妹を追ってここまでたどり着いたのか……ダメだ、ここに来てもトカゲの尾のような情報しか残されていない-
眼鏡をかけた男の元に茶髪の男が寄ってきた。男はから傘を持っていた。今日は晴れだというのに。
「大丈夫だ、俺の息子お前の娘なら俺ら以上に上手くやれるさ」
そうこの男コンビ、お嬢様と手を組んで魔導教団に潜入したこのふたりは那雪の父と一真の父だ。
ふたりは屋上へと上る。
晴れた空の下でから傘を持つ男はから傘を壁に立て、鉛色の重厚感を持つジッポライターを手に取り、タバコを取り出して火をつけた。
煙の臭いは眼鏡越しでもくっきりと分かる。煙の姿は鼻が正常でも曖昧なものであった。
「一真が喚いてた。酒コレが潰れたってな」
「那雪は喜んでいたな、ステキな彼氏が出来たってな」
その感情の擦れ違いは誰にかけられたわけでもない一種の呪いにも思えた。
大きな建物の中、和服の少女、志乃は歩いていく。
長い廊下、様々な部屋、それは必要なものであった。
歩いて子どもたちの育成を行う教室や、魔法関係で家を失った人々を住まわせる部屋を通りたどり着いたのは大勢の人々が立っている巨大なコルクボードの前。
人々はそのコルクボードに貼られた紙を眺めて、番号を書き留めて受付嬢に提出する。そうやって依頼を受けるのだ。
その群衆の中から眼鏡をかけたある男を見付け、肩をつかむ。
「ねえ、唐津さん、あなたの娘さんの名前、そんなに難しかったでしょうか?」
男は振り返る。
「なにが?」
「あなた、真雪と仰ってましたよね?あの子は小雪と名乗りましたが」
男は少しの間の空白、目を開いた驚愕の表情ののちに答えた。
「すみません、あの子が魔法に関わると思っていなくて偽名を使ってしまいまして」
「そう……安全上のことですから致し方ありませんね」
男は俯いた。
-那雪、妹を追ってここまでたどり着いたのか……ダメだ、ここに来てもトカゲの尾のような情報しか残されていない-
眼鏡をかけた男の元に茶髪の男が寄ってきた。男はから傘を持っていた。今日は晴れだというのに。
「大丈夫だ、俺の息子お前の娘なら俺ら以上に上手くやれるさ」
そうこの男コンビ、お嬢様と手を組んで魔導教団に潜入したこのふたりは那雪の父と一真の父だ。
ふたりは屋上へと上る。
晴れた空の下でから傘を持つ男はから傘を壁に立て、鉛色の重厚感を持つジッポライターを手に取り、タバコを取り出して火をつけた。
煙の臭いは眼鏡越しでもくっきりと分かる。煙の姿は鼻が正常でも曖昧なものであった。
「一真が喚いてた。酒コレが潰れたってな」
「那雪は喜んでいたな、ステキな彼氏が出来たってな」
その感情の擦れ違いは誰にかけられたわけでもない一種の呪いにも思えた。
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