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風使いと〈斬撃の巫女〉
刹菜の朝
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アパートのある小さな部屋の中、目を開いて身体を起こす。刹菜は制服に着替えて部屋を出た。そんな刹菜を出迎えたのは年老いた男であった。
「おはよう刹菜」
刹菜は思わず頬を緩める。ニヤけと柔らかな笑みが混ざり、それはもう地獄のような有様であった。
「おはぁ、満明。随分早いな、もしかしてもうおじいちゃん?」
満明は豪快に笑いながら刹菜の背中を叩く。
「まさか、俺はまだ50代だ」
刹菜は壁にかけられた時計を指して言う。
「5時半、昨日寝たのが12時半、私はもうおばあちゃんだ」
「10代でおばあちゃんは早すぎだろ、あと寿命は何年だ」
「寿命? あと生きた分が私の残りの寿命さ」
「テキトー抜かしてくれるな」
退屈しない、刹菜にとってはそんなところが満明の好きなところ。
刹菜は冷蔵庫からコッペパンを取り出した。切ったレタスと玉ねぎ、そしてスモークサーモンを挟んでバジルソースをかけたもの。
「手料理は節約になるな…………って言ってもスモークサーモンが高いから逆に金使ってるだろって話だけど」
「贅沢じゃねぇか!」
「昭和に取り残された人々もこう言ってるからね、『贅沢は素敵だ』って」
「それあの看板に落書きして文字加えた方のやつじゃねぇか」
贅沢は敵、素の字を加えるただそれだけで意味が全くもって変わってしまうのだ。
満明は刹菜に訊ねる。本題を切り出す。
「で、刹菜。最近増えて来てやがる不良ども、アレの理由分かったか」
刹菜は笑いをこぼし、しばらくそうしていた。
「いや、全く」
その言葉を聞いた満明は項垂れて返す言葉も見付からない。刹菜は続けて言葉を綴る。
「でもね、それについては『謎は……全て解けた』ってほざくお嬢様がいるらしい」
「そのセリフ実際に言ってないだろうな」
呆れ交じりに訊ねる満明に対して刹菜はただニヤけながらパンを頬張るだけであった。
「おはよう刹菜」
刹菜は思わず頬を緩める。ニヤけと柔らかな笑みが混ざり、それはもう地獄のような有様であった。
「おはぁ、満明。随分早いな、もしかしてもうおじいちゃん?」
満明は豪快に笑いながら刹菜の背中を叩く。
「まさか、俺はまだ50代だ」
刹菜は壁にかけられた時計を指して言う。
「5時半、昨日寝たのが12時半、私はもうおばあちゃんだ」
「10代でおばあちゃんは早すぎだろ、あと寿命は何年だ」
「寿命? あと生きた分が私の残りの寿命さ」
「テキトー抜かしてくれるな」
退屈しない、刹菜にとってはそんなところが満明の好きなところ。
刹菜は冷蔵庫からコッペパンを取り出した。切ったレタスと玉ねぎ、そしてスモークサーモンを挟んでバジルソースをかけたもの。
「手料理は節約になるな…………って言ってもスモークサーモンが高いから逆に金使ってるだろって話だけど」
「贅沢じゃねぇか!」
「昭和に取り残された人々もこう言ってるからね、『贅沢は素敵だ』って」
「それあの看板に落書きして文字加えた方のやつじゃねぇか」
贅沢は敵、素の字を加えるただそれだけで意味が全くもって変わってしまうのだ。
満明は刹菜に訊ねる。本題を切り出す。
「で、刹菜。最近増えて来てやがる不良ども、アレの理由分かったか」
刹菜は笑いをこぼし、しばらくそうしていた。
「いや、全く」
その言葉を聞いた満明は項垂れて返す言葉も見付からない。刹菜は続けて言葉を綴る。
「でもね、それについては『謎は……全て解けた』ってほざくお嬢様がいるらしい」
「そのセリフ実際に言ってないだろうな」
呆れ交じりに訊ねる満明に対して刹菜はただニヤけながらパンを頬張るだけであった。
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