15 / 20
第15話 合同説明会
しおりを挟む
正午。
稲荷町町民館、多目的スペース。
お昼とはいえ照明が一切無い為、部屋の中は薄暗い。
壇上もあり、普段は町民達が出し物を楽しんだり、講演等が行われている部屋である。
そこに転移させられたほぼ全ての町民が集まっていた。
その数およそ三百人。
部屋をちょうど二等分する様に、部屋の右側に集合している。
たいして左側には妖魔の代表として、三幹部を含む、およそ百人が集まっている。
その全員が妖魔本来の姿をしている。
全身が強靭な鱗で覆われた者。
顔の半分はあろう巨大な一つ目を持つ者。
翼も無いのに空を浮かぶ者。
巨大な身体に牡牛の頭を持つ者。
太く逞しい腕をいくつも生やす者。
様々な姿の妖魔が集まっている。
人化出来る者もいるのだが、あえて全てをさらけ出した方が良いと妖魔大王は考えたのだ。
町内放送でアナウンスされた時間になっても壇上にはまだ誰もいない。
だが不満を口に出す町民は誰もいない。
それよりも目の前にいる異形の者達に興味津々である。
「何? あれ着ぐるみ?」
「浮かんでないか」
「骨が動いているぞ」
「映えるー」
町民達からは驚きの声と、携帯のシャッター音がそこかしこから聞こえてくる。
どちらかというと妖魔の方が緊張しているかも知れない。
そんな妖魔と人間達の様子をこっそり壇上袖から除く妖魔大王。
おお、みてるみてる。
そんなに怖がっている様子は無いな。
せっかくだからこれを機に仲良くなれればいいんだが。
人間と妖魔が同じ場所に集った事等、今まで例が無い。
「えー。お待たせ致しました。皆さま静粛に」
いつの間にか壇上に現れたカスミ。
狐御前からこの説明会の司会をお願いされているのだ。
「皆さま、町の異変にはもうお気付きでしょう。今回はこの事態の真相を知るお二人に、お話を伺う為に本説明会を開催させて頂きました。質疑応答の時間は改めて設けますので、まずはお二人の説明を良く聞いてください」
「カスミちゃん可愛いー!」
壇上のカスミに声を送る町民A。
「それでは、妖魔大王、狐御前様、どうぞ」
町民Aの声を完全に無視し、カスミは二人を呼ぶ。
壇上袖から演台へと向かう妖魔大王と狐御前。
妖魔大王は人の姿をしている。
あんたはいくらなんでもインパクトがでかすぎるだろうと、皆に止められたのだ。
まず狐御前がマイクを握る。
「皆、今日はよう集まってくれた。妾は狐御前と申す。高台の稲荷神社で……」
狐御前が自己紹介を行うその横で、妖魔大王はかつてない程緊張していた。
あれ? 心臓がバクバクしてきたよ。
こんな時は手の平に人って書いて飲み込むんだっけ……。
いやいや、おまじないとは言え人を飲んじゃ駄目だよな。
じゃ妖魔って書くか?
ああー。
字画が多いっ。
「ほれ」
妖魔大王が手の平に三回「妖魔」と書く前に、自己紹介を終えた狐御前がマイクを渡してきた。
はやっ!
妖魔大王がぶるぶると震える手でマイクを握る。
その場にいる者、全ての視線が妖魔大王に集中する。
「はぁっ! わ……私はっ、妖魔帝国の大王と言いますっ!」
会場はしーーーんと静まり返っている。
痛いほどの静寂は、自身の激しい鼓動を更にはっきりと感じさせ、緊張を深めていく。
「あわわわ。えー。ま、誠に申し上げにくいのですが……」
妖魔大王の目が宙をバタフライで泳いでいる。
「みっ! 皆様はっ! 異世界に転移致しましたっ!」
その瞬間、人間と妖魔どちらからも驚きの声があがる。
「あわわわわ。えー。それではしばしご歓談を……」
壇上袖に引っ込もうとする妖魔大王。
すかさず狐御前に首根っこを捕まれる。
「あほう」
狐御前がやれやれといった表情をする。
「緊張しすぎじゃろう、カスミ10枚じゃ」
「はいっ! 悪霊退散!」
カスミが札を十枚重ねて妖魔大王のおでこに貼る。
「ぎょええぇっ」
「どうじゃ。気付けにはなったかの?」
不思議と鼓動が緩やかになっていくのを感じる妖魔大王。
かかかっと笑う狐御前。
「あ、ありがとう。狐御前、カスミ」
そういうと妖魔大王は改めて演台へ向かった。
◆
「では改めて自己紹介致します」
先程までの緊張が嘘の様に、妖魔大王は落ち着きを取り戻していた。
「皆さんお気付きかと思いますが、私を含めこっち側にいる者」
妖魔大王が右手を真っ直ぐに伸ばし、町民館を真ん中から二つに分ける形で、そのまま左にスライドする。
町民館の左側には妖魔達が固まって立っている。
「人間ではありません。妖魔と呼ばれる者達です」
人間達からはあまり驚きの声があがらない。
大方予想通りなのだろう。
逆に、人間ですと言った方が盛り上がったかもしれない。
「そして私はその妖魔を治める妖魔大王と申します」
深々とお辞儀をする妖魔大王。
町民達はその礼儀正しさを逆に不気味に感じている様だ。
大体、礼儀正しい人外が良い奴のケースは少ない。
大抵は極悪非道か冷徹非情のどちらかである。
「実は我々は、魔法少女を名乗る三人の少女と闘っておりました」
町民達の間からざわざわと声がする。
妖魔だけでも到底信じられないところに魔法少女出現である。
無理も無い。
「その魔法少女が放った魔法により、妖魔帝国一帯及び、皆様方がお住まいの、稲荷町三丁目の一部が異世界へと飛ばされたのです」
会場からどよめきが起こる。
「ふざけるなっ!」
「それって完全に巻き添えじゃないか!!」
「早く元の世界に戻してちょうだい!!!」
町民達が口々に大王へ非難の言葉を浴びせる。
「お静かに」
妖魔大王が静かにそう告げると、すぐに口をつぐむ町民達。
やはり恐れを抱いているからなのか、大人しく妖魔大王の次の言葉を待つ。
「最初に申し上げますが、元の世界に戻る方法は現時点では不明です。そして町の外には魔物や盗賊の姿を確認しております。」
町民達から、そして妖魔達からも悲鳴に似た声が聞こえる。
「しかしご安心を。今現在、稲荷町は狐御前の張った結界により、外部から魔物や盗賊達が侵入する事は出来なくなっております。更には町を囲む様に巨大な壁を建設して、守りを更に強固なものとする計画も既に立ててありますので、ご心配には及びません」
おお…と町民達の中から声が上がる。
「続いて、電気等のパイプラインの復旧及び食料の配給につきましても迅速に行えるよう手配致します」
町民達の顔から不安の色が段々と薄れていく。
妖魔大王はその様子を壇上から確認をすると、だんっと演台を叩き、力強く声を張り上げる。
「稲荷町の皆さま! 今回の事象につきましては我々妖魔も非常に戸惑っております。しかしこんな状況だからこそ、妖魔と人間手を取り合い、この世界を生き抜く術をまずは探そうではありませんか! どうかお力を貸して頂きたいっ!!」
そういってマイクを置き深く頭を下げる妖魔大王。
会場は静まり返っている。
パチ。
そんな中、誰かが手を叩いた。
パチパチパチ。
また誰かが拍手をする。
そしてまた一人、また一人と連鎖をする様に、演台の妖魔大王へとみんなが拍手を送る。
次々と湧き立つ拍手の音。
やがて会場は、溢れんばかりの拍手の嵐に包まれたのである。
稲荷町町民館、多目的スペース。
お昼とはいえ照明が一切無い為、部屋の中は薄暗い。
壇上もあり、普段は町民達が出し物を楽しんだり、講演等が行われている部屋である。
そこに転移させられたほぼ全ての町民が集まっていた。
その数およそ三百人。
部屋をちょうど二等分する様に、部屋の右側に集合している。
たいして左側には妖魔の代表として、三幹部を含む、およそ百人が集まっている。
その全員が妖魔本来の姿をしている。
全身が強靭な鱗で覆われた者。
顔の半分はあろう巨大な一つ目を持つ者。
翼も無いのに空を浮かぶ者。
巨大な身体に牡牛の頭を持つ者。
太く逞しい腕をいくつも生やす者。
様々な姿の妖魔が集まっている。
人化出来る者もいるのだが、あえて全てをさらけ出した方が良いと妖魔大王は考えたのだ。
町内放送でアナウンスされた時間になっても壇上にはまだ誰もいない。
だが不満を口に出す町民は誰もいない。
それよりも目の前にいる異形の者達に興味津々である。
「何? あれ着ぐるみ?」
「浮かんでないか」
「骨が動いているぞ」
「映えるー」
町民達からは驚きの声と、携帯のシャッター音がそこかしこから聞こえてくる。
どちらかというと妖魔の方が緊張しているかも知れない。
そんな妖魔と人間達の様子をこっそり壇上袖から除く妖魔大王。
おお、みてるみてる。
そんなに怖がっている様子は無いな。
せっかくだからこれを機に仲良くなれればいいんだが。
人間と妖魔が同じ場所に集った事等、今まで例が無い。
「えー。お待たせ致しました。皆さま静粛に」
いつの間にか壇上に現れたカスミ。
狐御前からこの説明会の司会をお願いされているのだ。
「皆さま、町の異変にはもうお気付きでしょう。今回はこの事態の真相を知るお二人に、お話を伺う為に本説明会を開催させて頂きました。質疑応答の時間は改めて設けますので、まずはお二人の説明を良く聞いてください」
「カスミちゃん可愛いー!」
壇上のカスミに声を送る町民A。
「それでは、妖魔大王、狐御前様、どうぞ」
町民Aの声を完全に無視し、カスミは二人を呼ぶ。
壇上袖から演台へと向かう妖魔大王と狐御前。
妖魔大王は人の姿をしている。
あんたはいくらなんでもインパクトがでかすぎるだろうと、皆に止められたのだ。
まず狐御前がマイクを握る。
「皆、今日はよう集まってくれた。妾は狐御前と申す。高台の稲荷神社で……」
狐御前が自己紹介を行うその横で、妖魔大王はかつてない程緊張していた。
あれ? 心臓がバクバクしてきたよ。
こんな時は手の平に人って書いて飲み込むんだっけ……。
いやいや、おまじないとは言え人を飲んじゃ駄目だよな。
じゃ妖魔って書くか?
ああー。
字画が多いっ。
「ほれ」
妖魔大王が手の平に三回「妖魔」と書く前に、自己紹介を終えた狐御前がマイクを渡してきた。
はやっ!
妖魔大王がぶるぶると震える手でマイクを握る。
その場にいる者、全ての視線が妖魔大王に集中する。
「はぁっ! わ……私はっ、妖魔帝国の大王と言いますっ!」
会場はしーーーんと静まり返っている。
痛いほどの静寂は、自身の激しい鼓動を更にはっきりと感じさせ、緊張を深めていく。
「あわわわ。えー。ま、誠に申し上げにくいのですが……」
妖魔大王の目が宙をバタフライで泳いでいる。
「みっ! 皆様はっ! 異世界に転移致しましたっ!」
その瞬間、人間と妖魔どちらからも驚きの声があがる。
「あわわわわ。えー。それではしばしご歓談を……」
壇上袖に引っ込もうとする妖魔大王。
すかさず狐御前に首根っこを捕まれる。
「あほう」
狐御前がやれやれといった表情をする。
「緊張しすぎじゃろう、カスミ10枚じゃ」
「はいっ! 悪霊退散!」
カスミが札を十枚重ねて妖魔大王のおでこに貼る。
「ぎょええぇっ」
「どうじゃ。気付けにはなったかの?」
不思議と鼓動が緩やかになっていくのを感じる妖魔大王。
かかかっと笑う狐御前。
「あ、ありがとう。狐御前、カスミ」
そういうと妖魔大王は改めて演台へ向かった。
◆
「では改めて自己紹介致します」
先程までの緊張が嘘の様に、妖魔大王は落ち着きを取り戻していた。
「皆さんお気付きかと思いますが、私を含めこっち側にいる者」
妖魔大王が右手を真っ直ぐに伸ばし、町民館を真ん中から二つに分ける形で、そのまま左にスライドする。
町民館の左側には妖魔達が固まって立っている。
「人間ではありません。妖魔と呼ばれる者達です」
人間達からはあまり驚きの声があがらない。
大方予想通りなのだろう。
逆に、人間ですと言った方が盛り上がったかもしれない。
「そして私はその妖魔を治める妖魔大王と申します」
深々とお辞儀をする妖魔大王。
町民達はその礼儀正しさを逆に不気味に感じている様だ。
大体、礼儀正しい人外が良い奴のケースは少ない。
大抵は極悪非道か冷徹非情のどちらかである。
「実は我々は、魔法少女を名乗る三人の少女と闘っておりました」
町民達の間からざわざわと声がする。
妖魔だけでも到底信じられないところに魔法少女出現である。
無理も無い。
「その魔法少女が放った魔法により、妖魔帝国一帯及び、皆様方がお住まいの、稲荷町三丁目の一部が異世界へと飛ばされたのです」
会場からどよめきが起こる。
「ふざけるなっ!」
「それって完全に巻き添えじゃないか!!」
「早く元の世界に戻してちょうだい!!!」
町民達が口々に大王へ非難の言葉を浴びせる。
「お静かに」
妖魔大王が静かにそう告げると、すぐに口をつぐむ町民達。
やはり恐れを抱いているからなのか、大人しく妖魔大王の次の言葉を待つ。
「最初に申し上げますが、元の世界に戻る方法は現時点では不明です。そして町の外には魔物や盗賊の姿を確認しております。」
町民達から、そして妖魔達からも悲鳴に似た声が聞こえる。
「しかしご安心を。今現在、稲荷町は狐御前の張った結界により、外部から魔物や盗賊達が侵入する事は出来なくなっております。更には町を囲む様に巨大な壁を建設して、守りを更に強固なものとする計画も既に立ててありますので、ご心配には及びません」
おお…と町民達の中から声が上がる。
「続いて、電気等のパイプラインの復旧及び食料の配給につきましても迅速に行えるよう手配致します」
町民達の顔から不安の色が段々と薄れていく。
妖魔大王はその様子を壇上から確認をすると、だんっと演台を叩き、力強く声を張り上げる。
「稲荷町の皆さま! 今回の事象につきましては我々妖魔も非常に戸惑っております。しかしこんな状況だからこそ、妖魔と人間手を取り合い、この世界を生き抜く術をまずは探そうではありませんか! どうかお力を貸して頂きたいっ!!」
そういってマイクを置き深く頭を下げる妖魔大王。
会場は静まり返っている。
パチ。
そんな中、誰かが手を叩いた。
パチパチパチ。
また誰かが拍手をする。
そしてまた一人、また一人と連鎖をする様に、演台の妖魔大王へとみんなが拍手を送る。
次々と湧き立つ拍手の音。
やがて会場は、溢れんばかりの拍手の嵐に包まれたのである。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
第九王女と中年騎士 左遷された王国最強戦力の田舎領地暮らし
草乃葉オウル
ファンタジー
王都守備隊の騎士レナルドは第一王子の理不尽な怒りを買い、第九王女が治める辺境領地への異動を命じられる。いわゆる左遷である。
しかし、今の職場にうんざりしていたレナルドはこれ幸いと王都を脱出。のどかで空気が美味い田舎ぐらいを満喫することにする。
第九王女リリカは育ち盛りで生意気だけど、理不尽な上司に比べればなんとかわいいものだ。
穏やかな領民たちに囲まれて、レナルドの新たな人生が始まる。
そして、レナルドを失った王都守備隊は彼が担当していた業務の数々に驚愕することになるが……引き継ぎすら許されずに飛ばされたレナルドには関係ない話だった。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる