異世界探索記録

土方かなこ

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1章

道のり

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「さて 馬車がつかえないからね
とりあえず草原の出口まで歩いていこう
まあここの門番にチップを渡せば馬車を呼んでもらうことくらいはできるさ」

「申し訳ありません 私が軟弱なばかりに」

「イオのせいではないし、ホーリー草原は想像以上に体力を奪うからね
恥じることでもない
いただいた加護でさえ魔力量によっては一日ももたない」

ルチオはこちらをみて微笑んだ

「なに 半日も歩けば着くさ」




「…っまだつかないんですか」

「もう少しだよ にしてもやはりここは不思議な場所だ
外には存在しない植物だらけ
おそらく魔獣もいるだろうが警戒心が強く気配もださない」

「魔獣も存在するんですね」

「広義ではドラゴンも魔獣さ
まぁいわゆる幻獣の一族にあたるが」

「幻獣…」

「魔獣のなかでも力が強く、数が少ないからね
基本的にドラゴンは世界中に巣を持つといわれているが、あそこまで大きな成体はめったにお目にかかれるものではない
ましてやあんな間近に近づくなど
一体何を話していたのかな 私達には一つも内容がわからなかったのだが」

「そんなに多くは話せなかったけど、僕は光の民の子孫だと言っていました」

「光の民…
何かの文献で見たことがある 地球も同様だ
ただ禁書と呼ばれる類のものに載っていたはず」

「竜の言葉を操る不老不死の一族だと言っていました
おそらく光の民と地球の人間との間の子だと」

「不老不死… それなら存在が禁書にのるのもうなずける
この世界では寿命が身分を表すことが多いからね

より寿命が長いものは知識が多いとされ敬われる
ましてや不老不死など… 君は一体いくつなんだい」

「僕は多分不老不死ではありません 地球では病気がちで体が弱かったくらいです
年齢は17歳
名乗り忘れていましたがサクラと言います」

「年齢と名前は憶えているんだね」

「はい しかし思い出せることと出せないことがあるみたいで…
学校に通っていることは思い出せても、家については靄がかかっていたり

なによりここにくる直前の記憶が全くなくて」

「なるほど… まあ無理に思い出しても状況は変わらないさ
ああ あの松明の明かりがわかるね

あそこがホーリー草原北門だ」







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