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第二章
42.
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カラミラが泣いて、ごめんなさいごめんなさい、と連呼し始めた。
俺は、そろそろ可哀想になってきたので、
「フレイア、何か用?」
とフレイアに声をかける。
その瞬間、カラミラが泣き止んで、今度は、顔を赤くして俯いた。
「あの、王女様の件なんですが、お兄様、婚約破棄が成立しました」
「やっぱり、裏で繋がってたのを公にされるのは、困るのか……フッフッフ……」
俺は、悪そうな笑い方をしながら、
「なんでそうなったのかわかる?」
「まず、第一に国王様が敢えて、王国内に住む貴族と婚約させる必要がないと考えていたため、この件に関しては、王女様が噛んでいて、どうしても、と泣きついていたそうです」
「なるほどな」
そう言って、俺は、執務室の机の上に置いてあったティーカップに手をつけて、中に入っていたハープティーを一気に飲み干す。
「第二にお兄様もご存知かと思いますが、第一王子様がいらっしゃいます。その第一王子様を後継にするためにあえて、王国内の男の貴族は、取れないとおっしゃっていました」
「それは、そうだな」
「そして、最後に王女様がいなくなった騒動から二日が経ちましたよね?」
「知ってるが?」
「それで、この結果になりました」
「え?」
「王女様は、現在この王国には、おりません。多分、敵国からどこかに連れ去られたのでしょう。そして、そのことを今朝、騎士団総員で町中を調べ上げたところ、王女様らしい人が拐われるとこを見たと言う人が現れたので、王女様の泣きついていた件が効力を失いました」
「要は……」
「勝ちましたっ!」
フレイアが嬉しそうにそう言った。
その隣でつまらなさそうに、否、涙の跡を隠すので必死だったカラミラがこっちをみていた。
「よかったね……」
「というわけで、あとは、頼んだぞ!」
「え?」
俺がフレイアにそう言うと、変な声を出していた。
「お前が、王子の婚約者だっ!」
「「え?」」
カラミラとフレイアの声がダブった。
「え?もクソもないぞ?」
「なんで?」
「俺は、カラミラと結ばれる運命と言われたのだっ!」
「え?私は?」
「演技だと説明したの忘れたのか?」
「えー‼︎」
「だから、契約書も作ったのに……」
そう言って俺は、書類の中から取り出して、フレイアに見せる。
すると、
「お兄様は、どこに行かれるのですか?また……」
「学校に行ってみようと思う」
「へ?」
今度は、カラミラの番だった。
俺は、そろそろ可哀想になってきたので、
「フレイア、何か用?」
とフレイアに声をかける。
その瞬間、カラミラが泣き止んで、今度は、顔を赤くして俯いた。
「あの、王女様の件なんですが、お兄様、婚約破棄が成立しました」
「やっぱり、裏で繋がってたのを公にされるのは、困るのか……フッフッフ……」
俺は、悪そうな笑い方をしながら、
「なんでそうなったのかわかる?」
「まず、第一に国王様が敢えて、王国内に住む貴族と婚約させる必要がないと考えていたため、この件に関しては、王女様が噛んでいて、どうしても、と泣きついていたそうです」
「なるほどな」
そう言って、俺は、執務室の机の上に置いてあったティーカップに手をつけて、中に入っていたハープティーを一気に飲み干す。
「第二にお兄様もご存知かと思いますが、第一王子様がいらっしゃいます。その第一王子様を後継にするためにあえて、王国内の男の貴族は、取れないとおっしゃっていました」
「それは、そうだな」
「そして、最後に王女様がいなくなった騒動から二日が経ちましたよね?」
「知ってるが?」
「それで、この結果になりました」
「え?」
「王女様は、現在この王国には、おりません。多分、敵国からどこかに連れ去られたのでしょう。そして、そのことを今朝、騎士団総員で町中を調べ上げたところ、王女様らしい人が拐われるとこを見たと言う人が現れたので、王女様の泣きついていた件が効力を失いました」
「要は……」
「勝ちましたっ!」
フレイアが嬉しそうにそう言った。
その隣でつまらなさそうに、否、涙の跡を隠すので必死だったカラミラがこっちをみていた。
「よかったね……」
「というわけで、あとは、頼んだぞ!」
「え?」
俺がフレイアにそう言うと、変な声を出していた。
「お前が、王子の婚約者だっ!」
「「え?」」
カラミラとフレイアの声がダブった。
「え?もクソもないぞ?」
「なんで?」
「俺は、カラミラと結ばれる運命と言われたのだっ!」
「え?私は?」
「演技だと説明したの忘れたのか?」
「えー‼︎」
「だから、契約書も作ったのに……」
そう言って俺は、書類の中から取り出して、フレイアに見せる。
すると、
「お兄様は、どこに行かれるのですか?また……」
「学校に行ってみようと思う」
「へ?」
今度は、カラミラの番だった。
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