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1章
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馬車の中では友達の話以降、無言でやっぱり僕に話しかけて欲しくないようだった。
僕だってアル様の邪魔をしたい訳じゃない。
でも、話しかけるなと言われたらそれは悲しい。
せっかく同じクラスで一緒に登校もしてるのに。
「兄様!入学式どうでしたか?」
「エド...僕、アル様に嫌われちゃったかも」
「え!?えっと、なんでそう思ったんですか?」
「アル様が、友達づくりが上手くいかなくなるから僕に話しかけないで欲しいって」
「...兄様、その時の会話を細かく教えてくださいませんか?もしかしたら、勘違いかもしれないですし」
馬車で話したことをエドに順を追って話す。
「...やっぱり、アル様は僕が嫌いなんだ」
「はぁ...兄様、もう一度冷静に考えてくれませんか」
「そんなウンザリした顔で兄様を見ないでよ。兄様は傷心中なんだから」
アル様にまで嫌われた挙句、弟にもそんな顔されるなんて...。
「兄様、いいですか。それは兄様が殿下に話しかけるのをやめてほしいと言ったのではなく、兄様が他の方に話しかけるのをやめてほしいと仰ったのではないのですか」
「...つまり、僕がクラスの人に話しかけるのを控えてほしいってこと?」
「おそらく...」
「なんで?そっちの方が分からない」
「兄様は美しいし、貴族の憧れです。その兄様から話しかけられ、優しくされたら基本的には兄様のことを好きになってしまいます」
「...?違うと思う」
「兄様、ちゃんと、明日、確認しましょう。僕と一緒に」
目力がすごい...
「...分かった」
「じゃあ、今日はもう寝ましょう」
「うん...」
明日はアル様に会いたくない。
確認して、アル様に嫌われてることを再確認したくない。
なんで嫌われたのかとか考えたくないし、嫌われて婚約破棄だなんて一家の汚点になる。お父様やお祖父様が積み上げてきた実績が一瞬で崩れてしまう。
明日が来なきゃいいのに...。
...一睡も出来なかった。
ベッドに入ってから、嫌なことばかり頭に浮かんでしまった。
あまりにも眠れないから、開き直って本を読んでいたら、気づいた頃にはもう朝だった。
コンコン___。
「どうぞ」
「兄様、おはようございます。よく眠れましたか」
「うん。ぐっすり」
「...寝てませんね。自分の顔を鏡で見てみてください」
エドに言われた通りに鏡の前に立って自分の顔を見る。
......酷いクマ。
「これは酷いね。すごいクマだ。」
「クマだけじゃないです。顔色も青白いですし...今日はお休みになられた方が良いのでは...」
「授業の初日から休むわけにはいかないよ」
「そうですか...。殿下が迎えにくるまでまだ時間があるので少しでも休みましょう」
「うん」
ソファーに座って少し目を瞑る。
これだけで大分眠気が......。
「エド、アル様が来たら起こして...」
あれだけ夜更かししたから、少しくらい寝なきゃ。
「リオ...リオ」
「うん...もう少しだけ」
「遅刻しちゃうよ」
「.......遅...刻...」
起きなきゃ......。
遅刻はダメ。
遅刻!?
「おはよう。ようやく目が覚めたようだね」
「え!?あ、アル様!なんでここに」
「エドから聞いたよ。とんでもない勘違いで寝れなかったんだって?」
待って、ソファーに座って少し目を閉じてエドに起こすのをお願いして寝たはず。
なんで、アル様の膝のを枕に寝てるの!?
「すみません...今退きます」
いびきをかいていたり、よだれを垂らしていなかっただろうか...。
あぁ、恥ずかしい。
「顔色が少し悪いね。後、クマも酷い。私のせいでごめんね」
「いえ、アル様のせいでは」
見っともない姿を見せてしまった。
自己管理が出来てないのがバレてしまう。
「リオが...他の人と話しているの見るのが嫌なんだ。ごめんね、私のくだらない嫉妬のせいで悩ませてしまって」
「え...あ、アル様は僕のことが好きなんですか?」
「.......?当たり前だろう?」
「えっと、アル様は...僕が好き」
「うん。」
アル様が僕を好き...。
「......えぇ?」
「後は馬車で話そうか。遅刻してしまうからね」
「あ、はい」
アル様が僕を好き......?
僕だってアル様の邪魔をしたい訳じゃない。
でも、話しかけるなと言われたらそれは悲しい。
せっかく同じクラスで一緒に登校もしてるのに。
「兄様!入学式どうでしたか?」
「エド...僕、アル様に嫌われちゃったかも」
「え!?えっと、なんでそう思ったんですか?」
「アル様が、友達づくりが上手くいかなくなるから僕に話しかけないで欲しいって」
「...兄様、その時の会話を細かく教えてくださいませんか?もしかしたら、勘違いかもしれないですし」
馬車で話したことをエドに順を追って話す。
「...やっぱり、アル様は僕が嫌いなんだ」
「はぁ...兄様、もう一度冷静に考えてくれませんか」
「そんなウンザリした顔で兄様を見ないでよ。兄様は傷心中なんだから」
アル様にまで嫌われた挙句、弟にもそんな顔されるなんて...。
「兄様、いいですか。それは兄様が殿下に話しかけるのをやめてほしいと言ったのではなく、兄様が他の方に話しかけるのをやめてほしいと仰ったのではないのですか」
「...つまり、僕がクラスの人に話しかけるのを控えてほしいってこと?」
「おそらく...」
「なんで?そっちの方が分からない」
「兄様は美しいし、貴族の憧れです。その兄様から話しかけられ、優しくされたら基本的には兄様のことを好きになってしまいます」
「...?違うと思う」
「兄様、ちゃんと、明日、確認しましょう。僕と一緒に」
目力がすごい...
「...分かった」
「じゃあ、今日はもう寝ましょう」
「うん...」
明日はアル様に会いたくない。
確認して、アル様に嫌われてることを再確認したくない。
なんで嫌われたのかとか考えたくないし、嫌われて婚約破棄だなんて一家の汚点になる。お父様やお祖父様が積み上げてきた実績が一瞬で崩れてしまう。
明日が来なきゃいいのに...。
...一睡も出来なかった。
ベッドに入ってから、嫌なことばかり頭に浮かんでしまった。
あまりにも眠れないから、開き直って本を読んでいたら、気づいた頃にはもう朝だった。
コンコン___。
「どうぞ」
「兄様、おはようございます。よく眠れましたか」
「うん。ぐっすり」
「...寝てませんね。自分の顔を鏡で見てみてください」
エドに言われた通りに鏡の前に立って自分の顔を見る。
......酷いクマ。
「これは酷いね。すごいクマだ。」
「クマだけじゃないです。顔色も青白いですし...今日はお休みになられた方が良いのでは...」
「授業の初日から休むわけにはいかないよ」
「そうですか...。殿下が迎えにくるまでまだ時間があるので少しでも休みましょう」
「うん」
ソファーに座って少し目を瞑る。
これだけで大分眠気が......。
「エド、アル様が来たら起こして...」
あれだけ夜更かししたから、少しくらい寝なきゃ。
「リオ...リオ」
「うん...もう少しだけ」
「遅刻しちゃうよ」
「.......遅...刻...」
起きなきゃ......。
遅刻はダメ。
遅刻!?
「おはよう。ようやく目が覚めたようだね」
「え!?あ、アル様!なんでここに」
「エドから聞いたよ。とんでもない勘違いで寝れなかったんだって?」
待って、ソファーに座って少し目を閉じてエドに起こすのをお願いして寝たはず。
なんで、アル様の膝のを枕に寝てるの!?
「すみません...今退きます」
いびきをかいていたり、よだれを垂らしていなかっただろうか...。
あぁ、恥ずかしい。
「顔色が少し悪いね。後、クマも酷い。私のせいでごめんね」
「いえ、アル様のせいでは」
見っともない姿を見せてしまった。
自己管理が出来てないのがバレてしまう。
「リオが...他の人と話しているの見るのが嫌なんだ。ごめんね、私のくだらない嫉妬のせいで悩ませてしまって」
「え...あ、アル様は僕のことが好きなんですか?」
「.......?当たり前だろう?」
「えっと、アル様は...僕が好き」
「うん。」
アル様が僕を好き...。
「......えぇ?」
「後は馬車で話そうか。遅刻してしまうからね」
「あ、はい」
アル様が僕を好き......?
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